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第二章
第61話:襲撃と返り討ち
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転移86日目:山本光司(ミーツ)視点(バカ天使に盗み見させた知識込み)
「静かにしろ、絶対に悟られるんじゃないぞ!」
「分かっているさ、見つからないように近づいて、金になりそうな女子供だけを攫って逃げるんだろう?」
「分かっているならもう少し足音に気をつけろ」
「大丈夫だ、2万と言っても貧民街の女子供ばかりだろう?
ちょっと脅かしてやれば、ブルって腰を抜かしちまうぜ!」
「バカヤロウ、逆だ、逆、死にかけた女子供でも、2万は大きいんだ。
1人2人斬り殺しても何の足しにもならねぇ。
周りを取り囲まれたら、手足を引き千切られて死ぬ事になる」
「兄貴は心配し過ぎだ、貧民にそんな根性はねぇよ」
「お前は本当にバカだな、連中がここに来るまでにやった事を知らないのか?」
「ここに来るまで? 何かあったのか?」
「接収軍を貧民の集まりだと侮って、王国が定めた遠征軍への支援をしなかった貴族や士族が数多くいたんだが、全部家を取り潰されているんだ!」
「なんだって、そんな話何も聞いていないぞ?!」
「お前が売春宿に居続けるから聞いていないだけだ!
この辺の貴族士族は全員知っている有名な話だ」
「おい、おい、おい、そんな連中を襲って、女子供を攫って大丈夫なのか?」
「ふん、俺はお前とは違う、頭が良いんだよ」
「けっ、言ってやがれ、確かに兄貴は俺よりも頭はいいが、人並み以下だぞ!」
「ふん、貴族や士族の登用試験は、不正がはびこっているんだよ。
俺が落ちたのは、家に賄賂を贈る金がなかったからだ」
「へぇ、へぇ、へぇ、それで、何で大丈夫なんだよ?」
「家の領地はこの街道からかなり離れているから、疑われない。
何よりどこにも属していない中立だから、クラリス王女に狙われる事もない。
女子供を攫っても、罰を受けるのは街道沿いの反クラリス王女派だ。
これまで家を取り潰された貴族士族も、全部反クラリス王女派だ」
「……なるほどね、ようやくわかったよ、家は良い位置にいるんだな?」
「ああ、領地的にも、派閥的にも絶好の位置にいる。
女子供を攫われた接収軍が、近隣の反クラリス王女派の貴族士族を攻める時に、どこよりも早く援軍に駆け付けたら、褒美を頂けるかもしれない」
「けっ、自分で攫っておいて味方面するのかよ、兄貴らしいな」
「ふん、これくらいしなければ、今のこの国で成り上がれるかよ!
いい加減もう黙れ、本当に連中に聞こえちまうぞ」
「もうとっくに聞こえているよ」
「ひっ!」「だれだ?!」
「お前達が攫おうとしている女子供の大将だよ」
「な、元孤児院の院長とかいう成り上がりの将軍か!」
「今から成り上がろうとしている、お前が言うのか?」
「じゃかましい、やっちまえ!」
「「「「「おう!」」」」」
弱小騎士家の長男が集めて来た、ほとんど盗賊と変わらない、いや、地回りのような連中が一斉に襲い掛かって来た。
地方に在地して、森の猛獣や鳥を狩って暮らしている田舎騎士だけあって、王都で着飾っているだけの騎士や兵士よりはずっと強い。
だがそれでも、魔境との境目で生きている猟師や冒険者よりは弱い。
狭いとはいえ領地を与えられ、魔獣の足元にも及ばない猛獣や鳥を狩れば生きて行ける騎士家など、俺に指1本触れられない。
「ピィー、ピィー、ピィー、ピィー……」
一瞬で皆殺しにしてから、指笛を吹いて見張りの兵士を呼んだ。
魔獣素材の武器と鎧を装備した当番兵が集まって来る。
「王国騎士が夜盗に偽装して襲い掛かって来た。
当人と実家だけでなく、6親等までの血族と3親等までの姻族を、王家に対する反逆罪の連座処分で処刑し、領地と館を接収する」
「「「「「はっ!」」」」」
当番兵達はもう慣れているので、テキパキと遺体を運んでくれる。
殺した兄貴の方が言っていた通り、ここに来るまでの間に、多くの貴族と士族の家を謀叛の罪で潰した。
愚かとしか言いようがないのだが、将軍である俺に賄賂を渡して、王家王国が定めた軍役を免れようとしたのだ。
軍役と言っても、今回は戦争に参加するのではなく、兵糧や軍資金の提供だ。
ただ、食料に毒や下剤を混ぜられたら取り返しがつかないので、兵糧の徴発は行わず、兵糧の分も軍資金として提出させる決まりになっていた。
今回の接収軍も、途中の宿の手配も含めて、街道沿いの貴族士族に軍役がある。
王家王国から正式な使者も送られているし、俺も接収軍の将軍として、宿舎と軍資金の提供を願う使者を送っている。
それを、これまでの貴族士族将軍と同じように、個人的に賄賂を贈ったら、遠征軍に対する宿の提供も軍資金の供出もしなくて良いと思っているのだ。
俺がそんな事を許せば、接収軍は悪天候でも夜営しなければいけなくなる。
ろくな兵糧も無く、飢えに苦しんで体力が低下してしまう。
夜露に濡れて簡単に病になってしまう。
これまでの遠征軍だと、兵士は生き残るために村を襲って金と食べ物を奪う。
将軍は、賄賂を贈って来なかった貴族士族領での略奪を黙認するのだ。
そんな状態だったから、ほぼ全ての貴族士族が将軍に賄賂を贈るのだ。
だが俺は逆だった、賄賂を贈って来た貴族士族の家を叩き潰した。
良識派貴族のように、軍役通り宿の手配を行い、軍資金を供出した家には、何の手出しもしなかった。
盗賊団に偽装して襲って来た貴族士族は今回が初めてではない。
これまでも何組もの貴族士族が襲って来た。
中には謀叛の罪で取り潰された貴族家の私兵もいた。
心からの忠誠心で、仇討のように襲って来たのなら感心したのだが、捕えて厳しく取り調べると、主家が取り潰されて生きて行けなくなったから、逆恨みと金を目当てに襲って来ていた、情けない事だ。
「将軍閣下、接収部隊の編成が終わりました!」
先ほど命令した当番兵が戻ってきて報告する。
王都を出た7日前までは、貧民街で地を這うように生きて来た女性だが、今では本当の兵士のようにキビキビと動く。
俺がクラリス王女への貸しとして、接収軍の者達に供与した皮鎧はまだ身体に馴染んでいないが、必死で本当の兵士になろうと頑張っている。
「王家に対する謀叛人を処罰するまでは、この場に留まる。
編成した接収部隊を率いて、今泊まっている宿と民家の持ち主に、王家に対する謀叛人を処罰するまで、期間無制限で徴発すると言ってくれ」
「承りました」
宿屋と民家の持ち主には可哀想だが、身体が弱っている者が多い、元貧民が大多数の接収軍を、野宿させる訳にはいかない。
まあ、王国の規定よりも高額な、普通の宿泊者が払うのと同じ料金を支給するから、普段の生活を邪魔される民家はともかく、宿は喜ぶだろう。
俺の指揮する接収軍は、徐々に良い装備になっている。
ただ、新たに手に入れた騎士のフルアーマープレイトや、兵士のアーマープレイトを装備している者達は、その重さと行軍距離で疲れ切っている。
集まった軍資金で、買い取れる箱馬車や荷馬車は全部手に入れたが、それでも2万もの接収軍の一部を乗せてやれるに過ぎない。
馬車に優先的に乗れるのは、子供と老人になっている。
とんでもなく重いとはいえ、比較的若くて元気がある女達は、フルアーマープレイトを貸し与えられた女達は、馬車に乗れるのは最後の最後になる。
できる限り行軍距離を短くして、頻繁に休憩と宿泊を取らないといけない。
「将軍閣下、領主のションストン子爵閣下が面会を求めておられます」
「今直ぐに会う、ここに来てもらってくれ」
さて、ションストン子爵はこの襲撃に加担していたのかな?
連座処分を恐れて、賄賂でも持ってきたのかな?
それとも、居丈高に脅せば俺が引くとでも思っているのか?
