3 / 23
本編
第2話_魅惑的な門下生
しおりを挟む
あくる日の夕方、都内某所のとある小さな神社に、一人の男子高校生が訪れていた。
「えっと、まず先生に挨拶をして…」
まだ慣れないのか、たどたどしい所作を見せながらそうひとりつぶやくと、参道をそれて神社の敷地内にある住居に向かいかけたところで止まり、足先を元に戻す。
「――お参りしてからにしよう…」
そう律儀な性格をにじませながら社殿で拝礼し、再び住居へ足を運ぶと、少し息を整えてから呼び鈴を鳴らす。
「いらっしゃい。髙城君」
玄関に出てきた長身の若い男に、"髙城"と呼ばれたその高校生はぺこりとお辞儀をした。
「先週振りになります、宜しくお願いします」
その仕草に、男はにこやかに口元を緩めながら頷き返す。
「うん、宜しくね。行く前にお茶飲んでいかない? この間のお菓子まだあるよ」
「! いえっ…このまま向かいます。この裏でしたよね」
「そうそう。説明したこと覚えてるかな? もう何人か生徒さん来てるから、わからなかったら聞いてみてね」
「はい」
玄関を閉じ、居宅の裏手へ回ると、道着姿の大学生かもう少し歳高くらいの女性とはち合う。
少し迷う素振りで歩く彼と目が合うと、女性は自然に微笑みながら近付いて来てくれた。
「今日初めて?」
「いえ、二度目で…荷物は更衣室へ置いておいていいんでしたっけ…」
「うん、個別ロッカーになってるから、鍵が付いたままのところは使っていいのよ。鍵は手首に掛けてね」
「! そういえば、そう言われました」
「道着は借りるの?」
「はい、まだ買えてなくて…」
「じゃあ先に道具倉庫に寄った方がいいわ。開けっ放しになってるからそのまま入って、左手前にクリーニングしたものが並べてあるから、自分のサイズのものを借りてってね」
「わかりました」
「で、更衣室は…えっと」
女性は彼の形を見て更衣室の方向を指差そうとするが、少し止まって振り返り、もう一度上から下まで熟視する。
やや間をあけ、なんとなく迷いのような思考を指先に漂わせつつ、男子更衣室を指した。
「……こっちね」
「ありがとうございます」
礼を言い、まっすぐ男子更衣室を目指していく彼の後ろ姿を、女性は首を伸ばしながら見守った。
「…大丈夫、だったよね?」
男子高校生――髙城 蒼矢は、幼少期から女子に間違えられることが度々あった。盛った若い男が勢いだけで判定するならまだしも、冷静な観察眼で見れるだろう歳を重ねた者でさえ、熟考したうえで出したその判断に迷いを残すほどだった。透き通るような白肌に淡く色づく頬、形の整った口元と先の尖った小さな鼻、少し長めの前髪からのぞく薄い色の大きな瞳。そんな"美人"としか言いようがない容姿に加え、体躯も15歳にしては小柄で線が細く、私服であれば初見ではだいたい女子と勘違いされてしまっていた。
しかしそこはもう、気にするような段階ではなかった。変声期を経て声が幾分か低くなり、喋れば大抵の相手は驚きはするものの、男と認識し直して改めて接してくれる。性質が悪いのは、彼の性別が明確になっても、それを解ったうえで情念を寄せる"男"が後を絶たないという点であった。その容姿に反して割と男らしい性格の蒼矢にとってははた迷惑以外のなにものでもなく、近年は少しでもその気を見せた相手には取り合わず、毅然と断るようにしているが、自分より大幅に年上だったりあからさまに体格差があるような相手には、あまり効果がないどころかかえって余計に気を惹いてしまことも多く、大抵は好きに弄ばれ、泣き寝入りすることがほとんどだった。
そして最近、その事情に絡むヒヤリとするような体験を経て、蒼矢はここへ通う決意をしたのだった。
