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32.おわった? ほんとに?
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採決が終わり、裁判官と陪審員達が戻ってきたが、全員が青褪め疲れ果てていた。
裁判長が判決を言い渡そうとした時、裁判官席の後ろのドアが開いた。
驚いて後ろを振り向く裁判官達。
室内に入ってくる二人の紳士の顔が見えた途端、騒がしかった室内がしんと静まり返った。
(陛下!)
(辺境伯だ)
「判決の前に余から一言申し伝える。此度の事は世襲貴族と一代貴族の確執に起因しておる。
世襲貴族も一代貴族も同じ貴族と思い我が国の発展に寄与して欲しい。
今後この様な無様な思い違いをする者が生まれぬ事を期待したい。
ヒューゴ・ガードナー男爵、そしてルーシー・ガードナー男爵令嬢。
長年の恨みを忘れ国の為にこれからも尽くして欲しい。
ガードナー男爵の長年の我が国への貢献を讃え陞爵することと致す」
『おー!』 と言う歓声が部屋中に広がった。
貴族が陞爵される場面を目撃する事などと言うありえない事態に、裁判官までが驚いている。
「・・恐れながら申し上げます。
ありがたきお言葉ではございますが、謹んで辞退させていただきます。
出来れば男爵位も返上したいと思っているくらいですので」
ヒューゴの発言にルーシーと弁護団以外が驚き呆れた。
「陛下は貴殿が行っておられる商会による王家繁栄への寄与のみならず、優秀な弁護士育成の為の奨学金制度・平時のフリーカンパニーの運営・平民街の治安などを評価され陞爵と仰せられた。
恐れ多くもそれを辞退とは・・何故なのか理由をお聞きしたい」
ロンズデール辺境伯が問い質した。
「貴族位には難事が付き纏いますので」
「返上は許さぬ。陞爵については辺境伯とも相談し、今一度熟慮するが良い」
「・・はい」
(ガードナー、陛下に堂々とお断り・・)
(無敵?)
(怖え、商人最強)
陛下が辺境伯と共に還御され、室内のあちこちから安堵のため息が聞こえてきた。
そして一瞬の後、大歓声が響き渡った。
「「「おー! すげー!」」」
指笛を吹く者、帽子を投げる者。
あまりの衝撃に判決を忘れていた裁判官が慌ててガベルを何度も打ち鳴らし漸く事態が収まった。
「判決を申し渡す。主文・・」
ルーシーとヒューゴはハイタッチした後、弁護団の一人一人と握手を交わした。
主任法廷弁護士の横でアーロンが一人崩れ落ちた。
(終わった? ほんとに?・・ほんとのほんとに終わったよね)
満面の笑みの原告団の真逆で、被告席の面々は泣き喚く者、机に突っ伏し動かなくなる者・・。
犯罪者となった者達は警吏に連行された。
ガードナー邸に帰ると既にお祝いの準備が整えられていた。
「勝利されると確信しておりましたので」
ガードナー邸には入れ替わり立ち替わり人がやってきた。
商会員達や噂を聞きつけた知人、商会のお客様までやって来て深夜遅くまで飲めや歌えの大騒ぎ。正に酒池肉林の様相を呈した。
「で、最終的にあいつらはどうなったの?」
書類作成を手伝ってくれた事務員の一人が尋ねた。
「マルフォー伯爵家の資産は全て返済に回す事になったの」
「あそこに資産なんてあった?」
「タウンハウスとソールズベリーは立地も良くて広さもあるからかなりの金額になると思うわ。それ以外にもリューベルを入れて三つの別荘があるし。
爵位は返上、領地は没収。
不足分は鉱山労働者として働いて返してくれるって。
リチャードとイライザは犯罪奴隷、父親は借金奴隷。
ステラは侯爵家が返済の約束をしてくれて、本人は修道院行き。
サミュエルは奪爵されて犯罪奴隷になって鉱山で返済。
ロンデリーは奪爵されて犯罪奴隷だけど、弁護士の学位をお金で買ったのがバレたからそっちの罪も加算されたの。
シェルバーン公爵家の家令も犯罪奴隷に。
シェルバーン公爵も慰謝料を払うし。
狙った犯罪が国家反逆罪でしょう?
タチが悪すぎたみたいよ。
マルフォー伯爵家の慰謝料とステラんとこの返済金額は、建物や購入品の査定をしてから計算し直しになるからアーロンに手伝ってもらう予定なの。
その位かしら」
嬉しそうに大好物のケーキにかぶりついていたアーロンが、ルーシーの言葉を聞きショックでフォークを落とした。
(えっ? そういや、俺だけ終わってなくね?)
「一番大事なことが残ってますよ。婚姻無効は?」
「勿論。陛下がルーシー・ガードナー男爵令嬢って呼んだ時点で確定したって分かったの。
でも良かった、もし駄目だったら白い結婚で婚姻無効にさせようと思ってたから。
あんまり大声で言う事じゃないし公言するのって恥ずかしいしね。
ちょうど三年だからラッキーって思ってたんだけど。ふふ」
「「「えーっ! それって」」」
「言ってなかったっけ?」
その事実を知って最も喜んだのはヒューゴ。
「白い結婚って言うより奴らを追い詰める方が面白かったしな」
ニヤリと黒い顔で笑っていた。
そして、最もショックを受けたのはアーロン。
(ふふ・・だと! ガードナー親子が天使のような人なら、あっさり婚姻無効の手続き一枚作って済んだのか!! 何だと! 許すまじ、鬼畜親子め!!)
(担当なんか絶対、絶対外れてやるー!!)
これ以降もガードナー家の担当は(アレックスを餌に釣られた)アーロンのままだった。
マルフォー伯爵家の使用人は全てガードナー親子の元で働くことになった。
エマーソンとミセス・ブラックリーはルーシーの下で働きたいと力説するので、平民街の空き地を購入しそこにルーシーの家を建てる事になった。
その後、ロジャーがルーシーに結婚を申し込んだがルーシーが返事をする前に、例の野望の話がヒューゴにバレてボロボロになるまでこき使われた。
辺境伯は文字通り逃げ回るヒューゴを未だ捕まえられずにいる。
ルーシーがその後誰と結婚したかって? それはまた別のお話で。
それまでは皆さんのご想像にお任せ・・。
裁判長が判決を言い渡そうとした時、裁判官席の後ろのドアが開いた。
驚いて後ろを振り向く裁判官達。
室内に入ってくる二人の紳士の顔が見えた途端、騒がしかった室内がしんと静まり返った。
(陛下!)
(辺境伯だ)
「判決の前に余から一言申し伝える。此度の事は世襲貴族と一代貴族の確執に起因しておる。
世襲貴族も一代貴族も同じ貴族と思い我が国の発展に寄与して欲しい。
今後この様な無様な思い違いをする者が生まれぬ事を期待したい。
ヒューゴ・ガードナー男爵、そしてルーシー・ガードナー男爵令嬢。
長年の恨みを忘れ国の為にこれからも尽くして欲しい。
ガードナー男爵の長年の我が国への貢献を讃え陞爵することと致す」
『おー!』 と言う歓声が部屋中に広がった。
貴族が陞爵される場面を目撃する事などと言うありえない事態に、裁判官までが驚いている。
「・・恐れながら申し上げます。
ありがたきお言葉ではございますが、謹んで辞退させていただきます。
出来れば男爵位も返上したいと思っているくらいですので」
ヒューゴの発言にルーシーと弁護団以外が驚き呆れた。
「陛下は貴殿が行っておられる商会による王家繁栄への寄与のみならず、優秀な弁護士育成の為の奨学金制度・平時のフリーカンパニーの運営・平民街の治安などを評価され陞爵と仰せられた。
恐れ多くもそれを辞退とは・・何故なのか理由をお聞きしたい」
ロンズデール辺境伯が問い質した。
「貴族位には難事が付き纏いますので」
「返上は許さぬ。陞爵については辺境伯とも相談し、今一度熟慮するが良い」
「・・はい」
(ガードナー、陛下に堂々とお断り・・)
(無敵?)
