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隣の座席の大人しいクラスメイトが尿意に悶える話
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バスで会話ってダルくない?
別に教室での休み時間とか、遊びに行く時とかはいいんだけど、どうしても学校行事のバスは好きになれない。喋りすぎたら酔うし、その後の予定も何か疲れて楽しめないし。
「んー俺ら席どーする?」
いつもの5人組が座れる場所は1番後ろしかないが、女子から譲れという無言の圧力を感じる。チャンスだと思った。
「じゃあ俺麻木んとこ座ろうかな」
「え、でもひぃちゃん…ここはジャンケンとかでも…」
「いや普通に寝たいし。じゃあそれで」
「麻木、隣よろしく。って言っても俺寝ちゃうけど」
「ぁ、うん、」
いつも教室でイヤホンをしている奴。声が固い。緊張させてるってすぐに分かった。
「麻木の隣で良かったよ。周りうるさすぎて落ち着かない」
「それは…良かった…デス…」
何で敬語…とは思ったけれど、固いながらに笑顔が見えて良かったと思った。相変わらず麻木はイヤホンをしてスマホを触っている。俺もそれに倣ってイヤホンをつけて、好きな音楽をかけて目を閉じた。
どれくらい寝ていたのだろうと時計を見てびっくりした。1時間半も経っていて、このうるさい中でよく寝れたなと自分を称えた。ふと、隣の動きがゴソゴソと大きいことに気づき、ちらりと視線をよこす。右手は太もも、背中はピンと張っているのにどこか前屈み。そして、左手は股の間にあった。ガッツリと揉み込んでいる。表情はどこか苦しそうで、視線は何度も何度も窓の外。
やべ、見すぎた。ばちりと目が合った途端、左手が引っこ抜かれて下腹部あたりに移動した。
「…大丈夫?」
周りに聞こえないように、耳元で。
「小便…だよな」
ブルリと震えるのが見なくてもわかった。今の彼は排尿を促す言葉だけでもトリガーになってしまうのだ。
「次の休憩…」
柄にもなく旅のしおりをめくる。今は順調に進んでいるとして…
「あと30分くらいあるけど…」
まあ我慢するしかないんだけど。
「とりあえず前押さえときな。気にしないから」
いった瞬間、弾かれたように両の手が股間に吸い込まれていく。ぐにぐに、ぐにぐに。ものすごい勢いで、真っ赤な顔で揉みしだいている姿は、大丈夫?の問いの答え。もう無理限界ってことなのだろう。
「でる、ど、しよ、あ、」
おちんちんが可哀想なくらいに締め上げられている。モジモジなんて可愛いものではない。目は涙でいっぱいで、ガクガクと震える足。いつ溢れ出すかわからない状態を示していた。
これが俺の友人のようなおちゃらけた奴だったらおしっこーーー、と叫んで笑われながら即席パーキングに走っていくのだろう。しかし、こいつはそういうキャラじゃない。恥ずかしさも気まずさも人一倍大きい。失敗なんてした日には不登校コースだろう。
呑気にグースカ寝ていた俺にも責任がある。隣の席のよしみとして何とか助けてやらないと。
何か受けるもの…と非現実的な頭を巡らせる。ふと、座席の網目にあるエチケット袋に目が行った。2枚とって重ねると、案外行けそうって思った。
「麻木」
これまた聞こえないように小さな声で。
「これに出すか」
「え、っ、」
あまりにも突飛な提案に前を握りしめたまま目を白黒させている。
「ひぃちゃんどしたの、酔った?」
後ろから、前からの友人の声。咄嗟に自分のブレザーを麻木に掛けた。
「俺じゃなくて麻木」
「えー大丈夫?先生呼ぼっか?」
「いい。あんまり見ないでやって。あと音とか気にしちゃうかもだから窓開けて全力で騒いでてくれ」
物分かりのいい友人たちは、窓を全開にして今流行りの曲をヘッタクソな声で歌い始めた。
「大丈夫かー」
先生の声がかすかに聞こえて適当に大丈夫ですと答える。
「さっさとしてしまえ」
念の為膝下にも俺のスポーツタオルをかけてやる。最初は戸惑っていた麻木も、もう本当に限界が近いのだろう。かちゃかちゃとベルトを開ける音がした。
念の為見えないようにとブレザーを頭からかけ、抱き寄せるようにして右側からの死角を作った。きっと袋も持っている。チンコの準備もできているはず。なのに一向に水音が聞こえてこない。
「あれ、ぇ、」
ひどく狼狽えた、掠れ声。
