本能のその先へ

兎杷

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とわが椅子に座ると、かなとはゆっくりと近づき、無表情のままとわの目をじっと見つめる。
「ここから出られないようにしてあげる。」
かなとの言葉に、ますます不安と疑念が募る。
だが、どこかでその言葉に引き寄せられる自分がいる。
かなとは無言で、部屋のドアをロックし、さらに窓を閉めてカーテンを引く。
それはまるで、閉じ込められるという感覚を与えるような行動だ。
「どうしてこんなことを…?」
とわはつぶやくが、かなとは冷たく笑いながら、答えを言わない。
その後、かなとは少し沈黙した後、深い呼吸をして言った。
「君がどうしてここに来たのか、僕は分かってる。だから大丈夫」
彼の言葉には確信が込められている。
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