ゲーム開始前に死ぬモブ悪役皇子に転生した俺~推しヒロインの妹と幸せになるために最弱魔法【闇刃】を極め抜いたら、ぶっ壊れ性能と化していた件~

こはるんるん

文字の大きさ
35 / 41
第4章。オリヴィア姫の救出

35話。モブ皇子の作戦が完全に決まる

しおりを挟む
「こやつらを殺してはいないだと?」
「バカな……貴様、これ程の実力を隠していたのか?」

 ダークエルフたちが、驚きに目を見張った。

「そうだ。それに、もうすぐここに帝国軍が押し寄せてくる。降伏すれば、命だけは助かるように取り計らってやるぞ」
「な、なにぃ……!? 皇帝アルヴァイスの血を引く忌み子めが。誰が貴様になど屈するものか!」

 できれば俺は、ダークエルフを全滅させたくはなかったのだが……
 奴らは降伏の意思を示すどころか、俺を憎悪のこもった目で睨みつけた。

 この2日ほど、ダークエルフたちと過ごして分かったが、俺とディアナは宿敵の血を引くことから、大半のダークエルフたちから敵視されていた。

 正統なダークエルフの王族であるルーナ母さんを帝国より取り戻し、女王として統治してもらいたいというのが、彼らの願いだ。

 ヴィンセントはディアナを母さんの奪還作戦に参加させようとしたが、他の者たちからの反発が強く、却下された。
 ディアナが皇帝の回し者である疑いが晴れないからだ。

「我らを手の平の上で踊らせたつもりだろうが……我らはルーナ様をなんとしてもお助けせねばならぬのだ。その切り札たる王女は返してもらうぞ」
「ルーク様……!」

 背後に庇ったオリヴィアが、緊張に身を強張らせた。

「そのせいで、ルーナ母さんが死ぬことになってもか? 悪いが、全力で阻止させてもらうぞ」
「はっ! その剣でか!?」

 ダークエルフたちは距離を取り、手から一斉に黒い稲妻を放った。敵を追尾する性能を備えた中級の闇魔法【黒雷】くろいかずちだ。
 
 俺の本質が剣士であり、遠距離攻撃が苦手なことを、瞬時に見抜いたようだ。

「死ね、皇帝の犬め!」
「心外だな」

 俺は敵に向かって駆けながら左手に【魔断剣】ディスペル・ソード出現させて、【黒雷】くろいかずを斬り裂く。

「魔法を斬った!?」

 奴らは驚愕の声を上げる。

「俺は母さんとディアナを守るために戦っている!」

 俺は【ヒュプノスの魔剣】で、ダークエルフたちの胴を次々に凪いだ。
 右手に【ヒュプノスの魔剣】、左手に【魔断剣】ディスペル・ソードの二刀流だ。

 バタバタと、彼らは深い眠りに落ちる。

「それには、これが最善の道だと考えただけだ。皇帝の犬になったつもりは無い」
「すごいですルーク様! これだけの敵を一瞬で!」

 オリヴィアが目を丸くしていた。

「ど、どうして、これ程のお力を隠されているのですか!? この力を披露されれば、もう誰もルーク様を出来損ないなどとは呼ばない……帝位継承争いで、断然有利になれると思いますが?」
「……話して無かったけど。俺の父親、皇帝アルヴァイスから母さんを守るためだ」
「えっ……?」

 俺はオリヴィアに真実を話すことにした。
 サン・ジェルマン率いる帝国軍と合流する前に、俺の目的について理解してもらって、オリヴィアに口止めをするためだ。

「実は、俺はこの世界でこれから起きる出来事を生まれながらに知っているんだ。皇帝は、未来において母さんを暗殺し、そのせいでディアナは約10年後に魔王となって、世界を滅ぼす」

