史上最恐のモンスターは神でもドラゴンでもないスライムだ

スライム道

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スライムデオキシリボ〜螺旋を解明せよ〜

ユウゾウ対ユウイチ

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「じゃあ叔父さんって強いの？」

ビアンカが質問した。

「ふむ難しい質問だな。私は戦闘は専門職では無いからな。一応冒険者はプロのランクAだがこれでは基準が誰かわからないだろうから実際に実力を見せた方がいいかな。」

「うんお願い！」

「さて見せると言っても相手が必要かだからな。ユウゾウを連れてきてくれ。」

「いやもうここにいるぜ兄貴。」

なにやらただならぬ雰囲気を醸し出しながらユウイチを見る父。

「じゃあ面に出てやるか。」

「ああ兄貴、541回分の借り今日こそ返させてもらうぜ。」

「まあ程々にな。」

◆◆◆

「ラル今回は実況は無しだ。」

父はさも当然のように実況をしようとしていたラルを正す。

「えー。」

「今回は本気で行く。だから観る以外のものは必要無い。」

その鬼気迫る父の圧にラルは引っ込む。

「じゃあやるか。」

「ああ、来い千、百、十。」

父は相棒の全てを呼び出した。

「マキナスライムズ。」

ユウイチは沢で見た金属ボディのスライム達を呼び出す。その数は50に及ぶ。

互いに無言で睨み合う。この勝負に合図は無い。

ズサッ！

マキナスライムズの3体が攻撃を仕掛ける。

千達は素早く避け反撃をする。

「グルアアア！」
千は炎を纏った爪を

「グルァァァ！」
百は自分と敵の体感時間を操作しながら牙を

「ふにゃあー。」
十は猫パンチを使い攻撃を仕掛ける。

ドカーン！！

しかし、スライム達は身体を変形させて攻撃を受け流した。だが受け流された攻撃は大地を抉っていた。

「小手調べはもういいだろう。［ピットミスト・第弍類］」

スライム達は金属ボディから様々な金属粉をばら撒く。

「千、［獅虎踏《しこふみ》］」

千は右前足を踏み砂塵を生み出し、金属粉を中和しつつ己が纏う炎を白色に変化させた。

「それは悪手だぞユウゾウ。」

「そいつはどうかな。十、［氣砲］」

「ふんにゃあー！！」

白色の炎は温度が高く既に金属粉は爆発を準備をしていたがそれを十が氣の衝撃波によってユウイチの元へ吹き飛ばす。

「ふむふむ。［ミラークッキング］」

スライム達は凹型になり金属粉の光と熱エネルギーを反射させ、一部を取り込み残りをユウゾウに返す。

「ちっ、千、十。」

千と十はユウゾウの合図に地面をカットし、捲らせ即席の盾にする。

「［業魔・量産機《浪漫》］」

ユウイチはスライムを纏わせ金属の鎧を作り上げる。その鎧には関節部に歯車やピストンがあった。

ユウイチはすぐに自分の後ろを蹴った。その威力はアールブの弓の百倍はあろう威力でとてつもない風圧が起こる。

「グルァ！」

そこには百が居た。百は躱しこそしたがその風圧に吹き飛ばされ木々に叩きつけられる。

「だが負けねえ。［業魔・怪猫変化］」

父もまた業魔の使い手であった。千は形を変え虎模様の拳法着の上下となり、百は黒のカンフーシューズに十は白のサラシに成った。

「ようやく［業魔］を理解したみたいだな。」

「兄貴の説明が難し過ぎてすげえ時間食っちまったがな。」

「お前もまた成長したか。」

父は無言で攻撃を仕掛ける。

正拳突きの10連、そして戳脚《たっきやく》を織り交ぜて連続的な攻撃をする。

それをユウイチは手と肘そして膝と脛を器用に使い受け流していく。そしてユウゾウの僅かな隙を見つけ腕もとい筋肉を掴み筋を意図的に痛めさせる。

「グッ、千！」