(怖え、商人最強)
陛下が辺境伯と共に還御され、室内のあちこちから安堵のため息が聞こえてきた。
そして一瞬の後、大歓声が響き渡った。
「「「おー! すげー!」」」
指笛を吹く者、帽子を投げる者。
あまりの衝撃に判決を忘れていた裁判官が慌ててガベルを何度も打ち鳴らし漸く事態が収まった。
「判決を申し渡す。主文・・」
ルーシーとヒューゴはハイタッチした後、弁護団の一人一人と握手を交わした。
主任法廷弁護士の横でアーロンが一人崩れ落ちた。
(終わった? ほんとに?・・ほんとのほんとに終わったよね)
満面の笑みの原告団の真逆で、被告席の面々は泣き喚く者、机に突っ伏し動かなくなる者・・。
犯罪者となった者達は警吏に連行された。
ガードナー邸に帰ると既にお祝いの準備が整えられていた。
「勝利されると確信しておりましたので」
ガードナー邸には入れ替わり立ち替わり人がやってきた。
商会員達や噂を聞きつけた知人、商会のお客様までやって来て深夜遅くまで飲めや歌えの大騒ぎ。正に酒池肉林の様相を呈した。
「で、最終的にあいつらはどうなったの?」
書類作成を手伝ってくれた事務員の一人が尋ねた。
「マルフォー伯爵家の資産は全て返済に回す事になったの」
「あそこに資産なんてあった?」
「タウンハウスとソールズベリーは立地も良くて広さもあるからかなりの金額になると思うわ。それ以外にもリューベルを入れて三つの別荘があるし。
爵位は返上、領地は没収。
不足分は鉱山労働者として働いて返してくれるって。
リチャードとイライザは犯罪奴隷、父親は借金奴隷。
ステラは侯爵家が返済の約束をしてくれて、本人は修道院行き。
サミュエルは奪爵されて犯罪奴隷になって鉱山で返済。
ロンデリーは奪爵されて犯罪奴隷だけど、弁護士の学位をお金で買ったのがバレたからそっちの罪も加算されたの。
シェルバーン公爵家の家令も犯罪奴隷に。
シェルバーン公爵も慰謝料を払うし。
狙った犯罪が国家反逆罪でしょう?
タチが悪すぎたみたいよ。
マルフォー伯爵家の慰謝料とステラんとこの返済金額は、建物や購入品の査定をしてから計算し直しになるからアーロンに手伝ってもらう予定なの。
その位かしら」
嬉しそうに大好物のケーキにかぶりついていたアーロンが、ルーシーの言葉を聞きショックでフォークを落とした。
(えっ? そういや、俺だけ終わってなくね?)
「一番大事なことが残ってますよ。婚姻無効は?」
「勿論。陛下がルーシー・ガードナー男爵令嬢って呼んだ時点で確定したって分かったの。
でも良かった、もし駄目だったら白い結婚で婚姻無効にさせようと思ってたから。
あんまり大声で言う事じゃないし公言するのって恥ずかしいしね。
ちょうど三年だからラッキーって思ってたんだけど。ふふ」
「「「えーっ! それって」」」
「言ってなかったっけ?」
その事実を知って最も喜んだのはヒューゴ。
「白い結婚って言うより奴らを追い詰める方が面白かったしな」
ニヤリと黒い顔で笑っていた。
そして、最もショックを受けたのはアーロン。
(ふふ・・だと! ガードナー親子が天使のような人なら、あっさり婚姻無効の手続き一枚作って済んだのか!! 何だと! 許すまじ、鬼畜親子め!!)
(担当なんか絶対、絶対外れてやるー!!)
これ以降もガードナー家の担当は(アレックスを餌に釣られた)アーロンのままだった。
マルフォー伯爵家の使用人は全てガードナー親子の元で働くことになった。
エマーソンとミセス・ブラックリーはルーシーの下で働きたいと力説するので、平民街の空き地を購入しそこにルーシーの家を建てる事になった。
その後、ロジャーがルーシーに結婚を申し込んだがルーシーが返事をする前に、例の野望の話がヒューゴにバレてボロボロになるまでこき使われた。
辺境伯は文字通り逃げ回るヒューゴを未だ捕まえられずにいる。
ルーシーがその後誰と結婚したかって? それはまた別のお話で。
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ありがとうございます。
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(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾な感じになってもらいます🤗
完結おめでとうございます。
ガチャ!! ___
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||o と U|
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に二二二UJ
) r'
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ありがとうございます。
心より感謝です🤗🤗