さて、ここというのは、今しがた会話を交わした女性が着こんでいた道着から察せるように、武道場であった。神社の敷地内に設けられた古武術道場は、蒼矢が先ほど訪ねた居宅の家主である前述の若い男が開門している。
その男――楠瀬葉月は、ここ小社「楠神社」の宮司で、大学卒業を目前にした数か月前に、父親から宮司職を譲渡されたばかりだった。父は病がちで、療養のために母方の田舎へ居を移しており、今は葉月一人でこの神社を運営している。古武術の他空手や柔道もたしなんでいる彼は、家業を継いだタイミングで武道場を建て、しばらく一人で鍛錬していたが少しずつ寂しさを感じるようになり、一緒にやってくれる仲間を"生徒"という名目で募集し始めた。
武道場は建てられてまだ間もなく、全ての施設が新しく綺麗で、未経験者や幼い子供でも通いやすい雰囲気を提供しており、少しずつではあるが順調に生徒は増えている。しかも増えるその多くは生徒の口コミからなので、雰囲気を壊す輩もいない。
加えて、オーナー兼指南役である葉月はおっとりした性格で物腰が柔らかく、老若男女誰が相手でも分け隔てなく接するニュートラルな姿勢が非常に受けが良かった。また、神事で袴姿であることはもちろんだったが、普段着も着流しか作務衣、出掛ける時は羽織に足袋・草履と、この現代において数少ない常時和装スタイルで、タレ目で整った容姿に浮世離れしたその雰囲気が相まって、一般人の目を惹いた。たまに生徒とその親類や友人に請われ、和服イケメンとの写真撮影会も繰り広げられている。
そんな、知る人ぞ知る界隈に熱狂的なファンを有する楠道場だったが、蒼矢は口コミではなく、神社前にぽつんと貼られた生徒募集の張り紙を見て知ることとなった。予約を取り付けた初日、緊張を抱えた蒼矢を葉月は爽やかな笑顔で迎え、道場見学に来たはずなのに玄関から居間へ通し、そのままのんびりと蒼矢の学校生活や世間話に花を咲かせ、最終的に業を煮やした蒼矢の方から見学を急かされあわてて道場へ向かうという顛末に終わった。半分出鼻をくじかれたような形にはなってしまったが、蒼矢は男の柔和な人柄に安心感を覚えて入門を決めた。
前述通り、蒼矢は自分の身を守る目的で武道を習うことを決意したわけだが、初日に世間話に交えて彼の勉学状況に触れた葉月は、学業を優先にして、週何度と決めず通いたい日に通うようにした方がいいとアドバイスを送った。一日も早く強くなりたいという思いはあったが、続ければ少しずつでも確実に身に付くし、必ず身体は出来上がっていくとも言われ、葉月の言葉に従うことにした。
道着に着替えて道場に入ると、下は小学校入りたてくらいから上は孫がいそうな世代まで、幅広い年齢層の生徒達がストレッチや基礎錬に精を出していた。
初日は見学もままならないくらいにしかこの空間に滞在できなかったため、ほぼ初めてと言っていい"武道場"という空気に、蒼矢は緊張感と高揚感で背筋を伸ばした。
何をするでもなく突っ立っていると、道着姿の葉月が後から入場してくる。微笑みながらちらりと蒼矢へ視線を送ると、軽く手を叩いた。
「すみませんお待たせしました、始めましょう」
生徒達の注目を集めると、自分の脇に蒼矢を呼ぶ。
「こちら、今日から皆さんと一緒に通うようになりました、髙城君です」
「宜しくお願いします」
葉月から紹介され、蒼矢は少し緊張を滲ませながらお辞儀する。代わって蒼矢に視線が注がれる中、葉月は生徒の面々を見回した。
「ええっと、髙城君は高校一年生だから…」
葉月は丁度良い組み相手を探し始め、やがて一人の男子生徒に目をつけると、蒼矢を伴って近付いていく。
「君は高校生だったよね?」
「! はい、二年生です!」
「髙城君の相手、頼めるかな? ストレッチと基礎錬のやり方をひと通り教えてあげて欲しいんだけど」