父は服から炎を纏わせる。父に火の手がこないようサラシの十はユウゾウの全身に氣を纏わせる。

「ほほう。」

ユウイチはすぐに手を離す。

「喝ッ！」

続け様に父は火を纏わせたサラシを伸ばして炎を前に放つ。

「ザ●とは違うのだよ。このマキナスライムズは。」

それをユウイチはピストンを動かして凄まじい衝撃波を腕から放った。

「このクソ！」

父はユウイチの懐に飛び込んで十のサラシで右腕のピストン部分を固定する。

「捕らえたぜ。」

「お前がな。［マテリアルブレード鋼］」

ユウイチは右腕の鎧を着脱し片刃の剣の形状を象るとすかさず退歩して父の肩を切りつける。

「まだだ、百！」

父は急に動きを上げカンフーシューズで剣の腹を蹴りつける。その速さは人間レベルを越していた。

（感覚時間の強化か。）

ユウイチは父のやったことを理解するとすぐに対処する。

「［オールレンジ・誘電加熱］」

ユウイチはγ線を全身から出したビアンカ達には見えていないが父とロレンは氣を持って感知をしていた。

「千、百、十最大だ。」

父は魔力と氣を圧縮させγ線を弾くまでに高めていく。そしてユウイチに特攻を仕掛ける。

手刀による擦るように目潰しにかかり、そのまま鳩尾、金的、後ろに回って骨盤を蹴り上げる。

「強く成ったな。」

ユウイチは父の鍛錬を賞賛しながらも鎧の歯車を回して運動エネルギーを電気エネルギーにそれから電気エネルギーを用いて空気中の水分を化学変化を起こして電力させ水素と酸素の化学エネルギーとしさらりと無効化する。

「全然余裕じゃねえか。」

「そうでもない。［形状変化・ピストンファイア］」

両甲と両足の鎧を形状変化させ関節部にピストンを増加し延長した新たな腕が追加されていた。

「［一胆二力三功夫］」

父もまた強化をする。自分が纏っているものを全て氣と化し己と一体にする。

「「［一点］」」

「［練磨王《れんまおう》］」

ユウイチはありとあらゆる計算から基づいたピストンからくる運動エネルギー、先程奪った化学エネルギーを再び電気エネルギーにそして魔力に変換し右人差し指の一点に集める。そして完成されたホームで放たれた拳は一点に極限のエネルギーが集まっていた。

「［鍛錬山《たんれんざん》］」

父は己が相棒たちの氣と信頼、そして経験を集約させユウイチとほぼ同等の技を勇気、身体、技を最大限に使いまたしても右人差し指に集中させる。そのエネルギーは小さいがまさに山のようなエネルギーであった。

互いに右人差し指を正拳突きで放つ。

その２つの技はまさにエネルギーの本流ぶつかるは渦潮の如し激流が絶えず唸る。

土煙が無尽蔵に舞う。

それが止む頃にはすでに1分は経っただろうか。

そこには剣を首に向ける機械仕掛けの騎士がいた

決着はついた。

ユウイチの勝利だ。

「まーた兄貴に負けちまったか。」

「おまえも成長したが俺もまた成長したということだ。いや正確には延ばすべきところが当たったと言ったところか。」

「それでもすげえよ兄貴は。」

「それは置いておくとして、さてロレン君達。君達にはこの戦いぶりを見てどう思う？」

ロレン達はあまりにも高度で壮絶な戦いぶりに言葉が出なかった。

「ロレン君が目指すべき通過点はこれだ。大きく険しいものだがそれでもやるかい？」

「やる、やらなきゃ楽しくない。」

ロレンはそこだけは即答する。

「ふふふ、誰に似たんだか。」

ユウイチは父を見ながら懐かしむ。

「なんだよ兄貴。」

「なんでもないさ。じゃあ今やったことを説明するから部屋に戻るよ。」

「「「はーい。」」」

そうしてユウイチ対ユウゾウの兄弟試合は終わった。ユウゾウは542回目の負けをして。

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