【完】こじらせ女子は乙女ゲームの中で人知れず感じてきた生きづらさから解き放たれる

国府知里

文字の大きさ
15 / 92

#14、 お茶会に招かれて

しおりを挟む


 新しいドレスに着替えて、いざお茶会のときを待つ。
 ドレスはお直しをする必要もなく、サイズぴったりだ。
 ご都合よろしがすぎる。
 さすがは乙女ゲームの夢の世界。

「ナナエ姫様、とってもお似合いです!」
「やっぱりこの髪留めを選んだのは正解でしたね!」
「そう、ありがとう……」

 鏡に映る自分を見た。
 奈々江は紛れもなく奈々江そのものだ。
 ゲームのキャラクターたちと現実の自分が鏡に映りこんでいる姿はおかしいはずなのに、どういうわけなのか不自然に見えない。
 ゲームのキャラクターたちが現実に寄ってきているのか、自分のほうがゲームのイラストに寄ってきているのか、なぜかまったくわからなかった。
 夢の補正が効いていて、奈々江の脳が違和感のないように不合理をうまく書き換えているとしかいいようがない。

 時間丁度に迎えが来た。
 奈々江はラリッサとメローナ、そして警備兵四人を従えて、お茶会が開かれるという王室庭園へ向かう。
 警備は近衛兵団から既婚男性が選ばれた。

「ナナエ・ルゥバニュアス皇女殿下、光栄でございます。
 殿下の警備責任者を努めますピクストニア・フェンデルと申します」
「わたしは、グラナディス・ヘルトパスと申します」
「スティマス・ドビアスと申します」
「ジュダイヤ・グレンマスと申します」

 四人とも以前から交代しながら部屋の外を警護してくれていたので顔なじみだ。
 ただシナリオには絡んでこないので、奈々江が四人の名前を知ったのはこれが初めてだった。

(ゲームでは警備兵はただその存在があるというだけで、キャラ名すらなかった。
 ということは、わたしの夢が勝手に情報を補完しているんだわ。
 ラリッサとメローナの恋愛話といい、彼らの名前といい、プログラムの範疇を超えている。
 ゲーム設定はそれはそれとして、わたしの記憶や願望がこの世界にかなり影響しているのね。
 となると、昨日覚えていることをすべて書き出してみたけれど、実際あれがどこまで当てになるかわからないかも……)

「みなさん、どうぞよろしくお願いします」
「はいっ、ナナエ姫!」

 一番若いジュダイヤが突然前のめりになって、詰め寄って来た。
 ラリッサとメローナが、さっと前に出て、ジュダイヤをけん制する。

「馴れ馴れしいですよ、ジュダイヤさん!」
「そうですよ、離れてください!」

 全員既婚者のはずだが、ジュダイヤだけ態度がおかしい。
 奈々江はそっとこめかみを叩いて確認した。

(……あっ、ジュダイヤだけ、ゲージがピンク!
 彼は妻がいるのに……。
 誠実な人間じゃないのね……。
 でも困ったな、いちいちこんなふうにジュダイヤにまとわりつかれても……。
 ジュダイヤを他の誰かと交代してもらえないのかな)

 ちらっと見ると、口髭の中年ピクストニアがすぐさまにうなづいた。

「ジュダイヤ、お前は皇女殿下の警護から外れろ」
「えっ! そんな……!」
「行け! バトラム・ベンジャミンと交代だ」
「そ、そんなぁ!」
「問答無用!」

 青い髪のグラナディス、たれ目のスティマスも、厳しい視線でジュダイヤをねめつけている。
 ラリッサとメローナも、キッと厳しい視線を外さない。
 ジュダイヤが眉を下げて、しぶしぶ立ち去った。
 太陽のエレスチャル効果のおかげで、親愛ゲージマックスのみんなは本当に頼りになる。
 ほっと胸をなでおろして、六名で庭園に向かった。

 王室庭園へつながる屋外回廊は白い石でアーチが作られており、同じ白い石を掘り出してつくったと思われる彫刻装飾された柱が庭までのアプローチになっている。
 進んでいくと、柱が導く先に、青い空と明るい光が緑を照らし出す景色が見えた。
 その先では、初夏の花と今枝を伸ばそうと太陽に顔を向ける鮮やかな緑とが一気に広がっている。
 その中ほどに、真っ白なクロスを敷いたテーブルがある。