「!! っはい…、……」
選ばれた男子生徒は元気よく返事をするものの、その後が続かず、何やら押し黙ってしまった。
「? どうしたの?」
「!! あ、いやその……」
明らかな動揺の空気を感じ、葉月はその彼へ注視する。男子生徒は、葉月とは目が合わず、ただずっと蒼矢を凝視していた。否、視線が外せなくなっているようだった。彼からの焼けつくような視線を受け、蒼矢も少し恥ずかしくなり頬を染めながら畳へ目を落とす。しかしその仕草がかえって良くなかったのか、男子生徒の顔から鎖骨が、火が出そうなくらい真っ赤になっていく。
「…? …大丈夫?」
そして、気遣うように声をかけた葉月へ腰を90度折った。
「…すみません!! 相手は…やっぱりちょっと無理です!!」
「えっ?」
頭を下げたまま固まる彼へ、葉月は戸惑いつつも再度お願いしてみる。
「今日、だけでもいいんだけど…駄目かな…?」
「……すみません!!」
しかし再びはっきりと断られてしまい、了承した葉月は彼から離れ、他のあてを探し始める。が、葉月の視線がいった先の、対象者であろう中高生男子たちは、虚空を見上げたり足元へ目をやったりと、揃って葉月から視線をそらしていた。誰彼もがみな顔を赤らめ、ぎこちない表情を晒していた。
「……」
なんとなく彼らの心中を察した葉月は、別の候補へと視線を移す。その先に見えたのは女子高生・女子大生たちで、やはり揃って興味深げに蒼矢を眺めていたが、はなから自分たちは勘定に入ってないと思っているのか、葉月と目が合ってもキョトンとした素振りを返す。
「……。」
…いや、女の子と組ませるわけには…いかない。
そう脳内で結論を出した葉月は、注目を集めていた生徒たちへ手を挙げた。
「…髙城君へは、ひとまず僕がレクチャーします。じゃ、始めましょうか」
「えっと、まず先生に挨拶をして…」
まだ慣れないのか、たどたどしい所作を見せながらそうひとりつぶやくと、参道をそれて神社の敷地内にある住居に向かいかけたところで止まり、足先を元に戻す。
「――お参りしてからにしよう…」
そう律儀な性格をにじませながら社殿で拝礼し、再び住居へ足を運ぶと、少し息を整えてから呼び鈴を鳴らす。
「いらっしゃい。髙城君」
玄関に出てきた長身の若い男に、"髙城"と呼ばれたその高校生はぺこりとお辞儀をした。
「先週振りになります、宜しくお願いします」
その仕草に、男はにこやかに口元を緩めながら頷き返す。
「うん、宜しくね。行く前にお茶飲んでいかない? この間のお菓子まだあるよ」
「! いえっ…このまま向かいます。この裏でしたよね」
「そうそう。説明したこと覚えてるかな? もう何人か生徒さん来てるから、わからなかったら聞いてみてね」
「はい」
玄関を閉じ、居宅の裏手へ回ると、道着姿の大学生かもう少し歳高くらいの女性とはち合う。
少し迷う素振りで歩く彼と目が合うと、女性は自然に微笑みながら近付いて来てくれた。
「今日初めて?」
「いえ、二度目で…荷物は更衣室へ置いておいていいんでしたっけ…」
「うん、個別ロッカーになってるから、鍵が付いたままのところは使っていいのよ。鍵は手首に掛けてね」
「! そういえば、そう言われました」
「道着は借りるの?」
「はい、まだ買えてなくて…」
「じゃあ先に道具倉庫に寄った方がいいわ。開けっ放しになってるからそのまま入って、左手前にクリーニングしたものが並べてあるから、自分のサイズのものを借りてってね」
「わかりました」
「で、更衣室は…えっと」
女性は彼の形を見て更衣室の方向を指差そうとするが、少し止まって振り返り、もう一度上から下まで熟視する。
