トラウマを抱えたDKがトイレに入れない話

こじらせた処女

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第三章

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 苦しくなくなった呼吸、脱力感、途端、忘れていた欲求がこみ上げる。いや、もう出ている。タイルと廊下の床の間の銀の縁に重たい水流がバタバタと落ちた。
「ふぅ、んんんんっ、やだ、とまって、やだ、あっ、」
親指でぐりぐりと出口を押さえるのに、出口が狭くなるから、プシィィィっと余計に出て行く。酸欠の続いていた頭がボヤッとする。ああ、先生の言うとおりに辞めておけば良かった。ぐしょぐしょになったズボンをわしづかむけれど、虚しく布の水分が落ちるだけ。
「ぁ、ぁ、」
だなんて声にならない声をあげて、お腹が空になるのを待つしかなかった。
長い、長い放尿が終わった。最後の一滴がぴちゃりと落ちる。
「ごめ、なさい、いうこと、きかなかったから…」
「よしよし、えらいぞ。一歩入れたじゃないか。こっちこそ急にあんなこと、具合悪くないか?」
「いえ…だいじょぶ、です…」
床の惨状に触れない優しさが自分を惨めにする。でも頭を滑る手は心地よくて、幼稚園児みたいに泣きじゃくる。
「着替えような。今日はもう終わりにしよう」


「体操服はまた返してくれたらいいから。パンツはないからノーパンで我慢してくれ」
全部出したと思ったのに、体は緊張していたようで、教室の冷気に当たった瞬間、またズクリと下腹部が痛む。足を擦り合わせる仕草から察せられ、拭いているタオルに包まれながら放出してしまった。濡れた体が冷えたままで服を着ても寒い。なのに、唇だけは血流が早い。お漏らしをしたあとすぐに、一刻も早くその場を離れたくなるほどまた息が苦しくなったのに。あの瞬間だけ、キスをされた瞬間だけ、なぜか安心した。
「口、ゆすぎにいくか?」
「いえ…なんで…?」
「いや、ずっと唇触ってるから。我慢しなくていいんだぞ」
「いや、あの、これは…先生、にキス、されてるときだけ、トイレでも、全部忘れられて…」
「なるほど…それが時田の克服の糸口なのかもな…明日もやってみるか?」

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