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ナル

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 お父様とお兄様とヤードに出来上がった魔石をプレゼントした。

「………って訳で効力は立証済みなので安心してください!」

 実験の結果を報告すると何故かお父様とお兄様がフリーズ、ヤードが顔をひきつらせている。

「ブラウド様も不埒なまねはしていないと言っていましたが………可哀想………」

 お兄様がお父様に耳打ちしています。

「ブラウド様って凄い人だったんですね」

 ヤードが失礼な事を呟いた。

「ヤード、今ごろブラウド様の凄さを理解したのですか?」
「姉様が思っている凄さとは種類が違いますけどね………」

 どう言う違いだ?
 その時お父様が遠くを見詰めて言った。

「王族は皆アホだと思っていたが、ブラウド殿は………何と言うか………紳士だな」
「はい。ブラウド様はいつも紳士的ですわ!」

 お父様は深くため息をつくとニコッと笑って言った。

「私もブラウド殿にお礼が言いたいから一緒に挨拶に行こうか」
「はい!お父様」

 私はお父様とブラウド様に会いに行くことになった。






 ブラウド様の屋敷につくと、メイドさんに応接室に案内された。

「どうなさいました宰相閣下」
「お礼を言いにね。娘の研究に力を貸してくれてありがとう」
「いえ、自分はたいしたことをしていません。みな、カーディナル嬢の努力の賜物です」

 ブラウド様は穏やかに笑った。
 ブラウド様が居なかったら完成していないというのになんていい人なんだ!

「ブラウド殿………どうだろう、カーナとまた違う研究をしては?」
「違う研究ですか?」
「カーナは探究心が強いから貴方のような知識人が側に居てくれたら心強い。どうかな?」

 ブラウド様は私をチラッと見るとお父様に視線をうつした。

「自分は構いませんが、カーディナル嬢のお気持ちもおありでしょう?」
「私はブラウド様と研究したいですわ!知識のある方との研究は本当に楽しいですから!!」

 私が笑顔を向けるとブラウド様は苦笑いを浮かべた。
 迷惑だったのだろうか?

「カーナもこう言っている。宜しく頼むよ………それと、カーディナル嬢ってのは長くないかい?今までずっと、そう呼んでいたのかな?」
「え?そ、そうですね。自分のような者に馴れ馴れしく呼ばれるのはカーディナル嬢に失礼かと思いますので」
「いや、それはないだろ?」
「そうですわ!それなら、ブラウド様もカーナと………でも、カーナは家族の呼び名ですから………ディナ?ディナーみたいで嫌だわ………カーディ……ナル?そうですわ!ナルとお呼びください!!」

 私がそう言うとブラウド様はフリーズの後ゆっくりと言った。

「…………ナル…嬢?」
「嬢はいりません!!ナルですわ」
「………あ、あの、ナル?」
「不思議そうに呼ばないで下さい」
「ナル」

 何だろ、凄く仲良くなれた気がする!!

「嬉しいです」

 顔がニマニマしてしまう。
 そんな私の頭をお父様が撫で撫でしてくれた。

「カーナもこう言っている。ブラウド殿の我慢強さには脱帽したし、これぐらいは特別扱いしてもバチは当たらないだろ?これからもカーナを宜しく頼むよ」

 我慢強さ?
 なんの事?
 私は訳が解らなかったが笑って誤魔化したのだった。
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