 あまりに突拍子も無い話に、オリヴィアは衝撃を受けた様子だった。

 この話は、母さんにもディアナにもしていなかった。二人にとって衝撃が強過ぎるし、宮廷内で話して、万が一にも誰かに盗み聞きされたら、一大事だからだ。

「な、なぜ、そのような……? どのような理由があって、皇帝陛下はルーナ皇妃を殺めるのですか?」
「おそらく、今回の事件が原因だったと思う。オリヴィアの救出に成功すれば、マケドニア王の怒りを鎮めるために母さんを暗殺する必要も消えて、未来は変わる筈だ。だけど……」

 今後、母さんが暗殺される心配が完全に無くなると、俺は楽観視はしていなかった。
 皇帝は必要とあれば、身内を切り捨てることに躊躇いが無いからだ。

「いずれ不老不死の怪物サン・ジェルマンと刃を交える可能性を考慮して、俺の実力は隠しておきたいんだ。おそらく、母さんを殺すのは奴だから」
「帝国の忠臣であるサン・ジェルマン伯爵が……?」

 オリヴィアは声を詰まらせた。

「わ、わかりましたわ。今お聞きしたこと、ルーク様のお力については、胸にしまって誰にもお話しません!」
「ありがとう。脱出に際して、敵を倒したのはディアナということで、口裏を合わせてもらえれば大丈夫だから」
「は、はい!」
「じゃあ、行こうか」

 俺はオリヴィアの手を引いて、ディアナとの合流ポイントに向かう。

 ディアナには敵の注意を引きつけるために、別の場所で暴れてもらっていた。

 敵を殺さないように言いつけてあるが、地下街のあちこちから噴煙が上がっている。
 ダークエルフたちは大混乱だ。

「ルークお兄様ぁああッ!」

 そこにディアナが、砂埃を上げて爆走してきた。

「作戦通り、【睡眠】ヒュプノスの魔法で、引っ掻き回して来ましたよ! って、な、なぜ良い雰囲気になっているんですかぁ!?」
「よくやったぞ、ディア!」

 俺はディアナを抱きしめて、頭を撫でてやる。
 ちょっと心配だったが、ちゃんとひとりで任務を達成できたようだ。

「あっ、ふふん! ごらんなさいオリヴィア王女! ルークお兄様と婚約するからといって、いい気にならないでください! しょせんは政略結婚! お兄様が一番好きなのは、このディアなんですからね!」

 ディアナがオリヴィアに指をビシッと突きつけて、何やら勝ち誇った。

「は、はぁ?」

 オリヴィアが目をパチクリさせる。
 ま、まぁ、ディアナのブラコンぶりは、尋常じゃないからな。

「ディアナ様も、わたくしを助けるために、ご尽力くださったのですね。深く感謝いたします」

 オリヴィアは、おしとやかにお辞儀した。さすが、王女としての教育を受けているだけある。

「むっ。そ、そう言われると、毒気が抜かれますが……ディアとお兄様は、真実の愛によって結ばれているということを忘れないでください!」

 そこに遠雷のような鬨の声と、武器をぶつけ合う音が響いてきた。

「よし。作戦通り、サン・ジェルマン率いる帝国軍が突入してきたようだな」
「少々、予定よりタイミングが遅かったですが。ヴィンセントはお母様の処刑の阻止に出ましたし……お兄様の作戦通りですね!」

 ディアナが得意気に頷いた。

「えっ、ど、どういうことですか?」
「ふふん! 今回のオリヴィア王女奪還作戦は、ほぼお兄様が1人で考案されたものなのです。敵の主力を外に誘い出してから、大軍で本拠地を襲撃。その混乱に乗じて、脱出します」
「ま、まさか……! ルーク様は8歳にしてそれほどの知謀を!?」

 オリヴィアが尊敬に瞳を輝かせた。
 前世の年齢も合わせれば37歳なので、そんなに持ち上げないで欲しい。

「皇帝であるお父様も、お兄様の知謀にいたく感心されていました。エヘン! ディアは鼻が高いです。ディアのお兄様は世界一なのです!」

 ディアナは我がことのように誇らしげに胸を張った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

処理中です...