【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由

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第1章

こんなはずじゃないのに(ピーチル視点)

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そしてお姐さんと言われる人たちの部屋に連れていかれた。何人かのお姐さんたちには各個人の部屋が割り当てられていた。人気がある女性には個人の部屋が割り当てられるそう。


個人の部屋が与えられているお姐さんはもちろんだけど、個人の部屋がない人でも綺麗な人たちがいた……


なによ!なんでこんなところにこんな綺麗な人がいるのよ!!これじゃあ私が目立たないじゃない。


そこではお姐さん達のお茶出しをさせられて、翌日からは各部屋まで洗濯物を取りに行って手で洗濯物洗いをさせられた。乾いたらまた部屋まで届けに行った。お姐さんたちの洗濯物だけでも大量で、洗うだけで半日以上が過ぎていた。綺麗な服は丁寧に洗わなければすぐに傷ついてしまい、そうなるともう次に着ることはできない。そんなことになれば私の取り分から減らすと言われた。取り分がいくらかもわからないのに上等な服の分なんて払えるわけない。だから丁寧に洗った。


でも半日も過ぎると太陽が真上から下がり始め、それを過ぎて干すと乾かないこともある。太陽が真上に来る前に洗い終わるように早起きして間に合わせろと言われた。もしもお姐さんたちの服が乾かなかったら罰として夕食は抜きだと。そして夕刻お姐さんが男についた後は部屋の掃除をして、お風呂でお姐さんの身体も洗った。まるで召使だった。


今までこんな事した事はなくって、まだ暖かい季節にも関わらず手は冷たい水を使っていると切れてとても痛い。そこに洗剤が入ると涙が出るほど痛い。それなのに一人の部屋は与えられず5人で同じ部屋を使えと案内された。私より若い子だっていたのに、私より先に入ったから敬えと。そしてお風呂だって一番最後だった。一番最後のせいで奥も少なくて浸かったって身体が温まらない。

身体は腰をかがめての洗濯にギシギシと聴こえてきそうな程痛い。それなのに洗濯洗いにまだ慣れていないせいで最近は朝も暗いうちから起きている。そうしなければ終わらない。やりたくなんかないけどやらないと夕食がもらえずお腹が空くの。お腹が空いていると空腹で眠れなくって、朝起きるのがしんどい。そうするとまた洗濯が終わらない………


なんでよ!!どうして私がこんな生活をして苦しい思いをしなきゃいけないの!!
こんなことをするために娼館に来たわけなんかじゃないのに!!
むかつくむかつくむかつく!!!


なによ!!私は貴族の妻になるためにここにいるのよ!こんなところで必死になるためにいるわけじゃないのに!!
でもその店で知ったのは人気があるのは必ずしも綺麗な人ではないということ。

綺麗ではなくっても、聞き上手であったり、甘え上手だったり、守ってあげたくなるような子ならまた会いに来るとのことだった。

それなら私だっていけるわ!だって聞き上手だし、甘えるのも上手よ。それにこんなに可愛かったら何もしてなくても守りたくなるわ!絶対に人気になって貴族に娶られてやるんだから!!!
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