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1巻
1-3
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◆ ◆ ◆
その日の夕刻、村に荷馬車がやってきた。
すでに村を出ることに決めていた数名はその馬車に金を払い、乗せてもらうことになっていた。
当然、その者たちだけでは、道中で魔物や盗賊などが出た際に対処できないので、何度か村で依頼を請け負ったことのある冒険者を数名付けている。
ここまで至れり尽くせりなのは、今回で最後。そこから先は、自分たちの判断で進まなくてはならない。
追剥ぎに遭おうが、魔物に襲われようが、それは村を出ると決めた当人の判断で切り抜けなければならないのだ。
こうして、僕の村での生活は再スタートを切ったわけなのだが、大きく変わったかというと、そんなでもないというのが事実だろうな。
変わったことといえば、薬草の採取場所が村の外になった点。といっても、遠くに行くと強力な魔物が出た時に対応できないから、村の近くだ。
そして、家で三十個のポーション作りを日課にした点。
よく考えたら小瓶三十本とポーション三十本分なので、六十回の合成を行うことになっている。
その程度の魔力はあるようなので、もしかしたら魔法使い的な職も向いているのかもしれない。
あとは、三日に一回行われていた教会での学習教室に参加しなくなった点。
必然的にテセスと顔を合わせる回数は減ると思っていたが、そんなことはなかった。
テセスは仕事帰りに毎日のように僕の家に寄って、スキルのレベル上げの手伝いをし、珍しい材料が手に入ると持ってきて、他の合成もやってみようと言った。
ただ、それで新しい発見があったかというと、そんなことはなく、知識系スキルレベル2で習得するようなものしか作ることはできなかったのだけれど。
5話
啓示を受けてから一ヶ月。早い者では、与えられたスキルがレベル2になっていた。
真面目に毎日取り組めば、それくらいでレベルは上がるのだけど、遅い者では半年かかる場合もある。
僕も一応は毎日スキルの上達に勤しんだつもりであったが、相変わらずレベルは1のままだ。
もしかして【合成】はレベルが上がりにくいのだろうか……?
コルンはというと、アッシュのスパルタな特訓でずいぶんと鍛え上げられたようで、村の周囲にいる通常の魔物であれば一人でも退治できるほどになっていた。
最初は頼りない防具を身に着けていたのだけれど、やはり魔物素材や討伐依頼というのは危険な分お金になるらしく、今ではいっぱしの冒険者かと思えるほどの装備を揃えている。
この分では、コルンが村を出るのもそう遠い話ではないんだろうな。
僕はというと、小瓶作りを日課から外し、代わりに雑貨屋で小瓶を大量に購入することにした。
とりあえずレベルは2に上がりましたよ、という体でいくことにしたのだ。この時期になれば、毎年そういった者も現れるから不自然じゃないし、いつまでもコソコソとやるのは正直つらかったというのもある。
二十四本入りの小瓶を五箱買って、家に持って帰った。さすがにこれ以上は重くて持つのが嫌になる。
薬草に関しては、自分の部屋に大量に保管してあるので購入する必要はない。
乾燥させてあるからあまり上質とはいえないけれど、全てここ一ヶ月で採取したものである。
母に販売を委託していたおかげで資金に余裕が生まれ、材料は十分に購入できた。
レベル2ならポーションが作れても不思議ではない。ようやく自分で堂々と稼げると思うとわくわくする。
帰り道で、僕のことを知っているおじさんに、『おぅ、アレクんとこの坊主じゃねぇか。その様子だとレベルが上がってポーション作りに励んでるって感じか?』と声をかけられた。
そう、その通り! 良かった、僕の思っている通りに見られたようで。
きっと僕の表情はにやけていたんだろうな。
その後も、通りすがりのおばちゃんに『あら、楽しそうね』なんて言われたのだから。
家に帰ると机に向かい、さっそく薬草と小瓶を取り出す。
薬草十枚で一個のポーションが作れるのだが、乾燥したものを使う際には水も必要になる。
本当は蒸留水や、魔力水と呼ばれるものを使うとより効果的なのだけれど、そこまで手をかける必要はないだろう。
それでも一応、蒸留水を【合成】スキルで作れないかと試してみたが、さすがに無理だった。合成ではないということなのかもしれない。
【錬金の心得】で作れる魔力水ならばと思い、汲んできた水に魔力草を組み合わせてみたのだけれど、これもダメだった。
そもそも魔力水はレベル4で作ることができるアイテムだ。合成できるとしても、レベル不足なのだろう。
