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第三章 明日へ
98. 成果
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実証の結果が早く出始めたのは加護の方で、その成果は目を見張るものだった。
オーウェン公爵の協力により、教会で行われる加護に保護地区のアデルを同席させ、対象者にフェロモンを嗅がせながら加護を行う実験を行う事となった。効果は明らかで、季節が二つ巡った頃には通常の加護に比べて3倍にもなる受胎率の高さを示す様になっていた。
今日は現状の結果報告のため、研究チームのリーダー格の医師とセレダと共にオーウェン公爵の元を訪れている。
「……確かに、これまでの常識を覆す結果だな」
オーウェン公爵の言葉に、医師は大きく首を縦に振って同意する。
「はい、まさかここまでの成果が出るとは思ってもみませんでした。ただ、この結果はあくまでサンプル数が少なく、統計上の数字です。今後相当数の検証していかなければ本当の意味での確証にはなりません」
「それはそうだが、これだけの結果が出ているのだ。これまでの常識が覆るのは間違いないだろう」
「はい、私としてもそう思います。しかし、現状ですとどうしても時間が必要になります。もし可能であれば、早急に他のサンプルを集めて検証したい所です」
医師の言葉に公爵は頷く。
「つまりはこの方法をもっと多くの者に施したいという事だな」
「ええ、その通りです。より多くの者を対象に行えば、より正確なデータが取れますし、今後の応用も可能になるでしょう」
「ふむ……」
医師の提案を聞き、オーウェン公爵は難しい顔をして考え込む。僕は口を開く。
「やはり……アデルの安全面が心配ですか」
「あぁ、現状は王都保護地区の一部のアデルに協力をしてもらっているが、さらに広げるとなるとそこが問題となるな」
「ええ、ですが……もしこの方法が正式に認められれば全国に広げていく必要があります。いずれにしても解決しなくてはならない問題ですね」
「うむ……」
僕の話を聞いて、オーウェン公爵はさらに考え込み始めた。
僕達は黙ってオーウェン公爵の考えがまとまるのを待つ。しばらくするとオーウェン公爵は顔を上げて話し始めた。
「よし、分かった。この件については私が国王陛下に直接掛け合おう。それでどうだ?」
「本当ですか……!?ありがとうございます」
「……いや、うまくいけば保護地区のアデルの世界が広がる機会ともなる。こちらとしてもありがたい機会だ」
「ありがとうございます、公爵。僕にもお手伝いをさせてください」
「ああ、ティト、働いてもらうぞ」
「はい」
こうして、オーウェン公爵から国王への働きかけにより、研究へのアデルの全面協力が認められた。そして、その結果はすぐに国中に知れ渡ることとなった。
保護地区の住人であるアデルが、加護による受胎率向上の研究に協力することが公表されたからだ。これによりアデルが協力をする教会の加護の人気が高まることとなった。問い合わせが殺到した為、急遽教会では予約制での加護を行うことにしたらしい。これにより教会は大いに潤うこととなった。
そして、加護の効果が上がった事が知られると、今まで加護を受けていなかった者達も加護を受ける為に教会を訪れるようになった。それに伴い、教会では多くの加護希望者を受け入れて対応に追われているようだ。
「これは大変なことになりましたね」
「ああ、だがこれも想定内だ。むしろこれでいいんだ」
僕の言葉にオーウェン公爵は力強く答える。
「確かにそうですね」
「ああ、これでアデルの保護地区外での活動にも希望が見えてきた」
「ええ、これから、ですね」
僕たちは成果を確かめ合う様に、お互いの顔を見て笑い合った。
オーウェン公爵の協力により、教会で行われる加護に保護地区のアデルを同席させ、対象者にフェロモンを嗅がせながら加護を行う実験を行う事となった。効果は明らかで、季節が二つ巡った頃には通常の加護に比べて3倍にもなる受胎率の高さを示す様になっていた。
今日は現状の結果報告のため、研究チームのリーダー格の医師とセレダと共にオーウェン公爵の元を訪れている。
「……確かに、これまでの常識を覆す結果だな」
オーウェン公爵の言葉に、医師は大きく首を縦に振って同意する。
「はい、まさかここまでの成果が出るとは思ってもみませんでした。ただ、この結果はあくまでサンプル数が少なく、統計上の数字です。今後相当数の検証していかなければ本当の意味での確証にはなりません」
「それはそうだが、これだけの結果が出ているのだ。これまでの常識が覆るのは間違いないだろう」
「はい、私としてもそう思います。しかし、現状ですとどうしても時間が必要になります。もし可能であれば、早急に他のサンプルを集めて検証したい所です」
医師の言葉に公爵は頷く。
「つまりはこの方法をもっと多くの者に施したいという事だな」
「ええ、その通りです。より多くの者を対象に行えば、より正確なデータが取れますし、今後の応用も可能になるでしょう」
「ふむ……」
医師の提案を聞き、オーウェン公爵は難しい顔をして考え込む。僕は口を開く。
「やはり……アデルの安全面が心配ですか」
「あぁ、現状は王都保護地区の一部のアデルに協力をしてもらっているが、さらに広げるとなるとそこが問題となるな」
「ええ、ですが……もしこの方法が正式に認められれば全国に広げていく必要があります。いずれにしても解決しなくてはならない問題ですね」
「うむ……」
僕の話を聞いて、オーウェン公爵はさらに考え込み始めた。
僕達は黙ってオーウェン公爵の考えがまとまるのを待つ。しばらくするとオーウェン公爵は顔を上げて話し始めた。
「よし、分かった。この件については私が国王陛下に直接掛け合おう。それでどうだ?」
「本当ですか……!?ありがとうございます」
「……いや、うまくいけば保護地区のアデルの世界が広がる機会ともなる。こちらとしてもありがたい機会だ」
「ありがとうございます、公爵。僕にもお手伝いをさせてください」
「ああ、ティト、働いてもらうぞ」
「はい」
こうして、オーウェン公爵から国王への働きかけにより、研究へのアデルの全面協力が認められた。そして、その結果はすぐに国中に知れ渡ることとなった。
保護地区の住人であるアデルが、加護による受胎率向上の研究に協力することが公表されたからだ。これによりアデルが協力をする教会の加護の人気が高まることとなった。問い合わせが殺到した為、急遽教会では予約制での加護を行うことにしたらしい。これにより教会は大いに潤うこととなった。
そして、加護の効果が上がった事が知られると、今まで加護を受けていなかった者達も加護を受ける為に教会を訪れるようになった。それに伴い、教会では多くの加護希望者を受け入れて対応に追われているようだ。
「これは大変なことになりましたね」
「ああ、だがこれも想定内だ。むしろこれでいいんだ」
僕の言葉にオーウェン公爵は力強く答える。
「確かにそうですね」
「ああ、これでアデルの保護地区外での活動にも希望が見えてきた」
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僕たちは成果を確かめ合う様に、お互いの顔を見て笑い合った。
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