「出ない?」
「…ごめ、」
無理もない。後ろではトランプ。前ではカラオケ。いつもの排尿空間ではないことに体も気づいてしまっている。呼吸が浅い。きっとお腹にはたっぷりの小便が詰まっているのに、出せなくて、焦っている。
「俺で見えないから。だいじょーぶだいじょーぶ」
190近い身長の俺が抱き抱えて仕舞えば大抵のものは覆い隠せる。
「大丈夫。袋だけちゃんともっときなよ?」
手探りで下腹部を探る。細い体に似つかわしくないぷっくりとした感触に、ここが膀胱だと理解した。
「しんどかったな。小便な、最初でたらすぐいっぱいでるからな」
ゆるく膨れた部分を触る。ブルブルと体は出した瞬間の快感をシミュレートしているのに、一向に水の音はしない。
「大丈夫。ゆっくりでいいからな」
何度も何度も下腹を撫でる。
「しーしー出そうなー」
あっ、という声と共に、パタ…と音が鳴る。
「ぁう、でぅ、っでちゃう、」
「いいよ、大丈夫。ゆっくりな」
ぱた…ぱた…という断片的な音はやがて、繋がった音になっていく。
「どーしよ、でてる、ぁ、」
半分泣いている。きっとパニックになっている。
「袋だけちゃんと持っておけるか?そう、上手じゃん」
ちょぼちょぼと可愛らしい音が、俺の座席からは微かに聞こえる。ゆっくりと下腹を押すと、勢いが少し強くなった。
「あふ、あふれたら、」
「溢れない。めちゃデカかったもん袋。力抜きな?またしたくなったら困るだろ」
じょろ…じょろと音が切れていく。最後の1滴が終わったらあからさまに力が抜けた。
「もう腹大丈夫?」
「ん、」
袋だけを受け取り、隠しながら端を括る。ほんのりと温かいソレは、出したてホヤホヤを物語っている。
「制服濡れた?」
「…ちょっと…だけ」
「次の休憩で着替える?」
「…そこまでじゃ…」
ブレザーをかけたままだから表情はわからない。けれど、鼻を啜るような音がしたから泣いているのだろう。
「休憩だってさ。立てそう?」
しばらくして、駐車場が見えた。完全に停止する前に、20分後に集合と先生が言った。麻木の体調を気遣って、先にバスから降ろしてくれた。
「先生も行こうか?」
「大丈夫です、もう吐ききったっぽいんで」
ブレザー頭から被ってるの、なんか犯罪者みたいだなとおちゃらけた風に言っても返事はごめんなさいだけ。相当こたえているのかもしれない。
2人して広い多目的トイレに入る。ブレザーを取ると、ボロボロに涙が零れた麻木の顔。下よりも顔整える方が時間かかるだろ。
「前拭いた?」
「ま゛、だ、」
「小便は?まだしたい?」
「ぁ、ん…?」
「まあしたくなったら言って。制服…大丈夫そうか」
そっと前を触るとしっとりとはしているものの、汗で誤魔化せそうな量だ。休憩も長いようで短い。ベルトを開け、ズボンを下ろす。
「ぁ、みな、いで、」
ぐっしょりと濡れそぼったパンツは、ちびりまくった事実を物語っている。一枚布が違うだけでこんなに違うものなのかと驚いた。
「パンツの中気持ち悪いだろ。これで拭きな」
「え、いい、汚い、から、」
「俺がいいって言ってんだからいいんだよ。洗えばいいし」
「でもっ」
このままでは埒が明かない。スポーツタオルを濡らし、有無を言わさずにパンツをずり下ろす。しっとりとした肌は湿っているのか濡れているのかわからない。
毛の薄く生えた出口と太ももを入念に。水分を拭き取るようにトントンと叩いていると、ブルリと全身が震え、途端に落ち着きがなくなる。
「あ、あの、日高くん、」
「トイレあるから。してこい」
下半身裸のまま、真っ赤な顔で便器に座る。
「ん、あれ、あれ、」
「ああ俺がいるからか。俺も小便してくっからその間に身なり整えときな。すぐ戻る」
外に出て、本来自分たちが使う青いピクトグラムへと足を向ける。災難だよなぁとどこか他人事のように考えながら、用を足す。まさかこの歳でバス放尿を見るとは思わなかった。なんだかんだ言って皆、トイレには行き着くし間に合う。「したすぎる」はあっても、「漏れそう」はない。だからこそ、いい年したチンコやら太ももやらが濡れているのは少し、ドキドキした。
「麻木?俺」
2度ノックをして名前を呼ぶと、一呼吸した後に控えめにドアが開いた。
「ごめん、洗って返す、」
「いつでもいいから。あれ、」
何でこいつ、こんなに落ち着かないんだ?何でトイレから出てきたのに足を組み替えているんだ?