ちなみに魔力草は魔力回復薬の材料なので、非常に高価だ。買えば小銀貨どころか、銀貨一枚はなくなってしまう。テセスが教会に届けられた物資の中にあったものを一ついただいたというので、試してみたのだ。
もちろん、これも乾燥した品であるため、そのまま大事に保管してある。
そんなわけで、今回は井戸水と乾燥した薬草のみの合成だ。
受け皿を用意し、次々と合成を行っていく。
と、それは起きた。
《スキル【合成】がレベル2に上がりました》
作り始めてだいぶ経ち、勢いに乗って六十どころか小瓶を八十本以上も消費していた頃だった。
考えてみれば、熟練の職人でもないのに、なぜこんなにも大量の合成ができるのだろうか? と疑問である。
後々このことをテセスに相談したら、思い当たることを教えてくれた。
一説によれば、啓示を授かってすぐは色々な能力が上がりやすいのだという。もちろん、それは固有スキルも例外ではない。
僕の場合は、初日から合成を続けていた。
知識系スキルがレベル1の間――最低一ヶ月は何もできずにいるところを、僕はガンガン合成を繰り返していたわけだ。
もしかしたらそのおかげで、異常なほどの魔力量を得られたのではないだろうか? とのこと。
とにかくその日は、残った一箱の小瓶にもポーションを注いでいき、たった一日で百二十本のポーションを仕上げてしまったのだった。
そして、雑貨屋に売りにいく。
スキルを授かってからの期間的には怪しまれることはないのだけど、大量だったので、半分以上は母の作ったものだということにしておいた。
ポーションは、いくら作っても良い値段で買い取ってもらえる。それも、まとまった数ならばなおさらだ。
ちょっとした疲労回復に、まるで水でも飲むかのような感覚で消費する者が多いからである。
それに、最近雑貨屋のポーションは効き目が良いものが多いと評判らしく、いつも品薄とのことだった。
「センの処女作ってわけか。こりゃ売り物になんねえな」
店主は笑いながら、そんなことを言う。
実際はずっと前から僕の作ったポーションが売られているわけだが、表向きには処女作なので、そう判断されるのは仕方がない。
ちょっと見栄を張りたかった僕は、終わりのほうに作った一箱分を自作ということにした。
どうせ疲労回復程度に飲まれるのだから、多少の効果の違いなどわかるわけがないだろうけれど。
その一箱は雑貨屋のカウンターにドンッと置かれ、銅貨一枚の値段と『セン作、一人一本限り』と書かれた手書きの木札がつけられた。
処女作は、こうやって通常の商品とは別にして売られることになる。
そして、それを見た者は効能のほどはわからずに、『ご祝儀』と言って売値より高い小銀貨一枚を置いて買って帰る。
後日、売れた本数分だけのお金が僕に渡されるというわけだ。
一人一本という制限があるのは、効き目がないものを売りたくない店側の思いと、実際にご祝儀を出してくれた人の数がわかりやすいからである。
そして僕の作ったポーションは、『たった二日で全てなくなった』と店主が驚いていた。
たまたま店に寄った冒険者が、いつも以上に稼げたからとご祝儀に買ってくれたらしい。しかも、『えらく効き目がある』と宿で触れ回っていたそうで、その時に泊まっていた他の冒険者に一気に広まったのだとか。
手元にあるのは、小銀貨二十四枚の入った麻袋。
普通なら、十枚もあれば上々なのだが……
このご祝儀を受け取るまでの三日間、僕は雑貨屋で大量の素材と小瓶を購入し、何往復かして家に持ち帰っていた。
中には中級ポーションの素材もあったので、ずいぶん不思議がられたのだが、これはいつか使ってみたくて部屋に置いておきたいだけ、ということにしておいた。
レベルに見合わない素材を買う時は、流れの行商人とかのほうがいいのかもしれないなぁ。
あとは自分で採取に行くとか。でも、その場合は護衛をつけることになるから、結局はなぜその素材が必要なのかと不審がられて意味がないだろう。
【合成】のレベルが上がったので、まずは知識系レベル3で作れるものを合成できるか確認したい。
たとえば、各種疾病用の薬がそれにあたり、魔物との戦闘では状態異常と呼ばれることが多いので、『状態異常薬』が通り名になっている。
その中でも多いのが毒消し薬だ。
ちなみに、麻痺とか幻覚も毒による症状の一種だろうという議論がなされたこともあったのだが、それらの症状には毒消し薬が効かないから、原因は別だと認識されるようになったらしい。
毒消し薬は、村の近くにもよく生えている『毒草』を材料とするが、これはそのまま食すと全身の麻痺や痙攣を引き起こす。
それともう一つの材料は、土の中にいるワームという小さな生き物だ。
さすがにワームは家で保管していないので、さっそく村近くの茂みに捕まえにいった。
