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特訓

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「姫様は本当に筋が良い!」
「ありがとうございますカゲロウさん」
「アゲハの体術もヒグラシの剣術も、のみ込みが良いと大絶賛でしたぞ」

 カゲロウさんに幻術を教わる時間は本当に楽しい。
 ステンドグラスのような羽を持つ沢山の蝶々が私達の回りをヒラヒラと飛び回っている。
 幻術ってやつは魔法のようなもの。
 カゲロウさんは綺麗なものばかりを教えてくれる。
 だが、私は昔の知識を使えば応用がきくのだ。
 綺麗なもの以外もアニメやホラー映画のお陰でいくらでも作れる。
 カゲロウさんには内緒だ。
 アゲハさんは体術を教えてくれる。
 男性に襲われそうになった時の対処法を中心に的確に急所を狙うやり方は勉強になる。
 ヒグラシさんは剣術だ。
 短剣から長剣にいたるまで色々な形の剣の構えや間合いの詰め方も………暗殺の仕方まで教えてくれたが、それを教わったのをカゲロウさんにバレたら殺されるって言ってた。
 うっかりしているヒグラシさんは陽気で面白いが教えてくれる時の目は怖いぐらい真剣で私の気も引き締まる。
 家の人達は、私が訓練を受けていることは秘密である。
 夕御飯を食べ終わって1時間はヤードと絵本を読み、その後1時間が訓練でその後お風呂に入る。
 私はお風呂の時間が長い………事になっている。

 私は自分でもチートだと思う。
 魔力が高めなのもあるが、やはり前世の記憶がでかいと思う。
 小さな体は動きやすくて良いと思う。
 動ける。
 40越えの体では………悲しいが動ける気がしない。
 体を動かしているお陰か、ベッドに入ればすぐに寝てしまう。
 かわった事と言えばたまに目が覚めるとヤードが横に寝ている事があるくらいだろう。

「女性の部屋に勝手に入っては駄目だ」
「怖い夢を見てしまって………ごめんなさい」

 お兄様に怒られるヤードが可哀想でついついかばってしまうのも駄目なのかも知れない。

「お兄様、ヤードはまだ小さいのですから」
「カーナ!」
「私が怖い夢を見てお兄様と一緒に寝ても良いか聞いたら、お兄様は私をベッドに入れてくださるでしょ?」
「そ、それは………そうだけど」
「ヤード、本当に怖い時は仕方が無いですが、男の子は強くないと誰も守れなくなってしまいますよ。私がヤードの所に怖い夢を見たから一緒に寝て欲しいと言いに行きたいと思うぐらいに強くなってほしいです。解りますか?」
「………はい」
 
 ヤードは拗ねたように言った。
 可愛いな~。
 私はヤードをギュッと抱き締めた。

「ヤードの事大好きよ!だから、素敵な男性になってね」
「はい!姉様!」

 ヤードは嬉しそうに私を抱き締め返した。

「カーナはすぐにヤードを甘やかす」
「お兄様が私を甘やかせてくださるから、それをヤードに返しているだけですわ!私が優しい気持ちになれるのは、お兄様がお優しいからですからね!」

 お兄様は苦笑いを浮かべた。
 お兄様は私に弱いからこれで大丈夫なはずだ!

「うちのお姫様は二人の機嫌をとるのが上手だね。」

 私は思わずハッとした。
 振り返るとそこには私の父親にしてこの国の宰相をしているグラミス ブラウローズが居た。
 私は血の気が引いた。
 この人、いつから後ろに?
 私、気配を読めなかった。

「お父様のご機嫌もとってくれるかい?」
「……勿論ですわ」

 私はヤードを離してお父様に抱き付いた。
 この人は、敵にしたら駄目だ。
 お父様は私を抱き上げ、私はお父様の首にしがみついた。

「良い子にしていたかい?」
「悪いことしてたと思いますか?」
「ははは!カーディナルが悪いことなんてするはずないよな!愛してるよ私の姫」

 キザですよ!お父様。
 お兄様と同じ白銀のロングヘアがお尻のしたぐらいまであり、お兄様とヤードと同じ薄緑色の瞳のイケメン。
 子供が居るようには見えないくらい若い。
 ちなみにお母様は ヤードを産んだ時に亡くなった。
 ああ、だからヤードに上手く接することが出来なかったのか?
 お母様をとられたような気がしていたのかも知れない。
 ちなみに私の瞳の色は濃い緑色だ。
 お母様譲りです。
 お兄様はお父様そっくり。
 ヤードはお母様そっくりな髪の毛の色とお父様そっくりな瞳を持っていて、私はお父様とお母様の髪の毛の色を合わせたような艶めかしい深紅の髪の毛にお母様そっくりな濃い緑色の瞳だ。
 話を戻してお父様は何者だろう?
 後でカゲロウさんに聞こうとその時は軽く思っていた。
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