184 / 310
第八章『最後の晩餐と安土饗応』
8 『光秀解任事件の前日』
しおりを挟む
○天正十年五月十五日――
(光秀が饗応役を解任される前日)
座して瞑想中の織田信長は、口を開いた。
「――いにしえより、伝わる秘跡を今こそ、解き放たん」
そして立ち上がり、部屋の入り口の大扉を、大きく開け放った――
すると、いきなりまばゆい光の渦が部屋中を包んでいく――
そう、ここは安土城天主第六階『黄金の間』である。
解き放たれた大扉から朝日が流れ込み、それが部屋中の金箔に反射して、正に部屋中が黄金に輝いている。
「父上、ついにご決断なされたのですね?」
と黄金の後光を背負いし信長に、少し目を眩ましなから嫡男織田信忠は聞いた。
「である、今日中に家康が安土につくとの連絡があった」
――つまり、本日の晩餐より、安土城にて明智光秀の接待が始まる。
そして前述した『安土饗応』での饗応役解任事件は、明日の出来事である。
「――ということは、ついに役者が揃いましたね」
そういうのは連歌師・里村紹巴。
何故ここにいるの?と疑問に思う読者もいると思いますが、安心して下さい『本能寺の変』の最終局面で、史実登場する、その理由その伏線ですので。
「である、では紹巴よ愛宕山での儀式の準備を手はず通り」
「お任せ下さい信長様、今より愛宕山に参りまして、
――威徳院西坊の住職・行佑と申し合わせてきます」
「であるか、開始の日は――
光秀が“例の物”を、お主に持ってきてから十日後とする」
「はっ、かしこまりました。では――」
と、にわかに部屋を出ていく紹巴。
「――父上、後は秀吉からの父上への出陣要請を待つのみですね」
「である、先の手紙では、備中高松城を水攻めにしたことで、毛利本隊が、後一週間もせぬ間に前線に到着するということであったな」
「だからこそ、この安土での家康への饗応を一週間もされることにしたのですね」
実は史実でも、饗応役の明智光秀が解任された後も、別の者が饗応役を務めて、家康が安土に来てから合わせて一週間近く接待しているのである。
「である、毛利本隊の到着が確定したら、早馬を出すように命じてある」
「父上、その時こそ――」
「である、その時こそ――
――余による『福音書エヴァンゲリオン』計画が、
始動する時なのである!」
次回、ついに『エヴァンゲリオン』計画が、始動する!
(光秀が饗応役を解任される前日)
座して瞑想中の織田信長は、口を開いた。
「――いにしえより、伝わる秘跡を今こそ、解き放たん」
そして立ち上がり、部屋の入り口の大扉を、大きく開け放った――
すると、いきなりまばゆい光の渦が部屋中を包んでいく――
そう、ここは安土城天主第六階『黄金の間』である。
解き放たれた大扉から朝日が流れ込み、それが部屋中の金箔に反射して、正に部屋中が黄金に輝いている。
「父上、ついにご決断なされたのですね?」
と黄金の後光を背負いし信長に、少し目を眩ましなから嫡男織田信忠は聞いた。
「である、今日中に家康が安土につくとの連絡があった」
――つまり、本日の晩餐より、安土城にて明智光秀の接待が始まる。
そして前述した『安土饗応』での饗応役解任事件は、明日の出来事である。
「――ということは、ついに役者が揃いましたね」
そういうのは連歌師・里村紹巴。
何故ここにいるの?と疑問に思う読者もいると思いますが、安心して下さい『本能寺の変』の最終局面で、史実登場する、その理由その伏線ですので。
「である、では紹巴よ愛宕山での儀式の準備を手はず通り」
「お任せ下さい信長様、今より愛宕山に参りまして、
――威徳院西坊の住職・行佑と申し合わせてきます」
「であるか、開始の日は――
光秀が“例の物”を、お主に持ってきてから十日後とする」
「はっ、かしこまりました。では――」
と、にわかに部屋を出ていく紹巴。
「――父上、後は秀吉からの父上への出陣要請を待つのみですね」
「である、先の手紙では、備中高松城を水攻めにしたことで、毛利本隊が、後一週間もせぬ間に前線に到着するということであったな」
「だからこそ、この安土での家康への饗応を一週間もされることにしたのですね」
実は史実でも、饗応役の明智光秀が解任された後も、別の者が饗応役を務めて、家康が安土に来てから合わせて一週間近く接待しているのである。
「である、毛利本隊の到着が確定したら、早馬を出すように命じてある」
「父上、その時こそ――」
「である、その時こそ――
――余による『福音書エヴァンゲリオン』計画が、
始動する時なのである!」
次回、ついに『エヴァンゲリオン』計画が、始動する!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる