トラウマを抱えたDKがトイレに入れない話

こじらせた処女

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第五章

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「う゛ぉえ…っ」
 朝食を吐いた。途中下車して急いで向かったトイレで。口に無理やり詰め込んだ食パンとソーセージがそのまま出てくる。
「朝練は無理か…」
時計を見るとちょうど練習が始まる時間。どうあがいても間に合わない。ふらふらする目元。帰ってしまおうか、そう思ったけれど、家に着いても寝れないんじゃどうしようもない。それに、余計に悪くなるような気がする。

「っあー!篠田ー!おっせーよ!」
眩暈が落ち着くのに時間がかかったからだろうか、学校についたときにはもう練習終わりのチームメイトが教室に戻っている最中だった。
「わりい、寝坊した」
「ふうん、珍しいのな。まあ放課後しごき倒すから安心しとけ」
「うげっ、怖ー…じゃあ俺トイレ寄ってから行くからー」
「うーっす」

 何となく口が気持ち悪くてうがいを繰り返す。全部吐ききったからか、頭がボーッとする。
「篠田」
「うわっ…三宅か…びっくりさせんな」
「本当に寝坊なのか?」
顔を両手で挟まれて、ジッと観察される。目を合わせられない。
「あ、ああ。それがどうした?」
「…」
「何だよ、悪かったって。午後頑張るからさ。冬の大会の予選も近いし」
「…せめて連絡しろ。じゃあ俺行くから」
誤魔化せたのだろうか。あいつはどこか鋭いところがある。もしも今日吐いたってバレたら、部活に参加させてもらえないだろう。絶対にボロを出さないようにしないと…バチン、と両頬を叩き、気合いを入れ直した。

 って思っていたのに…
「ぅ、」
 アップのランニング途中、急に目元がフラフラして、しゃがみ込む。
「篠田?大丈夫か!?」
後ろの奴の慌てた声。早く立とうとするけれど、まるで力が入らない。
「っぁ、っは…」
息がしんどくて、昼もろくに食べていない空の胃が痛い。
「とりあえず保健室いくぞ。お前ら練習続けとけ」
「え、でも…三宅一人で運べるか?」
「行ける行ける。こいつもあんまり見られたくないだろうしさ。」
「…分かった、先生来たら言っとくわ」
「こら、ここで止まるなー!!さっさと走れー!」
副キャプテンの掛け声で、ざわざわしていら空間が一気に静かになる。
「…ごめ…三宅…お前、キャプテンなのに…」
「そんなこと言ったらお前は主要メンバーだろ。立て、ないよな…ほら、乗れよ」
「…わりい…」
「まあ何となくこうなるだろうなって思ってたからさ」
「え、なん…」
「お前、今日の寝坊、嘘だろ?」

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