「小便でた?」
「…………でてな、したい、かもだけど……わかんない、」
「ばか、また漏らすぞ。まだ時間あるから」
無理やり前を出させて便器の前に立たせる。
「なに、小便はまだしたいの」
「おなか、むずむずする、」
「我慢しすぎておかしくなってんじゃん。触るぞ」
後ろから抱き抱えながら、下腹部を擦る。
「ムズムズしてんのここ?」
「んっ、だしたい、のに、」
「力入れんな。お前小便するときそんな力入れねーだろ」
「でもっ、」
「いつもどうやってやってる?こんなに腹に力入れてんの?そんなにちんちん強く握ってんの?」
「力抜け。ゆっくりでいいから。しーしーって感じ」
終わりきった語彙力しかない俺は、しーしーしか柔らかい言葉が思いつかない。何度も何度もしーしー、と耳元で言う。チンコの裏を触り、ぶらぶらと揺らす。
何度も何度も腹を撫で続けていたら、ふと柔らかくなった。力、抜けたんだろう。
しぃぃ…しっ、しぃいいいいいい…
こいつ、まだこんなに溜めてたのかよと少しビビった。
「ぁう、あ、」
惚けた顔で、足をガクガクさせながら。
「きもちーか?」
返事はない。
「そーか、しーしーきもちーか」
しっかし気持ちよさそー。小柄なのも相まって、同級生に見えないほどに幼く見えた。
「おわった?」
「っ、おわ、った、」
すっげえ耳真っ赤。後ろからでもよく分かる。
「じゃあ行くか」
バスに戻ると先生に声をかけられ、大丈夫ですと後ろから声が聞こえた。
「麻木くん大丈夫そ?飴舐める?」
「あ、だいじょうぶ、デス」
「ひぃちゃんにいじめられなかった?」
「あ、すごくたすけてもらいました、」
「治ったなら麻木くんもトランプしよーよー」
「また酔ったらどーすんだよ。ほらどいて。席座るから」
「え~、ひぃちゃんつまんなーい」
「寝たいんだよ」
友達を適当にいなして席に戻る。
「あの、…日高くん…ありがと、」
控えめにかけられた声は、朝よりも柔らかい。
「ん、俺はもう一眠りする」
まだまだ移動には時間がかかる。あれだけ寝たのにまだ眠い自分の体に正直に、ゆっくりと目を閉じた。
別に教室での休み時間とか、遊びに行く時とかはいいんだけど、どうしても学校行事のバスは好きになれない。喋りすぎたら酔うし、その後の予定も何か疲れて楽しめないし。
「んー俺ら席どーする?」
いつもの5人組が座れる場所は1番後ろしかないが、女子から譲れという無言の圧力を感じる。チャンスだと思った。
「じゃあ俺麻木んとこ座ろうかな」
「え、でもひぃちゃん…ここはジャンケンとかでも…」
「いや普通に寝たいし。じゃあそれで」
「麻木、隣よろしく。って言っても俺寝ちゃうけど」
「ぁ、うん、」
いつも教室でイヤホンをしている奴。声が固い。緊張させてるってすぐに分かった。
「麻木の隣で良かったよ。周りうるさすぎて落ち着かない」
「それは…良かった…デス…」
何で敬語…とは思ったけれど、固いながらに笑顔が見えて良かったと思った。相変わらず麻木はイヤホンをしてスマホを触っている。俺もそれに倣ってイヤホンをつけて、好きな音楽をかけて目を閉じた。
どれくらい寝ていたのだろうと時計を見てびっくりした。1時間半も経っていて、このうるさい中でよく寝れたなと自分を称えた。ふと、隣の動きがゴソゴソと大きいことに気づき、ちらりと視線をよこす。右手は太もも、背中はピンと張っているのにどこか前屈み。そして、左手は股の間にあった。ガッツリと揉み込んでいる。表情はどこか苦しそうで、視線は何度も何度も窓の外。
やべ、見すぎた。ばちりと目が合った途端、左手が引っこ抜かれて下腹部あたりに移動した。
「…大丈夫?」
周りに聞こえないように、耳元で。
「小便…だよな」
ブルリと震えるのが見なくてもわかった。今の彼は排尿を促す言葉だけでもトリガーになってしまうのだ。
「次の休憩…」
柄にもなく旅のしおりをめくる。今は順調に進んでいるとして…
「あと30分くらいあるけど…」
まあ我慢するしかないんだけど。
「とりあえず前押さえときな。気にしないから」
