【完】こじらせ女子は乙女ゲームの中で人知れず感じてきた生きづらさから解き放たれる

国府知里

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#71、 新しい予感

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 それからふた月ほどをかけて新しいドミノが完成した。
 ホレイシオやクレアにも度々意見を求め、光のバリエーションや色のバリエーションが完成し、さらに売り方についても一通り提案できるような形になった。
 驚くなかれ、ホレイシオが紹介してくれたふさわしい人物というのは、なんとグランディア王国のマクベスだった。
 ナナエ自身も忘れかけていたので、まさかという登場だったがマクベスといえば攻略キャラのひとりでありグランディア王国の王室図書室長だ。
 王室図書館は立体パズルを多数所蔵していたが、ついぞ奈々江が利用するには許しは得られなかった。
 実際には、ブランシュの命により、許可申請すら出されていなかったのだが。

「そうだったの!? 通りでいつまでたってもパズルをさせてもらえないわけだわ」
「ナナエ姫様、申し訳ありません! ブランシュ殿下の命令に逆らえず……」
「でも、四時間も五時間も平気でナナエ姫様が熱中してしまうのがいけなかったのでございますよ」
「……それもそうよね。ラリッサとメローナには苦労を掛けたわね」

 このマクベスとホレイシオはかねてより親交があったらしく、また数世代遡るとマクベスの父方の祖先とホレイシオの母方の祖先が同じなのだそうだ。
 そのようなつながりがあって、国は違えど親しく交流を続けており、互いの仕事に関してもなにかと相談を求めたりする仲なのだという。
 特にマクベスは図形数学、魔法歴史の分野に長けており、ナナエの懸念を払しょくするに十分な知識があった。
 ただ人物評しては、仕事熱心が過ぎて妻から離縁されており、息子と娘も一人ずついるが、ずっと疎遠だという。
 見た目も灰色の髪に灰色の目。
 しかも図書館にこもりきりの無精面。
 きらきらしい攻略キャラの中でも特に風変わりなキャラクターであり、奈々江はなんとなく少し頼りない上司に似ている気がしていた。

(顔はゲームの通りなんだけれど、なんというか佇まいがね……。
 夢の中ではこんなに時間が経ってしまっているけれど、社長はちゃんとバグを治してくれたのかしら……?)

 マクベスに出会って混乱したかといえば、そんなことはない。
 シュトラスがくれた魔法アイテムのお陰で、無事太陽のエレスチャルを体から分離することができたのだ。
 およそ二週間ということだったが、三週間ほどたったある日、シュトラスのくれたペンダントの中に小さな欠片が入っていることに気がついた。
 いつだったか丸呑みしたあの太陽のエレスチャルに違いなかった。
 こうして、太陽のエレスチャルを体の中から取り出せたおかげで、取り外した状態でマクベスと面会することができたのだ。
 太陽のエレスチャルの効果はなかったとはいえ、奈々江が立体パズルに興味を示すと、マクベスは熱心に奈々江に立体魔法陣のことを説明してくれ、すくなからずラブゲージが上がったことはいたしかたない。
 いろいろと忘れかけてはいるが、ここは乙女ゲーム”恋プレ”の世界に影響を受けた夢の中なのだ。

(とにかく、太陽のエレスチャルを取り外すという問題は解決したし、少しずつだけどゲームクリアに向けて進んでいる気がするわ。
 太陽のエレスチャルは必要な時にだけ身に付ければいいから、とりあえずはエアリアルポケットの中にしまっておこう。
 こうなってくると、がぜん魔法アイテムの便利さを実感するわね)

 この二カ月、残念ながらグレナンデスからのアクションはなかった。
 シュトラスが言うには、グレナンデスにはなにか考えがあるらしく、今も単独行動をとっているのだそうだ。
 それがどんな考えなのかは全く分からないが、自分もできるかぎり目を配って協力する体制でいるから、兄を信じて待っていてほしいといわれた。
 シュトラスが言うのだからきっとそうなのだろう。

(でも、その間にドミノをつくりなおすことができて良かったわ。
 それに、フェリペにいろいろと意見をもらったおかげで、音楽と光の親和性がより高度なものになった)

