トラウマを抱えたDKがトイレに入れない話

こじらせた処女

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第三章

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「失礼します…」
「おお、よくきたな。入れ入れ」
先生しかいない教室は、とても広く感じる。ほてった体が冷たい空気で冷やされていく。
「それで、今日は何を?」
「まず、何が怖いのかを明確にする練習をしよう」
「思い出す、ってこと、ですか?」
「そう。俺は医者じゃないから薬とかは出せないけど。気分が悪くなったらすぐ言えよ」
「はい…」
「じゃあ、始めるか」



「んー、一応頭の中に描いているんだよな?」
「はい。でも、嫌悪はあるけどトラウマほどの症状は出ないんです」
「きちんと説明も出来てるし…時田はトイレって場所自体に苦手意識があるのか…」
「どーでしょう…」
トイレ、トイレ、場所を思い浮かべるだけだとなんともない。でも、
(…小便したくなってきた…)
キンキンに冷え切った部屋で、熱中症防止と言われて手渡された水を飲んだのを思い出す。家を出る前に済ませてきたんだけどな…足が勝手に動く。
「せんせ、あの、おしっ…小便したい、です…」
「ああ、いいぞ。…今日も4階か?」
「そう、ですね…」
「そうか。…なあ、今日はトイレでしてみないか?」
ドクリと心臓が跳ねる。
「トイレで、ですか…」
「ああ。多分時田はトイレは用を足すところって認識が薄れてるんだと思う。無理ならすぐやめよう。行ってみるだけでも、どうだ?」
「…分かりました…」
何でだろう、さっきまでどんなに思い出してもこんなこと、無かったのに。手汗が凄いし、緊張してる。普通なら我慢出来る容量なのに、どんどん水位が上がっていく。
 見えてくる、青いマーク。膀胱は出口を見つけて収縮するくせに、俺の脳みそは入りたがらない。
 手前まで、来た。一歩、一歩だけ入ってみよう。眼前に広がる便器たち。耐えきれなくて股下からソコを思いっきり掬い上げて押さえる。
「あ、あ、」
背中に添えられた、手。
「よし、もう帰ろう。また明日チャレンジすればいい」
先生は優しいからそう言う。でも、このまま帰ったら今日の成長は何もない。俺は他の人より軽いんだ。弱点はここだけなのだから。
一歩、踏み出した。
「ハヒュっ、」
ゾクゾクと背筋が凍る。さっきの想起が何だったのかってぐらい、気持ち悪い。匂いが、声が、感触が。尻の穴、腰、太股、乳首…
「あ、やだ、っはぁっ、ぐぅ、」
「時田!!もう戻ろう!?な!?」
「や、ぁ、あ、ぅ、ゲホッ」
戻れるものなら戻りたい。でも、息が苦しい。立っていることも出来なくて、膝から崩れ落ちる。
「ぐ、ぐるじい…せんせ…ンッ!!」
突如口を塞がれる。手、ではない。やがてヌルリとしたものが入ってくる。
あ、ベロチューだ。パニックした体とは裏腹に、頭はなぜか冷静で。
「ンッ、フッ、ファァ、」
そういえば、あの時はキスはされなかった。体をまさぐられるだけで。でも口に入れられた手の指はまずくて吐きそうなほどだった。ベロは手よりも嫌悪感がありそうなのに、不思議と平気。
 俺の震えた口の中を舌の裏、歯、歯ぐき、上、頬、そして舌が絡む。
 むしろ、安心、する。
「ンンンンっ、ぷはぁっ…っはぁ、っはぁ…」
「落ち着いたか?すまん、袋なかったから。」
「ふぁい…ぁ、あ、あ、あああっ…」
力の抜けた手が、温かい。

 あ、これ、やばい。
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