いった瞬間、弾かれたように両の手が股間に吸い込まれていく。ぐにぐに、ぐにぐに。ものすごい勢いで、真っ赤な顔で揉みしだいている姿は、大丈夫?の問いの答え。もう無理限界ってことなのだろう。
「でる、ど、しよ、あ、」
おちんちんが可哀想なくらいに締め上げられている。モジモジなんて可愛いものではない。目は涙でいっぱいで、ガクガクと震える足。いつ溢れ出すかわからない状態を示していた。
これが俺の友人のようなおちゃらけた奴だったらおしっこーーー、と叫んで笑われながら即席パーキングに走っていくのだろう。しかし、こいつはそういうキャラじゃない。恥ずかしさも気まずさも人一倍大きい。失敗なんてした日には不登校コースだろう。
呑気にグースカ寝ていた俺にも責任がある。隣の席のよしみとして何とか助けてやらないと。
何か受けるもの…と非現実的な頭を巡らせる。ふと、座席の網目にあるエチケット袋に目が行った。2枚とって重ねると、案外行けそうって思った。
「麻木」
これまた聞こえないように小さな声で。
「これに出すか」
「え、っ、」
あまりにも突飛な提案に前を握りしめたまま目を白黒させている。
「ひぃちゃんどしたの、酔った?」
後ろから、前からの友人の声。咄嗟に自分のブレザーを麻木に掛けた。
「俺じゃなくて麻木」
「えー大丈夫?先生呼ぼっか?」
「いい。あんまり見ないでやって。あと音とか気にしちゃうかもだから窓開けて全力で騒いでてくれ」
物分かりのいい友人たちは、窓を全開にして今流行りの曲をヘッタクソな声で歌い始めた。
「大丈夫かー」
先生の声がかすかに聞こえて適当に大丈夫ですと答える。
「さっさとしてしまえ」
念の為膝下にも俺のスポーツタオルをかけてやる。最初は戸惑っていた麻木も、もう本当に限界が近いのだろう。かちゃかちゃとベルトを開ける音がした。
念の為見えないようにとブレザーを頭からかけ、抱き寄せるようにして右側からの死角を作った。きっと袋も持っている。チンコの準備もできているはず。なのに一向に水音が聞こえてこない。
「あれ、ぇ、」
ひどく狼狽えた、掠れ声。
「出ない?」
「…ごめ、」
無理もない。後ろではトランプ。前ではカラオケ。いつもの排尿空間ではないことに体も気づいてしまっている。呼吸が浅い。きっとお腹にはたっぷりの小便が詰まっているのに、出せなくて、焦っている。
「俺で見えないから。だいじょーぶだいじょーぶ」
190近い身長の俺が抱き抱えて仕舞えば大抵のものは覆い隠せる。
「大丈夫。袋だけちゃんともっときなよ?」
手探りで下腹部を探る。細い体に似つかわしくないぷっくりとした感触に、ここが膀胱だと理解した。
「しんどかったな。小便な、最初でたらすぐいっぱいでるからな」
ゆるく膨れた部分を触る。ブルブルと体は出した瞬間の快感をシミュレートしているのに、一向に水の音はしない。
「大丈夫。ゆっくりでいいからな」
何度も何度も下腹を撫でる。
「しーしー出そうなー」
あっ、という声と共に、パタ…と音が鳴る。
「ぁう、でぅ、っでちゃう、」
「いいよ、大丈夫。ゆっくりな」
ぱた…ぱた…という断片的な音はやがて、繋がった音になっていく。
「どーしよ、でてる、ぁ、」
半分泣いている。きっとパニックになっている。
「袋だけちゃんと持っておけるか?そう、上手じゃん」
ちょぼちょぼと可愛らしい音が、俺の座席からは微かに聞こえる。ゆっくりと下腹を押すと、勢いが少し強くなった。
「あふ、あふれたら、」
「溢れない。めちゃデカかったもん袋。力抜きな?またしたくなったら困るだろ」
じょろ…じょろと音が切れていく。最後の1滴が終わったらあからさまに力が抜けた。
「もう腹大丈夫?」
「ん、」
袋だけを受け取り、隠しながら端を括る。ほんのりと温かいソレは、出したてホヤホヤを物語っている。
「制服濡れた?」
「…ちょっと…だけ」
「次の休憩で着替える?」
「…そこまでじゃ…」
ブレザーをかけたままだから表情はわからない。けれど、鼻を啜るような音がしたから泣いているのだろう。
「休憩だってさ。立てそう?」
しばらくして、駐車場が見えた。完全に停止する前に、20分後に集合と先生が言った。麻木の体調を気遣って、先にバスから降ろしてくれた。