 というのも、ブランシュとの仲をどう立て直すかと思案しているときに、ブランシュのほうからライスに会いに行きたいから同行してほしいという依頼が来たのだ。
 奈々江はこれ幸いにとたっぷりと恩を押し付け、返してもらうべき借りがあるのだともったいぶった態度をしっかりとったうえで了承した。
 ブランシュの兄弟愛はやはり相当なものらしい。
 ナナエは初対面の時の強烈なシスコン度合いを改めて認識せざるを負えないくらいだった。
 ともかくこれを機に、フェリペにドミノを見せるというのを口実にして、ブランシュにもそれとなく報告代わりに見せてしまおうと考えた。
 実際、ブランシュ、ライス、フェリペを前にドミノを見せると、反応は極めてよかった。
 マクベスのアドバイスもあり、貴族社会や国交に波風を立てる心配もなさそうだ。
 フェリペは音楽家らしく、細やかなアドバイスをくれ、特に曲のイメージを表す発想記号についていくつもの有効なアドバイスをしてくれた。
 ライスは一見同じ牌でありながら、様々な楽器の音があることに驚き、また牌の組み合わせによって多様な光が発生することに感動していた。
 ライスは子どものように面白がって遊ぶだけだったが、早くこれを売り出そうと人一倍盛り上がった。
 その反応を見て、奈々江は慎重な態度で答える。

「早速工房を押さえて量産させよう!」
「いえ、販売についてはお母様とよくよく相談してみますわ。
 研究のための資金を援助してくださった叔父様にもご報告とご相談差をしなければなりませんし。
 それに、無理にこのドミノを販売せずとも、謎の音楽家エックスのお陰でとりいそぎお金には困っておりませんもの」

 そう、この二カ月のうちに、ライスが筋書きを描いた音楽家エックスの計画も進んでいた。
 今巷では、面白半分にエックスの書いた楽譜が販売されており、しかも売れ行きがなかなかいいそうだ。

「し、しかし、ナナエ、ここまで作り込んであるのに、もったいないではないか」
「よいのです。
 これは今度ご結婚記念を迎えるユーディリア様の祝賀会のときにでもお贈りできれば。
 これであの歓喜の歌を奏でてお見せできれば、きっとユーディリア様に喜んでいただけると思いますの。
 イルマラさんもいい考えだとおっしゃってくださいましたわ」

 これは、ホレイシオと相談して立てたデモンストレーションの計画だった。
 この計画にイルマラを巻き込んだのは、彼女の宣伝効果の高さゆえだ。
 流行の最先端を行くイルマラとその脇を固める三人の仲良し組がうまい具合に話を広めてくれるだろう。

「祝賀会でこれをお披露目したら、誰もが欲しがるに決まっている。
 歓喜の歌の楽譜はもちろんだが、ここまでよくできた魔法玩具なら子供だけでなく大人も夢中になるはずだぞ」
「ですから、今は売り出そうとは考えておりません。
 ご覧になった皆さんに心から楽しんでもらえればそれでいいのです。
 でも、そうですね、もしも販売するのなら、ホレイシオ様にもご相談したいと思いますわ。
 いろいろとアドバイスを下さって、とても頼りになるのです」

 突如出てきたホレイシオの名前に、ブランシュが目を見開いた。

「お、俺の知らないうちに……ホ、ホレイシオと……?」
「はい、ホレイシオ様は販売に関して様々なアイデアをお持ちのようですの」
「……お、お、俺という兄がありながら……」

 ブランシュの動揺っぷりに奈々江はすっと目を細めた。
 奈々江の態度に、ぎくりと身をすくめたブランシュ。
 隣でライスがため息をついたのがわかった。

(ん……? このライスの反応からすると、ライスはわたしがブランシュの第三の婚約者になることを賛成したわけではなさそう。
 それもそうよね、ライスはブランシュが好きなんだし。
 第三であろうがなんだろうが、ブランシュの妻に対していい気がするわけないもの)

 そう思ってライスを見ると、ライスが違う方向を見ているのに気がついた。

(あれ……、フェリペ?)

 ライスの視線の先にいたのは、フェリペだった。
 フェリペはいつものように静かに後ろに控えているだけだったが、明らかにライスの態度は今までと違っていた。

(……えっ、まさか、フェリペのことを?)

 状況からしてみたらありえなくない。
 あれほどブランシュに焦がれていたライスではあるが、自らを解放できたことやブランシュに受け止めてもらえたことで思いに区切りがついたのだとすれば、次の恋に進んだとしても不思議ではない。
 それに、ふたりには音楽という共通項がある。

(まさかそれが本当なら、ライスにはうまくいって欲しいよ……!)

