【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由

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第1章

アイシャの本

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少しずつ店のことが広まってくると、どうしても偏見を持つ人も露見してくる。
しかしそういった方がいるのも仕方がないことだと受け入れている。考え方は人それぞれだから。でも、一人でも多くの理解者を作ろうと店の方たちも頑張っているんだそう。
でもダニーさんは私たちの婚約式後、ありがたいことに王家から認められた料理・飲み物アドバイザーになった。時々王家のシェフも教えを乞いに店に来たりしている。だから表立ってダニーさんたちを批判する人はいない。


そしてもう一つ。
アイシャがこの店の繁栄に一役買ってくれたのだ。


あぁ、そんなことを考えていたらベルジャン邸に到着したようだ。


馬車が止まるとフレッドが先に下り、いつものようにエスコートしてくれる。
そして最近では当たり前になったこと、手を繋いで目的地まで歩いていく。


「サリー!遅かったわね。
あら、フレッド様と手を繋いで仲良しね」


通された部屋に行くと待ち構えていたようにアイシャが話しかけてくる。


「アイシャ、待たせてしまったかしら?
今日はお招きいただきありがとうございます。


ねぇ、新作もとっても素晴らしかったわ!さすがアイシャだわ。一晩で読み切ってしまって、お陰で寝不足よ」


今日、学校ではばたばたで、あまり話せなかった私は興奮しながらアイシャにそう言う。


「ふふっ、ありがとう。
サリーのおかげで自分の意外な特技を見いだせて私も嬉しいの。


実はね、売れ行きが好調だから増刷したいということと、新作も出版社からお願いされちゃったの。
でも公爵夫人の仕事もあるからデイヴとお義父様とお義母様とも相談してるんだけど、ぜひやりなさいってすすめてくれてるの」


「そうなの?さすがだわ!私もついつい引き込まれてしまったもの。絶対人気作品だわ。それに新作が出たら絶対また読むわ!その時には教えてね!」


そう、アイシャは本を出したのだ。
それも男性と男性の愛を描いたもの。


今まで男性と男性の愛を描いたものは読んだことはなかったし、出版社でも驚かれたそう。
でもその内容は女性と男性の恋愛ものと変わらず純粋な内容であり、でも周りに受け入れられない恋心を隠そうとするも、相手も同じような気持ちを持っていてくれたことの喜びを知る。
それでもその恋を受け入れてしまえば跡継ぎも望めず、家族とも縁を切らなければならないかもしれない。
今まで自分が育った環境全てを捨てる覚悟も決めなければいけない。
そういった覚悟を全て決め、相手の手をとるか、それとも心を偽り、周りと同じように生きるか。
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