比較的簡単に見つかるので時間はかからないのだが、どうせなら二十四本一箱分を作ろうと考えているので、必要なワームの数はその三倍になる。
うねうねと蠢く姿は、とてもゾッとするものであった。
ちなみにワームは麻痺の薬や幻覚の薬にも必要で、これを養殖している者もいるらしい。僕には到底できないことだ。
家に帰って準備万端。ワームを入れた容器の中から三匹を取り出し、毒草の上に置いて【合成】スキルを使う。
一応、乾燥した毒草もあるのだけど、今回はせっかくなのでこちらも新鮮なものを使うことにした。
徐々に光に包まれていき、ポタポタと受け皿に溜まっていく液体。
成功だった。
続けてさっさと一箱分を完成させてしまう。理由は、ワームを早くなくしたいから。
いや、生き物だから可哀想ではあるけれど、うん。
毒消し薬も雑貨屋に持っていけば買い取ってくれるのだが、ポーションほど需要がなく、価格は落ちてしまう。
ただ、販売価格が安いかというと、それはまた別の話で、店の売値は小銀貨一枚、買い取り価格は銅貨一枚だ。
冒険者にとっての重要性、それと需要と供給の関係ってやつらしい。
ともあれ、そんなわけで毒消し薬はあくまで実験として作ったもの。金策としての本命は別にある。
何をするかというと、近くに生えている毒キノコを採取して、毒抜きをするだけ。
とても希少な『まだら茸』というキノコが山の高所に生えているのだが、村の近くに生えている『まだら毒茸』も実は同じキノコなのだ。
まだら茸は、どうも周りの温度や気圧によって毒素を発生させるらしい。環境を調整してまだら茸の栽培を試みた者もいるのだけど、上手くいかなかったそうである。
そこで使われるのが、【サバイバーの心得】レベル3で得られる、解毒術。
これによってまだら毒茸の毒を抜くと、希少なまだら茸として売ることができる。
だったらまだら茸を量産できそうなものだが、そもそもこのスキル自体が非常に珍しく、レベル上げの最中に命を落とす者が多いので、ほとんど情報もないらしい。
解毒術が合成に属するのかどうかは知らないけれど、これに使うアイテムが毒消し薬なのだから、きっとできるんじゃないかな? と思った。
先ほどワームを捕るついでに、村の近くに生えていたまだら毒茸を一本採ってきているので、これを使って早速やってみたのだが――これが驚くことに上手くいった……と思う。
見た目には若干色が薄くなった程度なので、本物のまだら茸を知らない僕には、成功かどうか、鑑定してもらうまでわからない。
テセスを呼ぶために教会に行くと、ちょうど彼女は帰るところだった。
「あ、今帰り? よかったら家に寄ってってくれない? 今日はごちそうが出ると思うよ」
思う、と言ったのは、まだ毒抜きが成功したかはわからなかったから。
帰り道でまだら毒茸を採取しながら事情を話し、僕の家まで来てもらった。
毒抜きのスキルが存在することはあまり知られていないので、テセスは冗談だと思ったらしい。
「どうしたのセン? もしかして毒キノコで頭おかしくなっちゃった?」
さすがにそう言われると悲しくなってしまう。
とりあえず家に着いてから実物を見せたら、テセスはかなり驚いていた。
鑑定結果は、もちろん成功。
いくら立派なキノコでも、一つじゃ食卓が寂しいので続けて三つ、毒抜きをして母に渡す。
「え? これ毒キノコじゃない。こんなもの、どうしたのよ?」
「ふふっ、やっぱりフロウさんもそう思いますよね」
当然、母も食べられないキノコだと考えたのだが、テセスが毒がないことを説明してくれたので信用して料理してくれた……のだけど。
母はあえて食卓の中心には並べず、父の料理にだけそのキノコを置いた。
帰宅して、食卓についた父は、ギョッとして僕たち三人を見回している。
「ど、どどど……どうしたんだ一体? 俺が何かしたのか?」
何か悪いことをして罰を受けているのではないかと不安になる父に対し、『あなたが食べないのでしたら私が食べますわ』と言って、キノコをひょいとつまみ上げる母。
「ばっ、馬鹿やめろ!」
そう言って椅子から立ち上がったところで、僕とテセスは笑いを堪えられなくなってしまった。
「大丈夫ですよ、アレクさん。そのキノコに毒はありませんから」
テセスの言っていることを理解できずに困惑する父に、母はキッチンから三皿のキノコ料理を持ってくる。
実はこの二人、過去に一度だけこのキノコを料理屋で食べたことがあるらしい。希少なまだら茸を出す店なのだから、ずいぶんと高級な店だったのだろう。
毒キノコだと思った母に対し、横から『食べられないのか?』と言って代わりに食べたのが、父なのだそうだ。それが二人の出会いとのことで、夕食ではそんな話で盛り上がった。
◆ ◆ ◆
後日、僕が雑貨屋からポーション代を受け取った際に取り出したのは、毒を抜いた二十本のまだら茸。
「先日、村の外で困っている人にポーションを譲ってあげたところ、『お礼に』と貰いまして」
村の外に大量のポーションを持って行ったというのは変な設定だったな、と言った後で思った。
まぁ、それでも店主は何も気にならなかったようなので、こんな希少なキノコを貰えるなんて運がいい坊主だな、程度の認識だったのだろう。
まだら茸には、それを証明するテセスによる鑑定書と教会の判をつけてもらった。
もちろん、この鑑定にはしっかりと代金を支払っている。それを差し引いても十分に有り余る金銭を入手できるのだから。
すぐに雑貨屋から料理屋や行商人に話が行き、僕から小金貨一枚で買ったキノコは、その倍の価格で売れたらしい。
小金貨と言ってもいまいちピンとこなかった僕は、銅貨に換算してようやくその価値を知ることになる。
銅貨千枚分……
銅貨五枚もあれば、一日生きていける。贅沢をしてもせいぜい二十枚だ。
『これで武器なんかを買ってもいいな』と思ったことにより、僕のスキルはさらに真価を発揮していくのだった。
6話
「いらっしゃい、おぉアレクんとこの坊主か」
武器屋は、魔物退治に行く父と一緒に何度か訪れたことはあるが、一人で来るのはこれが初めてかもしれない。
【魔物感知】スキルを持っている父は、意外と冒険者たちから重宝されているようで、村の外から来た者の案内役などを買って出ていた。
なので必然的に装備も良いものが必要になり、よくこの武器屋を訪れているというわけだ。
「今日はお使いか?」
「違うよ、僕だってもう十五歳になったんだし、貯金も貯まったから、装備の一式くらい整えたいと思ってさ」
これまで使っていたのは、父のお古の装備とテセスがくれたダガーだけである。
防具は所々ほつれていたりもするので、買い替えの意味もあるのだが、せっかくなので小金貨一枚分くらいで良い装備を揃えたいと思った。
「よっしゃ、じゃあ予算は銀貨二枚くらいだな?」
勝手にそう決めつける武器屋の親父さん。きっとそれが最低価格なのだろう。
まぁ銀貨一枚でも十分高価なのだけど、僕の予算はその五倍。貯金も合わせればあと銀貨三枚は出せるしな。
「小金貨一枚! それで僕の装備を見繕ってよ」
「おぉ、ずいぶんと羽振りがいいじゃねえか。でもよ、アレクより高い装備品を揃えて大丈夫なのか?」
「そうなの?」
父は、実はそんなに高いものは買っていないのだそうだ。
基本は魔物を察知したら隠れ、守ってもらう立場なので、それほど強力な武器は必要なく、むしろ逃げるために動きやすいものを好んでいるらしい。
「まぁいいんじゃないかな? 僕と父では装備に求めるものも違うみたいだし」
「だな。じゃあ、もう坊主なんて呼べねえなぁ。これからは『セン』だな」
父の息子に変わりはないが、僕は僕だ。
将来を悩んでたくさん父に頼ってはきたけれど、十五歳になったからには、僕がするべきことは自分の力で切り開いていかなきゃいけない。
といっても、ポーションを売るのに母の名前を出したりと、結局頼れるところは頼っちゃうんだけどね。
「よし、こんなもんでどうだ?」
用意してくれたのは、金属を使った防具の数々。
全身鎧ではなく、急所を守るための胸当てや腰当て、あるいは革の装備品を補強するものなどだ。
頭用には、体が未熟な頃から重い物をつけると成長に良くないと言われ、金属繊維を編み込んだバンダナを用意してくれた。
実はこのバンダナが一番高価だったりする。
「武器はそのダガーなら問題ないだろう。遠距離攻撃用が必要なら、弓なんかがいいんじゃないか?」
そんなに良いダガーなのかと聞いたら、まぁそこそこのものだそうだ。
これ以上の武器を買おうと思うと小金貨一枚じゃ足りないらしい。
「そっか、遠距離だと魔法って手もあるんだよね?」
「そうだな。ただ、魔力を増幅させ、強力な技として打ち出すのには媒体が必要になる。精錬された媒体は結構な値段するからな」
よく魔法使いが杖などを持っているが、それについているのが媒体なのだそうだ。
媒体の素材自体はありふれたもので、この武器屋の隅にある木箱にぎっしり詰め込まれている魔石たちがそれに当たる。
少し輝いていて、まぁそこそこ綺麗だけど、そこまでの価値はない。
簡単にいえば魔素によって変異した石が魔石なのだが、精錬されていないものでは家庭で火を熾したり水を出したりする程度にしか利用できない。
しかも高価な宝石ほど綺麗なものでもないから、アクセサリーとしても中途半端だった。
だから、【錬金の心得】を得た者は、これらの魔石を組み合わせて精錬し、狙った効果を持つ高純度の媒体を作りだすのだ。
当然、粗悪品が多く出回っていて、これにも価値はない。
粗悪品の媒体は下手をすれば精錬前の魔石にすら劣ることもあり、狙った効果が生まれない上に、高純度ゆえに魔力だけは多く消費してしまう。だったら使わないほうがいいというわけだ。
その日の夕刻、村に荷馬車がやってきた。
すでに村を出ることに決めていた数名はその馬車に金を払い、乗せてもらうことになっていた。
当然、その者たちだけでは、道中で魔物や盗賊などが出た際に対処できないので、何度か村で依頼を請け負ったことのある冒険者を数名付けている。
ここまで至れり尽くせりなのは、今回で最後。そこから先は、自分たちの判断で進まなくてはならない。
追剥ぎに遭おうが、魔物に襲われようが、それは村を出ると決めた当人の判断で切り抜けなければならないのだ。
こうして、僕の村での生活は再スタートを切ったわけなのだが、大きく変わったかというと、そんなでもないというのが事実だろうな。
変わったことといえば、薬草の採取場所が村の外になった点。といっても、遠くに行くと強力な魔物が出た時に対応できないから、村の近くだ。
そして、家で三十個のポーション作りを日課にした点。
よく考えたら小瓶三十本とポーション三十本分なので、六十回の合成を行うことになっている。
その程度の魔力はあるようなので、もしかしたら魔法使い的な職も向いているのかもしれない。
あとは、三日に一回行われていた教会での学習教室に参加しなくなった点。
必然的にテセスと顔を合わせる回数は減ると思っていたが、そんなことはなかった。
テセスは仕事帰りに毎日のように僕の家に寄って、スキルのレベル上げの手伝いをし、珍しい材料が手に入ると持ってきて、他の合成もやってみようと言った。
ただ、それで新しい発見があったかというと、そんなことはなく、知識系スキルレベル2で習得するようなものしか作ることはできなかったのだけれど。
5話
啓示を受けてから一ヶ月。早い者では、与えられたスキルがレベル2になっていた。
真面目に毎日取り組めば、それくらいでレベルは上がるのだけど、遅い者では半年かかる場合もある。
僕も一応は毎日スキルの上達に勤しんだつもりであったが、相変わらずレベルは1のままだ。
もしかして【合成】はレベルが上がりにくいのだろうか……?
コルンはというと、アッシュのスパルタな特訓でずいぶんと鍛え上げられたようで、村の周囲にいる通常の魔物であれば一人でも退治できるほどになっていた。
最初は頼りない防具を身に着けていたのだけれど、やはり魔物素材や討伐依頼というのは危険な分お金になるらしく、今ではいっぱしの冒険者かと思えるほどの装備を揃えている。
この分では、コルンが村を出るのもそう遠い話ではないんだろうな。
僕はというと、小瓶作りを日課から外し、代わりに雑貨屋で小瓶を大量に購入することにした。
とりあえずレベルは2に上がりましたよ、という体でいくことにしたのだ。この時期になれば、毎年そういった者も現れるから不自然じゃないし、いつまでもコソコソとやるのは正直つらかったというのもある。
二十四本入りの小瓶を五箱買って、家に持って帰った。さすがにこれ以上は重くて持つのが嫌になる。
薬草に関しては、自分の部屋に大量に保管してあるので購入する必要はない。
乾燥させてあるからあまり上質とはいえないけれど、全てここ一ヶ月で採取したものである。
母に販売を委託していたおかげで資金に余裕が生まれ、材料は十分に購入できた。
レベル2ならポーションが作れても不思議ではない。ようやく自分で堂々と稼げると思うとわくわくする。
帰り道で、僕のことを知っているおじさんに、『おぅ、アレクんとこの坊主じゃねぇか。その様子だとレベルが上がってポーション作りに励んでるって感じか?』と声をかけられた。
そう、その通り! 良かった、僕の思っている通りに見られたようで。
きっと僕の表情はにやけていたんだろうな。
その後も、通りすがりのおばちゃんに『あら、楽しそうね』なんて言われたのだから。
家に帰ると机に向かい、さっそく薬草と小瓶を取り出す。
薬草十枚で一個のポーションが作れるのだが、乾燥したものを使う際には水も必要になる。
本当は蒸留水や、魔力水と呼ばれるものを使うとより効果的なのだけれど、そこまで手をかける必要はないだろう。
それでも一応、蒸留水を【合成】スキルで作れないかと試してみたが、さすがに無理だった。合成ではないということなのかもしれない。
【錬金の心得】で作れる魔力水ならばと思い、汲んできた水に魔力草を組み合わせてみたのだけれど、これもダメだった。
そもそも魔力水はレベル4で作ることができるアイテムだ。合成できるとしても、レベル不足なのだろう。
ちなみに魔力草は魔力回復薬の材料なので、非常に高価だ。買えば小銀貨どころか、銀貨一枚はなくなってしまう。テセスが教会に届けられた物資の中にあったものを一ついただいたというので、試してみたのだ。