 だがフェリペの方はどうなのだろう。
 奈々江のラブゲージで見る限り、フェリペは終始イエローゲージ。
 フェリペは音楽家を捨てた過去があり、詳しく聞いたことはないがひょっとすると俗世では妻子がいたのではないかとかなんとか……。
 だが、実際のところ奈々江にはフェリペのことはわからない。

(下手に探るような真似をして、邪魔をしてもいけないし。もう少し様子を見よう)

 その日はそれで城へ帰還した。
 帰り際、前回と同じように視線を感じたのですかさずブルームーンラビットのケープを羽織った。
 太陽のエレスチャルはエアリアルポケットにしまっているので、無尽蔵に視線を集めるということはないはずだ。
 不思議に思ったが、これまでの効果が積み重なって、未だ太陽のエレスチャルの力に翻弄されている人もいるのかもしれない。
 だが、次第に効果は薄れるはずだ。
 それまではしばらく慎重を期した方がいいだろう。

 後日再びブランシュの頼みでロカマディオール修道院に行った際、ふいにライスがそばに寄って来て、奈々江に耳打ちをしてきた。

「折り入ってご相談があるのですが」
「どうしたの? バイオリンの弦が足らなくなったの?」
「いえ、ブラザー・フェリペのことです」
(えっ……!?)

 まさかライスのほうから切り出してくるとは思わず、奈々江は目を丸くしてしまった。
 思わずまじまじと見つめていると、ライスが居心地悪そうにした。

「あの、もしやもうお気づきでしょうか……?」

 なにを? と聞き返すのもしらじらしい。

「ライス、もしかして、フェリペさんのことが?」

 ライスの頬にさっと朱が走った。

「はい……」
「そう。わたし、応援するわ」
「ありがとうございます……。その、そうなのですが……」

 ものを含んだような様子に、互いに顔を寄せた。

「最近のブラザー・フェリペはおやつれになったと思いませんか?」
「うん、実は私も少し気になっていたの。
 音楽のこととなると根を詰めすぎるたちだとは思っていたけれど、やっぱり無理をしているのね?
 謎の音楽家エックスの編曲や新譜の管理を全てフェリペさんが担ってくれているんだもの」
「はい。それに修道士としての勤めもございますし、下級の我々を指導する役目もございます。
 また、殿下がお見えになればこのように世話役も果たさなければなりません。
 ブラザー・フェリペは働き過ぎなのです」
「そう……、それで心配しているのね」
「ブラサー・フェリペを還俗させられないでしょうか?」
「えっ、還俗?」
「はい。修道院を離れ、音楽の仕事だけに集中していただけたらと」
「それは……。
 そうね……、確かにフェリペさんは報酬も受け取らず、わたしのために音楽の仕事をしてくれている。
 それが原因で身体を壊すようなことになったら、わたしの責任だわ」
「では……!」
「それにはフェリペさんの意志も聞いてみないと。
 それにエックスの秘密が外に漏れないように、ブランシュお兄様にも相談しなくては」
「そ、そうですね……」

 ブランシュの名を出した途端、ライスがにわかにうつむいた。

「ブランシュお兄様に認めてもらえるかどうかが心配なの?」
「い、いえ、それはまだ……。
 ブラザー・フェリペはまだ私の気持ちを知りませんので……」
「そう。思いが通じ合えるといいわね」
「……はい」

 少し照れたようにライスがほほ笑んだ。

(あれ……、でも待って?
 フェリペが還俗してしまったら、ライスは離れ離れになっちゃうんじゃないの?)

 慌ててライスの袖を引っ張った。

「ちょっと、待ってライス。フェリペさんが還俗しちゃったら、思いが通じたとしても会えなくなっちゃうわよ」
「わかっています。ですが、ブラザー・フェリペは音楽に生きる人なのです。
 ですから私も心から尊敬をしているのです」
「ライス……」

 思わず頭に手をやった。
 相手を思う気持ちは尊い。
 でも、それでライスが幸せかといえば……。
 ライスはすでに納得済みという表情で佇んでいる。

(で、でも、それでいいの……?)