「先生も行こうか?」
「大丈夫です、もう吐ききったっぽいんで」
ブレザー頭から被ってるの、なんか犯罪者みたいだなとおちゃらけた風に言っても返事はごめんなさいだけ。相当こたえているのかもしれない。
2人して広い多目的トイレに入る。ブレザーを取ると、ボロボロに涙が零れた麻木の顔。下よりも顔整える方が時間かかるだろ。
「前拭いた?」
「ま゛、だ、」
「小便は?まだしたい?」
「ぁ、ん…?」
「まあしたくなったら言って。制服…大丈夫そうか」
そっと前を触るとしっとりとはしているものの、汗で誤魔化せそうな量だ。休憩も長いようで短い。ベルトを開け、ズボンを下ろす。
「ぁ、みな、いで、」
ぐっしょりと濡れそぼったパンツは、ちびりまくった事実を物語っている。一枚布が違うだけでこんなに違うものなのかと驚いた。
「パンツの中気持ち悪いだろ。これで拭きな」
「え、いい、汚い、から、」
「俺がいいって言ってんだからいいんだよ。洗えばいいし」
「でもっ」
このままでは埒が明かない。スポーツタオルを濡らし、有無を言わさずにパンツをずり下ろす。しっとりとした肌は湿っているのか濡れているのかわからない。
毛の薄く生えた出口と太ももを入念に。水分を拭き取るようにトントンと叩いていると、ブルリと全身が震え、途端に落ち着きがなくなる。
「あ、あの、日高くん、」
「トイレあるから。してこい」
下半身裸のまま、真っ赤な顔で便器に座る。
「ん、あれ、あれ、」
「ああ俺がいるからか。俺も小便してくっからその間に身なり整えときな。すぐ戻る」
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2度ノックをして名前を呼ぶと、一呼吸した後に控えめにドアが開いた。
「ごめん、洗って返す、」
「いつでもいいから。あれ、」
何でこいつ、こんなに落ち着かないんだ?何でトイレから出てきたのに足を組み替えているんだ?
「小便でた?」
「…………でてな、したい、かもだけど……わかんない、」
「ばか、また漏らすぞ。まだ時間あるから」
無理やり前を出させて便器の前に立たせる。
「なに、小便はまだしたいの」
「おなか、むずむずする、」
「我慢しすぎておかしくなってんじゃん。触るぞ」
後ろから抱き抱えながら、下腹部を擦る。
「ムズムズしてんのここ?」
「んっ、だしたい、のに、」
「力入れんな。お前小便するときそんな力入れねーだろ」
「でもっ、」
「いつもどうやってやってる?こんなに腹に力入れてんの?そんなにちんちん強く握ってんの?」
「力抜け。ゆっくりでいいから。しーしーって感じ」
終わりきった語彙力しかない俺は、しーしーしか柔らかい言葉が思いつかない。何度も何度もしーしー、と耳元で言う。チンコの裏を触り、ぶらぶらと揺らす。
何度も何度も腹を撫で続けていたら、ふと柔らかくなった。力、抜けたんだろう。
しぃぃ…しっ、しぃいいいいいい…
こいつ、まだこんなに溜めてたのかよと少しビビった。
「ぁう、あ、」
惚けた顔で、足をガクガクさせながら。
「きもちーか?」
返事はない。
「そーか、しーしーきもちーか」
しっかし気持ちよさそー。小柄なのも相まって、同級生に見えないほどに幼く見えた。
「おわった?」
「っ、おわ、った、」
すっげえ耳真っ赤。後ろからでもよく分かる。
「じゃあ行くか」
バスに戻ると先生に声をかけられ、大丈夫ですと後ろから声が聞こえた。
「麻木くん大丈夫そ?飴舐める?」
「あ、だいじょうぶ、デス」
「ひぃちゃんにいじめられなかった?」
「あ、すごくたすけてもらいました、」
「治ったなら麻木くんもトランプしよーよー」
「また酔ったらどーすんだよ。ほらどいて。席座るから」
「え~、ひぃちゃんつまんなーい」
「寝たいんだよ」
友達を適当にいなして席に戻る。
「あの、…日高くん…ありがと、」
控えめにかけられた声は、朝よりも柔らかい。
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