今晩は想定していた以上の貴族家と士族家と改易にできそうだ。
クラリス王女を戴冠させる条件が着々と整ってきている。
このまま上手くい行けば、俺が引き籠もれる日が予定より早くなる。
「静かにしろ、絶対に悟られるんじゃないぞ!」
「分かっているさ、見つからないように近づいて、金になりそうな女子供だけを攫って逃げるんだろう?」
「分かっているならもう少し足音に気をつけろ」
「大丈夫だ、2万と言っても貧民街の女子供ばかりだろう?
ちょっと脅かしてやれば、ブルって腰を抜かしちまうぜ!」
「バカヤロウ、逆だ、逆、死にかけた女子供でも、2万は大きいんだ。
1人2人斬り殺しても何の足しにもならねぇ。
周りを取り囲まれたら、手足を引き千切られて死ぬ事になる」
「兄貴は心配し過ぎだ、貧民にそんな根性はねぇよ」
「お前は本当にバカだな、連中がここに来るまでにやった事を知らないのか?」
「ここに来るまで? 何かあったのか?」
「接収軍を貧民の集まりだと侮って、王国が定めた遠征軍への支援をしなかった貴族や士族が数多くいたんだが、全部家を取り潰されているんだ!」
「なんだって、そんな話何も聞いていないぞ?!」
「お前が売春宿に居続けるから聞いていないだけだ!
この辺の貴族士族は全員知っている有名な話だ」
「おい、おい、おい、そんな連中を襲って、女子供を攫って大丈夫なのか?」
「ふん、俺はお前とは違う、頭が良いんだよ」
「けっ、言ってやがれ、確かに兄貴は俺よりも頭はいいが、人並み以下だぞ!」
「ふん、貴族や士族の登用試験は、不正がはびこっているんだよ。
俺が落ちたのは、家に賄賂を贈る金がなかったからだ」
「へぇ、へぇ、へぇ、それで、何で大丈夫なんだよ?」
「家の領地はこの街道からかなり離れているから、疑われない。
何よりどこにも属していない中立だから、クラリス王女に狙われる事もない。
女子供を攫っても、罰を受けるのは街道沿いの反クラリス王女派だ。
これまで家を取り潰された貴族士族も、全部反クラリス王女派だ」
「……なるほどね、ようやくわかったよ、家は良い位置にいるんだな?」
「ああ、領地的にも、派閥的にも絶好の位置にいる。
女子供を攫われた接収軍が、近隣の反クラリス王女派の貴族士族を攻める時に、どこよりも早く援軍に駆け付けたら、褒美を頂けるかもしれない」
「けっ、自分で攫っておいて味方面するのかよ、兄貴らしいな」
「ふん、これくらいしなければ、今のこの国で成り上がれるかよ!
いい加減もう黙れ、本当に連中に聞こえちまうぞ」
「もうとっくに聞こえているよ」
「ひっ!」「だれだ?!」
「お前達が攫おうとしている女子供の大将だよ」
「な、元孤児院の院長とかいう成り上がりの将軍か!」
「今から成り上がろうとしている、お前が言うのか?」
「じゃかましい、やっちまえ!」
「「「「「おう!」」」」」
弱小騎士家の長男が集めて来た、ほとんど盗賊と変わらない、いや、地回りのような連中が一斉に襲い掛かって来た。
地方に在地して、森の猛獣や鳥を狩って暮らしている田舎騎士だけあって、王都で着飾っているだけの騎士や兵士よりはずっと強い。
だがそれでも、魔境との境目で生きている猟師や冒険者よりは弱い。
狭いとはいえ領地を与えられ、魔獣の足元にも及ばない猛獣や鳥を狩れば生きて行ける騎士家など、俺に指1本触れられない。
「ピィー、ピィー、ピィー、ピィー……」
一瞬で皆殺しにしてから、指笛を吹いて見張りの兵士を呼んだ。
魔獣素材の武器と鎧を装備した当番兵が集まって来る。
「王国騎士が夜盗に偽装して襲い掛かって来た。
当人と実家だけでなく、6親等までの血族と3親等までの姻族を、王家に対する反逆罪の連座処分で処刑し、領地と館を接収する」
「「「「「はっ!」」」」」
当番兵達はもう慣れているので、テキパキと遺体を運んでくれる。
殺した兄貴の方が言っていた通り、ここに来るまでの間に、多くの貴族と士族の家を謀叛の罪で潰した。
愚かとしか言いようがないのだが、将軍である俺に賄賂を渡して、王家王国が定めた軍役を免れようとしたのだ。
軍役と言っても、今回は戦争に参加するのではなく、兵糧や軍資金の提供だ。
ただ、食料に毒や下剤を混ぜられたら取り返しがつかないので、兵糧の徴発は行わず、兵糧の分も軍資金として提出させる決まりになっていた。
今回の接収軍も、途中の宿の手配も含めて、街道沿いの貴族士族に軍役がある。
王家王国から正式な使者も送られているし、俺も接収軍の将軍として、宿舎と軍資金の提供を願う使者を送っている。
それを、これまでの貴族士族将軍と同じように、個人的に賄賂を贈ったら、遠征軍に対する宿の提供も軍資金の供出もしなくて良いと思っているのだ。
俺がそんな事を許せば、接収軍は悪天候でも夜営しなければいけなくなる。
ろくな兵糧も無く、飢えに苦しんで体力が低下してしまう。
夜露に濡れて簡単に病になってしまう。
これまでの遠征軍だと、兵士は生き残るために村を襲って金と食べ物を奪う。
将軍は、賄賂を贈って来なかった貴族士族領での略奪を黙認するのだ。
そんな状態だったから、ほぼ全ての貴族士族が将軍に賄賂を贈るのだ。
だが俺は逆だった、賄賂を贈って来た貴族士族の家を叩き潰した。
良識派貴族のように、軍役通り宿の手配を行い、軍資金を供出した家には、何の手出しもしなかった。
盗賊団に偽装して襲って来た貴族士族は今回が初めてではない。
これまでも何組もの貴族士族が襲って来た。
中には謀叛の罪で取り潰された貴族家の私兵もいた。
心からの忠誠心で、仇討のように襲って来たのなら感心したのだが、捕えて厳しく取り調べると、主家が取り潰されて生きて行けなくなったから、逆恨みと金を目当てに襲って来ていた、情けない事だ。
「将軍閣下、接収部隊の編成が終わりました!」
先ほど命令した当番兵が戻ってきて報告する。
王都を出た7日前までは、貧民街で地を這うように生きて来た女性だが、今では本当の兵士のようにキビキビと動く。
俺がクラリス王女への貸しとして、接収軍の者達に供与した皮鎧はまだ身体に馴染んでいないが、必死で本当の兵士になろうと頑張っている。
「王家に対する謀叛人を処罰するまでは、この場に留まる。
編成した接収部隊を率いて、今泊まっている宿と民家の持ち主に、王家に対する謀叛人を処罰するまで、期間無制限で徴発すると言ってくれ」
「承りました」
宿屋と民家の持ち主には可哀想だが、身体が弱っている者が多い、元貧民が大多数の接収軍を、野宿させる訳にはいかない。
まあ、王国の規定よりも高額な、普通の宿泊者が払うのと同じ料金を支給するから、普段の生活を邪魔される民家はともかく、宿は喜ぶだろう。
俺の指揮する接収軍は、徐々に良い装備になっている。
ただ、新たに手に入れた騎士のフルアーマープレイトや、兵士のアーマープレイトを装備している者達は、その重さと行軍距離で疲れ切っている。
集まった軍資金で、買い取れる箱馬車や荷馬車は全部手に入れたが、それでも2万もの接収軍の一部を乗せてやれるに過ぎない。
馬車に優先的に乗れるのは、子供と老人になっている。
とんでもなく重いとはいえ、比較的若くて元気がある女達は、フルアーマープレイトを貸し与えられた女達は、馬車に乗れるのは最後の最後になる。
できる限り行軍距離を短くして、頻繁に休憩と宿泊を取らないといけない。
「将軍閣下、領主のションストン子爵閣下が面会を求めておられます」
「今直ぐに会う、ここに来てもらってくれ」
さて、ションストン子爵はこの襲撃に加担していたのかな?
連座処分を恐れて、賄賂でも持ってきたのかな?
それとも、居丈高に脅せば俺が引くとでも思っているのか?
今晩は想定していた以上の貴族家と士族家と改易にできそうだ。
クラリス王女を戴冠させる条件が着々と整ってきている。
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