 ホストの席にはエドモンド王、ホステスの席にはミシュラディナン王妃。
 そして、奥から左に王弟アキュラスと皇太子たち、右に皇女たちが並んで座っていた。
 第一皇太子グレナンデスと第二皇太子シトュラスは自ら席についているが、第三皇太子パルパトスは侍女に抱かれている。
 設定上の年齢は正確に覚えていないが、上から順に二十歳前後、十五歳前後、生後間もない、と奈々江は記憶している。

 隠れ攻略キャラのアキュラス王弟はエドモンド王とは年が離れていて、まだ三十代ぐらいだったはずだ。
 目が合うと、柔らかな笑みが帰ってきた。
 さすが王族というべきか、これまでのマックスデレのような表情も、がつがつとした印象はなかった。

 右の皇女たちは全部で五人。
 シナリオにはあまり絡んでこなかった彼女たちだが、第五皇女以下彼女たちの年恰好はシュトラスよりも下という感じだ。
 それより上の年頃の姫たちは、すでに他国に嫁いでいてここにはいない。

「よく来てくれた、ナナエ皇女よ。
 今日はわたしたちの個人的なお茶会へようこそ。
 堅苦しいことは抜きにして、今日はナナエ姫、そう呼ばせてもらってもよいかな」

 エドモンド王が両手を広げてみせた。
 グレナンデスを含め、一同のほとんどがにこにこと奈々江を迎えてくれた。
 これまでのキャラたちと同様に、太陽のエレスチャル効果が効いている。
 その証拠に奈々江のたどたどしい挨拶も、なんの違和感も持たずに受け入れてくれている。
 グレナンデスの熱っぽい視線と王子らしい微笑みをやりすごすと、シュトラスをちらりと見た。
 シュトラスだけは、まるで奈々江の一挙手一投足を見落とさないでいるかのように、じっと見つめていた。
 その表情には笑みもなければ、歓迎の様子もない。

(か、観察されている……。
 きっと、心のうちはすべてシュトラス皇太子に見透かされているのね……)

 そのとき、ぱっと自分の手に暖かなものが触れたのがわかった。
 見ると、バラ色の頬を盛り上げて、目を輝かせた皇女が、奈々江の手を握っていた。

「ナナエお姉様!」
「あらあら、ミレット!
 いくらなんでも、ナナエ姫が驚かれますよ」
「気が早すぎるよ、ミレット。
 ナナエ姫、どうかお気を悪くされないでください」

 王妃とグレナンデスが第八皇女ミレットの失態を即座にたしなめた。
 母と兄に諭されながらも、ミレットは目を輝かせて奈々江に親愛と期待を寄せている。

「ナナエ姫様は、いつお兄様と結婚なさるの?
 わたくし、結婚式のブーケを作ってもいいってお兄様にお許しをいただいたの」
「あたくちも、ミレットねえしゃまのおてちゅだいする、やくしょくしましたの!」

 今度は第九皇女のラビアが自ら椅子を降りて、ととと、とやってきたかと思うと、ミレットの隣に張り付き、奈々江のスカートを握りしめた。
 彼女たちより分別の備わっているはずの第五皇女スワン、第六皇女バーバラ、第七皇女フェルナまでもがそろって立ち上がった。

「いいじゃないの、お母様、お兄様!
 どうせ、皇太子妃選びは取りやめなんでしょう?
 それよりも、わたしくしたちナナエ姫様ともっと親しくおしゃべりしたいわ!
 いいでしょう、お父様!」
「まったく、お前たちには敵わん。
 ナナエ姫、多分に無礼はあるだろうが、悪い娘たちではないのだ。
 仲良くしてやってくれないだろうか」
「そ、それは……はい……」

 奈々江の返事に、きゃあっと皇女たちが華やいだ。

「ナナエ姫様はどんな結婚式がお好みなの?
 エレンデュラ王国では親族の女性たちが花嫁のためのブーケをお作りになるとか!」
 わたくしたちも、それに習いたいと思っているの!」
「ナナエ姫様がお兄様の婚約者になってくれて本当にうれしい!
 だって、わたくし、ナナエ姫様のようになりたいんだもの!」
「結婚式のドレス選びには、どうかわたくしも参加させてくださいな!
 ナナエ姫様のような黒い髪、黒い瞳には、きっと真っ白い絹のベールが映えますわ!」
「わたくしも、わたくしも!」
「あたくちも!」

 第五から第九までの皇女たちがとりどりに口を開く。
 奈々江はひそかにこめかみを叩いて、五人のラブゲージを確認した。
 五人とも、オレンジ色で満たされている。

(もう完全にわたしが義理の姉になると思い込んでいるのね……。
 一応わたしもそのつもりがないわけではないんだけど……。
 その前にまだ確認しておきたいことがふたつあるのよね)

 かしましい皇女たちが治まるのを待って、奈々江は一言断りを入れて話し始めた。 

「大変心苦しいのですが、わたしはまだ気持ちの整理がつかなくて……」

 グレナンデスがややあって、気をつかわし気に口を開いた。

「そう……でしたね……。
 ナナエ姫にはなによりも先に心安らかな時間を過ごしてもらうということが最優先です。
 今日このお茶会にお招きしたのは、わたしとわたしの家族とでナナエ姫が祖国エレンデュラ王国にいるのと同じように、気兼ねなく心穏やかに過ごしていただけるように、温かくお迎えしたいと思っているからなのです」
「その心遣いには感謝します……。
 ときにお聞きしたいのですが」
「はい、なんでもおっしゃって下さい」
「グレナンデス皇太子殿下のお手紙にありましたように、皇太子妃選びは本当になくなってしまったのですか?
 城にはまだ皇女殿下やご令嬢が残っていると聞きました」
「確かに、その通りです。
 候補者にはわたしが責任をもって話をいたしますので、どうかご心配なさらないでください」
「いえ、そうではなく、わたしのような頼りない候補をひとり残すだけでは、後々問題になりかねません。
 まだ皇太子妃候補として残る意志のあるかたがいるのなら、どうか予定通りに皇太子妃選びを行っていただけませんか……? 」
(暗殺の可能性を捨てるには惜しいから……!)
「し、しかし……」

 グレナンデスは逡巡したが、エドモンド王とミシュラディナン王妃は思慮深くうなづいて見せた。

「ナナエ姫、さすがはエレンデュラ王国皇女。
 妃選びが国家の存続にかかわる重大なことだということをよく理解されている」
「わかりますよ、ナナエ姫。
 王妃ともなれば、国家の繁栄のために子を設ける責務があります。
 けれど、わたくしのようになにも十二人も産まなくていいのですよ。
 子が必要ならば、側妃に産ませるという手もあります。
 でも心配しないで。
 あなたはグレナンデスの正妃になるのですから」
「王妃のいう通りだ。
 皇太子妃選びを行うほうがナナエ姫にとってよいというのなら、行うのは構わない。
 側妃ではなくとも、皇太子妃の侍女として優秀な人材が必要なことにもかわりがないのだ。
 ただし、わたしも王妃もグレナンデスも、ナナエ姫を正妃にという気持ちには変わりがないということを、ここに表しておきたい」
(け、けっこうな無茶いうなぁ……。
 一応、わたし自殺未遂犯すほどの鬱状態なんだけど……。
 そりゃあ実際にはただの仮病だけど、本当に鬱だったらそのプレッシャー、やばいと思うんだけど。
 そういうリアリティは無視されるのね……)
「ぜひ、皇太子妃選びをお願いいたします」

 奈々江が首を垂れると、すぐに了承された。
 グレナンデスがなにかいいたげに視線を送ってきたが、黙ってやり過ごした。

(ひとまず、これでひとつ目の問題はひとまずクリア。
 もうひとつは……)

 奈々江はそっと視線を移して、シュトラスを見た。
 隠れ攻略キャラのシュトラスにもピンク色のラブゲージが備わっている。
 だが、驚いたことに、そのゲージは半分ほどだった。

(え……、太陽のエレスチャルが効いていない……?
 ……どうして?)

 狼狽していると、シュトラスと視線がぶつかった。
 グレナンデスをそっくりそのまま二回りほど小さくしたような少年だ。
 目が合うとほぼ同時に、シュトラスが立ち上がり首を垂れた。

「申し訳ありません。
 少し気分がすぐれないので、部屋に下がらせていただきたく存じます」
「許す。
 シュトラス、無理せず体を愛う様に」
「ありがとうございます、父上」
(えっ……!?
 シュトラス、行っちゃうの?
 たいして挨拶もしていないのに?)

 まさか引き止めるわけにもいかず、奈々江はシュトラスの背中を見送るしかなかった。
 きりがいいとみるや、また皇女たちがにこにこと奈々江を見つめて一斉に泡立ち始めた。

「さあ、ナナエ姫様、気兼ねなくおしゃべりしましょう!」
「は、はあ……」
(シュトラスにはいろいろ聞きたいことが……。
 そのためにも、このお茶会でできるだけ親しくなっておきたかったのに。
 だけど、キャラ全員の好感度がマックスになるはずなのに、ラブゲージが半分ってどういうこと?
 ……もしかして、エレスチャルがなにか関係しているの?
 ええと、ええと……。
 エレスチャルのゲーム設定って、どんなだったっけ……?)

 皇女たちの受け答えをしながら頭を巡らせてみる。
 "恋プレ"の魔法のアイテムはいろいろあるが、エリクサーやポーションのような活動時間を伸ばすためのサポートアイテムを除けば、その目的は基本的にすべて好感度を上げるためにある。
 攻略キャラの好みに合わせてドレスやメイクを選ぶように、魔法アイテムにも攻略キャラとの相性がある。
 当然魔法アイテムのほうが、効果が高い。
 その最高峰が魔法石シリーズで、エレスチャルはこのシリーズの一部なのだ。
 ゲームのプレイヤーが手にすることができるのは九つ。

 グレナンデスに対してのみ好感度マックスになる、生命の赤水晶。
 カロンディアスに対してのみ好感度マックスになる、豊穣の黄水晶。
 セレンディアスに対してのみ好感度マックスになる、癒しの緑水晶。
 キュリオットに対してのみ好感度マックスになる、再生の黒水晶。   
 トラバットに対してのみ好感度マックスになる、守護の金真珠。
 オズベルトに対してのみ好感度マックスになる、不滅の白珊瑚。
 ケンウッドに対してのみ好感度マックスになる、親和の紅珊瑚。  
 マクベスに対してのみ好感度マックスになる、幸運の紫水晶。
 そして、全ての攻略キャラの好感度をマックスにする、太陽のエレスチャル。

 その他にも、好感度を一割、二割増しする宝石のアイテムがあるが、それはあくまでもファッションアイテムで魔法アイテムというくくりではない。
 そして、相手の心を読むことができる、聖水のエレスチャルは、シナリオの中で登場するものの、シュトラスが持っているためにユーザーは手に入れるすべがない。
 つまり、エレスチャルは魔法石シリーズの中でも特別な位置にあるといえる。

(とすると、考えられるのは……。
 太陽のエレスチャルの効果と、聖水のエレスチャルの効果が相殺しあっている、とか……?
 どちらも相手に働きかける強い効果を持っているし、それに匹敵しあうものがそれしかない。
 システム上ではどうなっていたっけ?
 シュトラスルートのストーリーはざっと知ってはいるけれど、システムは確か社長が組んでいたから、わたしにはわからない……。
 けど、特別なアイテム同士、効果の相殺はゲームの設定上なくはなさそうな……。
 うーん……。
 あっ、だとすれば、シュトラスの好感度が上がりにくいのと同じで、もしかして、シュトラスがわたしの心を読むのも読みずらいって可能性もある……?
 ひょっとしたら、だからシュトラスは具合が悪いと思って退席しちゃったのかも……)

 それを確かめるには、いずれにしてもシュトラスと直接話す必要がある。
 つつがなく皇女たちの相手をしていると、エドモンド王がグレナンデスに気を使って口を挟んだ。

「お前たち、ナナエ姫と親しくなりたいという気持ちはもう充分に伝わったであろう。
 そろそろグレナンデスにもその時間を譲ってやりなさい」
「まあ、まだお話しし足りませんのに!」
「しかたありませんわ……」
「残念ですが、ひとまずお兄様にお譲りしますわ」
「またお話ししましょうね、ナナエ姫様!」
「おはなししまちょうね!」
「え、ええ……」
「グレナンデス、ナナエ姫に咲いたばかりのロイヤルアメジストローズを見せてあげてはどうかな」
「はい、父上。
 行きましょう、ナナエ姫!」

 勢いよく立ち上がったグレナンデスは、さっそうと側にやってくると、きりっとした振る舞いもが輝かしく、奈々江の前に腕を差し出した。
 グレナンデスの瞳がきらきらとして星のようだ。

(ま……まあ、チャンスはきっとこれからもあるはず。
 それに、グレナンデスのいいところを見つけて、好きになる努力もしなくっちゃ……)



*お知らせ-1* 便利な「しおり」機能をご利用いただくと読みやすいのでお勧めです。さらに本作を「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届きますので、こちらもご活用ください。


*お知らせ-2* 丹斗大巴(マイページリンク)で公開中。こちらもぜひお楽しみください!



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...