トラウマを抱えたDKがトイレに入れない話

こじらせた処女

文字の大きさ
9 / 51
第一章

9

しおりを挟む
「おれは、あの公園で、レイプされました」
目の前の教え子が、消え入るような声で呟く。膝に乗せた手の甲に、ぽた、ぽたと涙が流れる。
「きゅ、に、つれられて、それで、めを、かくされて、」
「もういい。辛かったな」
言葉にするたびに浅くなる呼吸。よっぽど怖かったのだろう。手は冷たいし、背中も震えている。
「誰かに相談はしたか?」 
ふるふる、と首が横に振れる。
「でもな、危険だからな…家族に今日話しにいっても…」
「いやです!」
「でも…」
「絶対いやです!親に知られるなんて、そんなの、死んだ方がマシだ!」
  性暴力は、普通の暴力よりも重いものなのかもしれない。少なくとも目の前の青年はそう思っているだろう。       教師としては引っぱたいてでも警察なり家族なりに報告するものだ。
 でも、今そんなことしたら、彼が本当に死んでしまうかもしれない。
「分かった。言わない。」
安堵したため息、そして今もなお聞こえる引きつった泣き声。
「先生とお前だけの秘密だ。だから、俺には何でも言ってくれ」
(かわいそうに)
思春期、一番性に鋭くて、未確定に思う時期。そんな時に受けた傷は、深く、深く刻まれる。もし彼女が出来ても、そういうことが出来ない、何てこともありうるくらいには。
 致命的で、許されないことを犯人はした。
 体をそっと抱きしめた。耳の後ろですすり泣く声がまだ、聞こえる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

僕の穴があるから入りましょう!!

ミクリ21
BL
穴があったら入りたいって言葉から始まる。

Memory

yoyo
BL
昔の嫌な記憶が蘇って、恋人の隣でおねしょしてしまう話です

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...