もちろん、これも乾燥した品であるため、そのまま大事に保管してある。
そんなわけで、今回は井戸水と乾燥した薬草のみの合成だ。
受け皿を用意し、次々と合成を行っていく。
と、それは起きた。
《スキル【合成】がレベル2に上がりました》
作り始めてだいぶ経ち、勢いに乗って六十どころか小瓶を八十本以上も消費していた頃だった。
考えてみれば、熟練の職人でもないのに、なぜこんなにも大量の合成ができるのだろうか? と疑問である。
後々このことをテセスに相談したら、思い当たることを教えてくれた。
一説によれば、啓示を授かってすぐは色々な能力が上がりやすいのだという。もちろん、それは固有スキルも例外ではない。
僕の場合は、初日から合成を続けていた。
知識系スキルがレベル1の間――最低一ヶ月は何もできずにいるところを、僕はガンガン合成を繰り返していたわけだ。
もしかしたらそのおかげで、異常なほどの魔力量を得られたのではないだろうか? とのこと。
とにかくその日は、残った一箱の小瓶にもポーションを注いでいき、たった一日で百二十本のポーションを仕上げてしまったのだった。
そして、雑貨屋に売りにいく。
スキルを授かってからの期間的には怪しまれることはないのだけど、大量だったので、半分以上は母の作ったものだということにしておいた。
ポーションは、いくら作っても良い値段で買い取ってもらえる。それも、まとまった数ならばなおさらだ。
ちょっとした疲労回復に、まるで水でも飲むかのような感覚で消費する者が多いからである。
それに、最近雑貨屋のポーションは効き目が良いものが多いと評判らしく、いつも品薄とのことだった。
「センの処女作ってわけか。こりゃ売り物になんねえな」
店主は笑いながら、そんなことを言う。
実際はずっと前から僕の作ったポーションが売られているわけだが、表向きには処女作なので、そう判断されるのは仕方がない。
ちょっと見栄を張りたかった僕は、終わりのほうに作った一箱分を自作ということにした。
どうせ疲労回復程度に飲まれるのだから、多少の効果の違いなどわかるわけがないだろうけれど。
その一箱は雑貨屋のカウンターにドンッと置かれ、銅貨一枚の値段と『セン作、一人一本限り』と書かれた手書きの木札がつけられた。
処女作は、こうやって通常の商品とは別にして売られることになる。
そして、それを見た者は効能のほどはわからずに、『ご祝儀』と言って売値より高い小銀貨一枚を置いて買って帰る。
後日、売れた本数分だけのお金が僕に渡されるというわけだ。
一人一本という制限があるのは、効き目がないものを売りたくない店側の思いと、実際にご祝儀を出してくれた人の数がわかりやすいからである。
そして僕の作ったポーションは、『たった二日で全てなくなった』と店主が驚いていた。
たまたま店に寄った冒険者が、いつも以上に稼げたからとご祝儀に買ってくれたらしい。しかも、『えらく効き目がある』と宿で触れ回っていたそうで、その時に泊まっていた他の冒険者に一気に広まったのだとか。
手元にあるのは、小銀貨二十四枚の入った麻袋。
普通なら、十枚もあれば上々なのだが……
このご祝儀を受け取るまでの三日間、僕は雑貨屋で大量の素材と小瓶を購入し、何往復かして家に持ち帰っていた。
中には中級ポーションの素材もあったので、ずいぶん不思議がられたのだが、これはいつか使ってみたくて部屋に置いておきたいだけ、ということにしておいた。
レベルに見合わない素材を買う時は、流れの行商人とかのほうがいいのかもしれないなぁ。
あとは自分で採取に行くとか。でも、その場合は護衛をつけることになるから、結局はなぜその素材が必要なのかと不審がられて意味がないだろう。
【合成】のレベルが上がったので、まずは知識系レベル3で作れるものを合成できるか確認したい。
たとえば、各種疾病用の薬がそれにあたり、魔物との戦闘では状態異常と呼ばれることが多いので、『状態異常薬』が通り名になっている。
その中でも多いのが毒消し薬だ。
ちなみに、麻痺とか幻覚も毒による症状の一種だろうという議論がなされたこともあったのだが、それらの症状には毒消し薬が効かないから、原因は別だと認識されるようになったらしい。
毒消し薬は、村の近くにもよく生えている『毒草』を材料とするが、これはそのまま食すと全身の麻痺や痙攣を引き起こす。
それともう一つの材料は、土の中にいるワームという小さな生き物だ。
さすがにワームは家で保管していないので、さっそく村近くの茂みに捕まえにいった。
比較的簡単に見つかるので時間はかからないのだが、どうせなら二十四本一箱分を作ろうと考えているので、必要なワームの数はその三倍になる。
うねうねと蠢く姿は、とてもゾッとするものであった。
ちなみにワームは麻痺の薬や幻覚の薬にも必要で、これを養殖している者もいるらしい。僕には到底できないことだ。
家に帰って準備万端。ワームを入れた容器の中から三匹を取り出し、毒草の上に置いて【合成】スキルを使う。
一応、乾燥した毒草もあるのだけど、今回はせっかくなのでこちらも新鮮なものを使うことにした。
徐々に光に包まれていき、ポタポタと受け皿に溜まっていく液体。
成功だった。
続けてさっさと一箱分を完成させてしまう。理由は、ワームを早くなくしたいから。
いや、生き物だから可哀想ではあるけれど、うん。
毒消し薬も雑貨屋に持っていけば買い取ってくれるのだが、ポーションほど需要がなく、価格は落ちてしまう。
ただ、販売価格が安いかというと、それはまた別の話で、店の売値は小銀貨一枚、買い取り価格は銅貨一枚だ。
冒険者にとっての重要性、それと需要と供給の関係ってやつらしい。
ともあれ、そんなわけで毒消し薬はあくまで実験として作ったもの。金策としての本命は別にある。
何をするかというと、近くに生えている毒キノコを採取して、毒抜きをするだけ。
とても希少な『まだら茸』というキノコが山の高所に生えているのだが、村の近くに生えている『まだら毒茸』も実は同じキノコなのだ。
まだら茸は、どうも周りの温度や気圧によって毒素を発生させるらしい。環境を調整してまだら茸の栽培を試みた者もいるのだけど、上手くいかなかったそうである。
そこで使われるのが、【サバイバーの心得】レベル3で得られる、解毒術。
これによってまだら毒茸の毒を抜くと、希少なまだら茸として売ることができる。
だったらまだら茸を量産できそうなものだが、そもそもこのスキル自体が非常に珍しく、レベル上げの最中に命を落とす者が多いので、ほとんど情報もないらしい。
解毒術が合成に属するのかどうかは知らないけれど、これに使うアイテムが毒消し薬なのだから、きっとできるんじゃないかな? と思った。
先ほどワームを捕るついでに、村の近くに生えていたまだら毒茸を一本採ってきているので、これを使って早速やってみたのだが――これが驚くことに上手くいった……と思う。
見た目には若干色が薄くなった程度なので、本物のまだら茸を知らない僕には、成功かどうか、鑑定してもらうまでわからない。
テセスを呼ぶために教会に行くと、ちょうど彼女は帰るところだった。
「あ、今帰り? よかったら家に寄ってってくれない? 今日はごちそうが出ると思うよ」
思う、と言ったのは、まだ毒抜きが成功したかはわからなかったから。
帰り道でまだら毒茸を採取しながら事情を話し、僕の家まで来てもらった。
毒抜きのスキルが存在することはあまり知られていないので、テセスは冗談だと思ったらしい。
「どうしたのセン? もしかして毒キノコで頭おかしくなっちゃった?」
さすがにそう言われると悲しくなってしまう。
とりあえず家に着いてから実物を見せたら、テセスはかなり驚いていた。
鑑定結果は、もちろん成功。
いくら立派なキノコでも、一つじゃ食卓が寂しいので続けて三つ、毒抜きをして母に渡す。
「え? これ毒キノコじゃない。こんなもの、どうしたのよ?」
「ふふっ、やっぱりフロウさんもそう思いますよね」
当然、母も食べられないキノコだと考えたのだが、テセスが毒がないことを説明してくれたので信用して料理してくれた……のだけど。
母はあえて食卓の中心には並べず、父の料理にだけそのキノコを置いた。
帰宅して、食卓についた父は、ギョッとして僕たち三人を見回している。
「ど、どどど……どうしたんだ一体? 俺が何かしたのか?」
何か悪いことをして罰を受けているのではないかと不安になる父に対し、『あなたが食べないのでしたら私が食べますわ』と言って、キノコをひょいとつまみ上げる母。
「ばっ、馬鹿やめろ!」
そう言って椅子から立ち上がったところで、僕とテセスは笑いを堪えられなくなってしまった。
「大丈夫ですよ、アレクさん。そのキノコに毒はありませんから」
テセスの言っていることを理解できずに困惑する父に、母はキッチンから三皿のキノコ料理を持ってくる。
実はこの二人、過去に一度だけこのキノコを料理屋で食べたことがあるらしい。希少なまだら茸を出す店なのだから、ずいぶんと高級な店だったのだろう。
毒キノコだと思った母に対し、横から『食べられないのか?』と言って代わりに食べたのが、父なのだそうだ。それが二人の出会いとのことで、夕食ではそんな話で盛り上がった。
◆ ◆ ◆
後日、僕が雑貨屋からポーション代を受け取った際に取り出したのは、毒を抜いた二十本のまだら茸。
「先日、村の外で困っている人にポーションを譲ってあげたところ、『お礼に』と貰いまして」
村の外に大量のポーションを持って行ったというのは変な設定だったな、と言った後で思った。
まぁ、それでも店主は何も気にならなかったようなので、こんな希少なキノコを貰えるなんて運がいい坊主だな、程度の認識だったのだろう。
まだら茸には、それを証明するテセスによる鑑定書と教会の判をつけてもらった。
もちろん、この鑑定にはしっかりと代金を支払っている。それを差し引いても十分に有り余る金銭を入手できるのだから。
すぐに雑貨屋から料理屋や行商人に話が行き、僕から小金貨一枚で買ったキノコは、その倍の価格で売れたらしい。
小金貨と言ってもいまいちピンとこなかった僕は、銅貨に換算してようやくその価値を知ることになる。
銅貨千枚分……
銅貨五枚もあれば、一日生きていける。贅沢をしてもせいぜい二十枚だ。
『これで武器なんかを買ってもいいな』と思ったことにより、僕のスキルはさらに真価を発揮していくのだった。
6話
「いらっしゃい、おぉアレクんとこの坊主か」
武器屋は、魔物退治に行く父と一緒に何度か訪れたことはあるが、一人で来るのはこれが初めてかもしれない。
【魔物感知】スキルを持っている父は、意外と冒険者たちから重宝されているようで、村の外から来た者の案内役などを買って出ていた。
なので必然的に装備も良いものが必要になり、よくこの武器屋を訪れているというわけだ。
「今日はお使いか?」
「違うよ、僕だってもう十五歳になったんだし、貯金も貯まったから、装備の一式くらい整えたいと思ってさ」
これまで使っていたのは、父のお古の装備とテセスがくれたダガーだけである。
防具は所々ほつれていたりもするので、買い替えの意味もあるのだが、せっかくなので小金貨一枚分くらいで良い装備を揃えたいと思った。
「よっしゃ、じゃあ予算は銀貨二枚くらいだな?」
勝手にそう決めつける武器屋の親父さん。きっとそれが最低価格なのだろう。
まぁ銀貨一枚でも十分高価なのだけど、僕の予算はその五倍。貯金も合わせればあと銀貨三枚は出せるしな。
「小金貨一枚! それで僕の装備を見繕ってよ」
「おぉ、ずいぶんと羽振りがいいじゃねえか。でもよ、アレクより高い装備品を揃えて大丈夫なのか?」
「そうなの?」
父は、実はそんなに高いものは買っていないのだそうだ。
基本は魔物を察知したら隠れ、守ってもらう立場なので、それほど強力な武器は必要なく、むしろ逃げるために動きやすいものを好んでいるらしい。
「まぁいいんじゃないかな? 僕と父では装備に求めるものも違うみたいだし」
「だな。じゃあ、もう坊主なんて呼べねえなぁ。これからは『セン』だな」
父の息子に変わりはないが、僕は僕だ。
将来を悩んでたくさん父に頼ってはきたけれど、十五歳になったからには、僕がするべきことは自分の力で切り開いていかなきゃいけない。
といっても、ポーションを売るのに母の名前を出したりと、結局頼れるところは頼っちゃうんだけどね。
「よし、こんなもんでどうだ?」
用意してくれたのは、金属を使った防具の数々。
全身鎧ではなく、急所を守るための胸当てや腰当て、あるいは革の装備品を補強するものなどだ。
頭用には、体が未熟な頃から重い物をつけると成長に良くないと言われ、金属繊維を編み込んだバンダナを用意してくれた。
実はこのバンダナが一番高価だったりする。
「武器はそのダガーなら問題ないだろう。遠距離攻撃用が必要なら、弓なんかがいいんじゃないか?」
そんなに良いダガーなのかと聞いたら、まぁそこそこのものだそうだ。
これ以上の武器を買おうと思うと小金貨一枚じゃ足りないらしい。
「そっか、遠距離だと魔法って手もあるんだよね?」
「そうだな。ただ、魔力を増幅させ、強力な技として打ち出すのには媒体が必要になる。精錬された媒体は結構な値段するからな」
よく魔法使いが杖などを持っているが、それについているのが媒体なのだそうだ。
媒体の素材自体はありふれたもので、この武器屋の隅にある木箱にぎっしり詰め込まれている魔石たちがそれに当たる。
少し輝いていて、まぁそこそこ綺麗だけど、そこまでの価値はない。
簡単にいえば魔素によって変異した石が魔石なのだが、精錬されていないものでは家庭で火を熾したり水を出したりする程度にしか利用できない。
しかも高価な宝石ほど綺麗なものでもないから、アクセサリーとしても中途半端だった。
だから、【錬金の心得】を得た者は、これらの魔石を組み合わせて精錬し、狙った効果を持つ高純度の媒体を作りだすのだ。
当然、粗悪品が多く出回っていて、これにも価値はない。
粗悪品の媒体は下手をすれば精錬前の魔石にすら劣ることもあり、狙った効果が生まれない上に、高純度ゆえに魔力だけは多く消費してしまう。だったら使わないほうがいいというわけだ。
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