愛とは記憶の鳥籠

きのと

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プロローグ

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「おかあたっ」

 舌足らずな声で母親を呼びながら、小さな手を伸ばすと、優しく抱き上げられた。

 ふっくらとした柔らかい頬を押し付けながら、ぎゅっと首にしがみつく。

 慈しむように背中を撫でられると、急に眠気が襲ってきた。ふわぁっと小さく欠伸を漏らす。

「あらあら。リリはおねむさんなのね」

 揺りかごのようにゆらゆらと身体を揺らしながら、愛娘のために小鳥が囀(さえず)るように子守歌を口ずさむ。

「おやすみなさい、愛しい私の宝物」

 大好きな母親の温もりを感じながら目を瞑ると、リリはそのまま眠りに落ちていった。
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