やや間をあけ、なんとなく迷いのような思考を指先に漂わせつつ、男子更衣室を指した。
「……こっちね」
「ありがとうございます」
礼を言い、まっすぐ男子更衣室を目指していく彼の後ろ姿を、女性は首を伸ばしながら見守った。
「…大丈夫、だったよね?」
男子高校生――髙城 蒼矢は、幼少期から女子に間違えられることが度々あった。盛った若い男が勢いだけで判定するならまだしも、冷静な観察眼で見れるだろう歳を重ねた者でさえ、熟考したうえで出したその判断に迷いを残すほどだった。透き通るような白肌に淡く色づく頬、形の整った口元と先の尖った小さな鼻、少し長めの前髪からのぞく薄い色の大きな瞳。そんな"美人"としか言いようがない容姿に加え、体躯も15歳にしては小柄で線が細く、私服であれば初見ではだいたい女子と勘違いされてしまっていた。
しかしそこはもう、気にするような段階ではなかった。変声期を経て声が幾分か低くなり、喋れば大抵の相手は驚きはするものの、男と認識し直して改めて接してくれる。性質が悪いのは、彼の性別が明確になっても、それを解ったうえで情念を寄せる"男"が後を絶たないという点であった。その容姿に反して割と男らしい性格の蒼矢にとってははた迷惑以外のなにものでもなく、近年は少しでもその気を見せた相手には取り合わず、毅然と断るようにしているが、自分より大幅に年上だったりあからさまに体格差があるような相手には、あまり効果がないどころかかえって余計に気を惹いてしまことも多く、大抵は好きに弄ばれ、泣き寝入りすることがほとんどだった。
そして最近、その事情に絡むヒヤリとするような体験を経て、蒼矢はここへ通う決意をしたのだった。
さて、ここというのは、今しがた会話を交わした女性が着こんでいた道着から察せるように、武道場であった。神社の敷地内に設けられた古武術道場は、蒼矢が先ほど訪ねた居宅の家主である前述の若い男が開門している。
その男――楠瀬葉月は、ここ小社「楠神社」の宮司で、大学卒業を目前にした数か月前に、父親から宮司職を譲渡されたばかりだった。父は病がちで、療養のために母方の田舎へ居を移しており、今は葉月一人でこの神社を運営している。古武術の他空手や柔道もたしなんでいる彼は、家業を継いだタイミングで武道場を建て、しばらく一人で鍛錬していたが少しずつ寂しさを感じるようになり、一緒にやってくれる仲間を"生徒"という名目で募集し始めた。
武道場は建てられてまだ間もなく、全ての施設が新しく綺麗で、未経験者や幼い子供でも通いやすい雰囲気を提供しており、少しずつではあるが順調に生徒は増えている。しかも増えるその多くは生徒の口コミからなので、雰囲気を壊す輩もいない。
加えて、オーナー兼指南役である葉月はおっとりした性格で物腰が柔らかく、老若男女誰が相手でも分け隔てなく接するニュートラルな姿勢が非常に受けが良かった。また、神事で袴姿であることはもちろんだったが、普段着も着流しか作務衣、出掛ける時は羽織に足袋・草履と、この現代において数少ない常時和装スタイルで、タレ目で整った容姿に浮世離れしたその雰囲気が相まって、一般人の目を惹いた。たまに生徒とその親類や友人に請われ、和服イケメンとの写真撮影会も繰り広げられている。
そんな、知る人ぞ知る界隈に熱狂的なファンを有する楠道場だったが、蒼矢は口コミではなく、神社前にぽつんと貼られた生徒募集の張り紙を見て知ることとなった。予約を取り付けた初日、緊張を抱えた蒼矢を葉月は爽やかな笑顔で迎え、道場見学に来たはずなのに玄関から居間へ通し、そのままのんびりと蒼矢の学校生活や世間話に花を咲かせ、最終的に業を煮やした蒼矢の方から見学を急かされあわてて道場へ向かうという顛末に終わった。半分出鼻をくじかれたような形にはなってしまったが、蒼矢は男の柔和な人柄に安心感を覚えて入門を決めた。