 奈々江の顔に浮かんだ戸惑いに、ライスが静かに苦笑した。

「それよりも、ナナエ殿下はホレイシオ様にお決めになられたのですか?」
「えっ?」

 思わぬ質問に目を見開くと、ライスが首をかしげた。

「違うのですか?
 まさかこの期に及んでブランシュ殿下の三番目の妻になろうとはお思いにはなられないでしょうから、幼馴染のホレイシオ様とのことをお考えなのかと」
「えっ、え、えと……」
「そのご様子ですと、まだ隣国の皇太子殿下のことをお思いなのですね」
「う、うん……」

 取り繕ろうとも思ったが、ライスが心の内をさらけ出してくれたので、こちらも素直にうなづく。
 ライスはその頬に優しさを浮かべた。

「意のままにならぬ思いを抱える苦しみは私にもよくわかります。
 ナナエ殿下におかれましては、よもやかの王子とお顔を合わせることはむろん、手紙やスモークグラムを交わすことすら難しい状況と思われます。
 心に区切りをつけるというのも正直難しいのでは」
(区切りどころか、わたしはひそかにグランディア王国に通じて、グレナンデスと両思いのルートクリアをめざそうとしている。
 それは水面下ではもう動き出しているのよ、ライス)

 もちろんそのように答えることはできず、ナナエはあいまいな表情を浮かべて目を下げた。
 慰めるようにライスが続ける。

「ナナエ殿下のお苛立ちはごもっともですが、ブランシュ殿下はあれで本当にナナエ殿下のことをご心配されているのです。
 無理やり婚約者を決めてしまえば、ナナエ殿下はいつかのように世をはかなんでしまうかもしれない。
 それならば、自分の手元に置いて守っていこうと本気でお考えなのです」
「それはそうかもしれないけど……」

 あのときの怒りと悲しみを思い出したように、くっと眉を寄せた。

「……でも、傷ついたわ!
 わたしはブランシュお兄様とライスは本当に大事な兄弟だと思っていたのに、わたしの気持ちは全く無視されて、裏切られたと思ったわ!」
「それでとうふの角に頭をぶつけて死んでしまえとおっしゃったのですか?
 とうふとは一体なんなのでしょうか?
 私の知る限り初めて耳にする言葉だと思うのですが……」
「と……、豆腐は豆腐よ」

 ブランシュがライスにそんなことまで聞いていたのかと思うと、思わず笑ってしまいそうになる。
 だいたい、たなぼたは通じるのに、豆腐が通じないなんて、この世界の設定もいい加減が過ぎやしないか。

「豆を煮て固めたものということですから、水よりは固く、鉄よりは柔らかなものだと推察するのですが。
 果たしてそのようなもので頭を打ったとて、死ねるのでしょうか?
 それとも、豆を煮固めた固くもなく柔らかくもないようなよくわからないものに頭を突っ込んで反省しろといったたぐいの例えでしょうか?」
「そんな真剣に考えなくても……。
 でも、言いたかったのはおおよそそんなところよ」
「でしたら、ブランシュ殿下はもう十分すぎるくらい反省なされています。
 今は国王陛下がナナエ殿下の婚約者選びを急かそうとするのをいさめておられるくらいですから」
「……そうなの……」

 肩越しにちらりと振り返り、ブランシュのほうを見た。
 こちらをうかがっていたらしいブランシュはびくっと瞳を揺らして、なにごともないかのように背を向けた。
 ブランシュとて、よかれとおもって提案したのではなかったらしい。
 自分の裁量の中で妹である奈々江のことを考えていてくれているのだろう。

(改めてみるまでもないけれど、高いハードルね。国の立場や王族の立場というのは……。
 でも、個人の心情としてならブランシュはわたしの気持ちを理解してくれているはずなんだわ)

 奈々江は少し表情を緩めて見せた。

「わかったわ、ライス。
 もう少し、ブランシュお兄様に優しくする」
「それを聞いて安心いたしました」

 ロカマディオール修道院を去る際、フェリペに声をかけた。

「フェリペさん、少し疲れているみたいだけど、大丈夫ですか?」
「はい、天上の音楽に携われる喜びに満ち満ちております」

 くまのできた目の下に比べて目は生き生きと輝いていた。

(確かに、これちょっとハイになっちゃってる感じだ……。
 もしかして、還俗させて音楽だけに集中させたらもっとやつれちゃうんじゃないの……?)

 俗世を捨てるくらいの音楽狂だ。
 ライスは還俗させるのがいいと考えたが、もしかしたらそれは逆かもしれない。

「ナナエ、帰るぞ」

 ブランシュが先を急いだので、今日は帰らねばならない。
 次回はブランシュ抜きでここへきてフェリペの話を伺う必要がありそうだ。

「無理だけはしないでくださいね」
「はい、ご配慮痛み入ります」

 帰る際、すばやくブルームーンラビットのケープを羽織る。
 やはり、建物を出るとどこからか強く視線を感じる。
 余計なトラブルを引き寄せないうちに、奈々江はすばやく帰還の呪文を唱えた。

 

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