前述通り、蒼矢は自分の身を守る目的で武道を習うことを決意したわけだが、初日に世間話に交えて彼の勉学状況に触れた葉月は、学業を優先にして、週何度と決めず通いたい日に通うようにした方がいいとアドバイスを送った。一日も早く強くなりたいという思いはあったが、続ければ少しずつでも確実に身に付くし、必ず身体は出来上がっていくとも言われ、葉月の言葉に従うことにした。
道着に着替えて道場に入ると、下は小学校入りたてくらいから上は孫がいそうな世代まで、幅広い年齢層の生徒達がストレッチや基礎錬に精を出していた。
初日は見学もままならないくらいにしかこの空間に滞在できなかったため、ほぼ初めてと言っていい"武道場"という空気に、蒼矢は緊張感と高揚感で背筋を伸ばした。
何をするでもなく突っ立っていると、道着姿の葉月が後から入場してくる。微笑みながらちらりと蒼矢へ視線を送ると、軽く手を叩いた。
「すみませんお待たせしました、始めましょう」
生徒達の注目を集めると、自分の脇に蒼矢を呼ぶ。
「こちら、今日から皆さんと一緒に通うようになりました、髙城君です」
「宜しくお願いします」
葉月から紹介され、蒼矢は少し緊張を滲ませながらお辞儀する。代わって蒼矢に視線が注がれる中、葉月は生徒の面々を見回した。
「ええっと、髙城君は高校一年生だから…」
葉月は丁度良い組み相手を探し始め、やがて一人の男子生徒に目をつけると、蒼矢を伴って近付いていく。
「君は高校生だったよね?」
「! はい、二年生です!」
「髙城君の相手、頼めるかな? ストレッチと基礎錬のやり方をひと通り教えてあげて欲しいんだけど」
「!! っはい…、……」
選ばれた男子生徒は元気よく返事をするものの、その後が続かず、何やら押し黙ってしまった。
「? どうしたの?」
「!! あ、いやその……」
明らかな動揺の空気を感じ、葉月はその彼へ注視する。男子生徒は、葉月とは目が合わず、ただずっと蒼矢を凝視していた。否、視線が外せなくなっているようだった。彼からの焼けつくような視線を受け、蒼矢も少し恥ずかしくなり頬を染めながら畳へ目を落とす。しかしその仕草がかえって良くなかったのか、男子生徒の顔から鎖骨が、火が出そうなくらい真っ赤になっていく。
「…? …大丈夫?」
そして、気遣うように声をかけた葉月へ腰を90度折った。
「…すみません!! 相手は…やっぱりちょっと無理です!!」
「えっ?」
頭を下げたまま固まる彼へ、葉月は戸惑いつつも再度お願いしてみる。
「今日、だけでもいいんだけど…駄目かな…?」
「……すみません!!」
しかし再びはっきりと断られてしまい、了承した葉月は彼から離れ、他のあてを探し始める。が、葉月の視線がいった先の、対象者であろう中高生男子たちは、虚空を見上げたり足元へ目をやったりと、揃って葉月から視線をそらしていた。誰彼もがみな顔を赤らめ、ぎこちない表情を晒していた。
「……」
なんとなく彼らの心中を察した葉月は、別の候補へと視線を移す。その先に見えたのは女子高生・女子大生たちで、やはり揃って興味深げに蒼矢を眺めていたが、はなから自分たちは勘定に入ってないと思っているのか、葉月と目が合ってもキョトンとした素振りを返す。
「……。」
…いや、女の子と組ませるわけには…いかない。
そう脳内で結論を出した葉月は、注目を集めていた生徒たちへ手を挙げた。
「…髙城君へは、ひとまず僕がレクチャーします。じゃ、始めましょうか」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる