押しかけ淫魔とサラリーマン

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第2章

第26話★

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「ああ、そうだ。今週の土曜なんだが、急な仕事が入ってな」
「えー⁉」
「楽しみにしてたのにすまんが、ドライブは来週に延期させてくれ」

 いつもどおりゼノの用意した夕飯を食べながら亮介が謝罪すると、ゼノは見るからに不服そうな顔で唇を尖らせた。

「嫌だ!」
「俺も嫌だよ。まあ仕事といっても在宅なんだがな」
「なんだ、じゃあセックスし放題じゃん!」
「んなわけあるか。世の在宅ワーカーへの侮辱だぞそれは」

 亮介は銀行員なので本来在宅ワークとは縁遠い職業なのだが、今回は試験的なものだった。
 これが本格的に導入されたらゼノとルイセルを置いて仕事に行かなくてもよくなるのに、なんて甘えたことを考えてしまう。

「でもずっと家にいんだろ?」
「まあそうだが……」
「じゃあバレなくねえ?」
「それがバレるようにできてるんだ、こういうのは」

 よく分かっていないゼノを窘めながら夕飯を平らげる。

「ごちそうさま。美味かった」
「ぜってーバレねえのに……。なあ、ルイセル?」
「ルイセルに同意を求めるんじゃない」

 ルイセルは自分にたずねられていることの内容など知る由もなく、無垢な瞳でくぅんと鳴いていた。
 
 
 そうして迎えた週末。
 亮介は持ち帰った仕事用のパソコンで稟議書を書いていたのだが、ゼノは家にいるのにイチャイチャできないということにどうも納得がいかないようで。
 邪魔こそしないものの、ルイセルと一緒になって亮介の周りをうろうろと行ったり来たりしていた。

「……ちょっと止まれるか?」

 ぴたり。ゼノの動きが止まる。
 一応言うことは聞けるらしい。気が散るのでなるべくそのままでいてほしいのだが。
 ゼノが止まっているうちにと作業に取り掛かり始めて数分。
 何か濡れた音が聞こえてきて、ふと顔を上げた亮介は視界に飛び込んできた光景に卒倒しそうになった。

「おまっ、もう……今度はなんだ」
「ん……っ♡ 見りゃ分かんだろ♡ オナニーしてんだよ♡」
「何してるかじゃなくて、なんでそうなったかを訊いてるんだ俺は」

 あまりのことにため息をつきながら眉間を押さえる。
 ゼノのおかげでそれなりのスルースキルを身につけてきたつもりだったが、ここまでされて無視できるほど強靭な精神力は持ち合わせていなかった。

「真剣な顔で仕事する亮介見てたらムラついちまって……」
「人の仕事姿をオカズにオナニーしないでくれ」

 亮介の言葉にゼノがむっと短い眉をしかめる。

「んもー! セックスもダメ、オナニーもダメって、だったら何すりゃいいんだよー!」
「いくらでもあるだろ。ゲームとか読書とか」
「一人でやってもつまんねーし」

 ゼノが不貞腐れたような顔で吐き捨てる。
 読書は元々一人でやることだろうと思ったが、もはや突っ込む気にもならなかった。 

「あ! じゃあさ、チンポだけ貸してくんねえ?」
「何も『じゃあ』じゃないが……」
「まあまあ、お前は座って仕事してるだけでいいからさ♡」

 言いながらゼノが大きな体を縮め、デスクの下へ潜り込む。かなり窮屈そうだ。

「おい、お前デカいんだから頭ぶつけるぞ」
「いって!」
「言わんこっちゃない……」

 ゼノはそれでも懲りていないようで、亮介のズボンに手をかけると手際よくずり下ろし、すんすんと音を立てて下着越しににおいを嗅ぎ始めた。
 いたたまれないので正直やめてほしいが、あまり過敏に反応してはゼノの思うつぼだ。ゼノの行動はなるべく無視するように心がけながら仕事に集中する。とはいえ実際はできるわけもなく、先ほどから少しも進まない稟議書を眺めるだけになっているのだが。
 しばらくすると下着越しの愛撫では効果がないと思ったのか、ゼノはいよいよ直接ペニスに手を触れてきた。
 絶妙な力加減で玉を転がしながら、首をもたげ始めたペニスを口に含み、わざといやらしい音を鳴らしながら感じやすいところを刺激してくる。

「ん、む……っ♡ んぶ♡ んん……っ♡」

 ここまでされるともはや下半身にしか意識が向かない。
 いよいよ仕事どころではなくなってきた亮介は、はあと大きなため息をついてからゼノの頭を軽く叩いた。

「おい、ゼノ」
「んー?♡」
「もういい。お前そこから出ろ」

 行為をやめさせられると思ったのか、ゼノがいやいやをするようにかぶりを振る。
 しかし亮介が「ハメてやるから」と言うや否や、大喜びでふたたび頭をぶつけながらデスクの下から出てきた。

「マジで⁉」
「一回だけだからな」
「よっしゃー!♡」
「さっさとシて仕事に戻るぞ。デスクに手ついて腰落とせ」

 セックスしてもらえると分かった途端従順になったゼノが、亮介の指示に従って尻を突き出す。
 そして見せつけるように尻尾で自分の秘部を広げ、早く早くとせっついた。

「腰が高い。自分の身長考慮しろバカ」

 パシンと平手で尻を叩くと、ゼノが「あっ♡」と嬉しそうな声を上げる。秘部からはボタボタと愛液が垂れていた。
 ガニ股になったゼノの腰を掴み、勢いよく挿入する。
 するとそれだけで絶頂したのか、ゼノの膣壁が亮介のペニスをきつく締めつけた。

「イくの早すぎだろ……っ♡」
「だって♡ エッチしてもらえると思ってなかったから嬉しくてっ♡」

 ここまで素直に求められれば、多少仕事が遅れたとしても応えてやろうという気にもなるというものだ。
 一回だけとは言ったものの、できることならもう仕事をほっぽり出して一日中睦み合っていたかった。
 すでに充分に分泌されている愛液のぬめりを借りて、少し性急に腰を動かす。

「ん、おっ♡ ほ……ッ♡ 立ちバック興奮する♡ 普段っ、あんましねえから♡」

 立ったままの行為は二人の身長差的に無理がある。
 ゼノに負担がかかるためいつもは滅多にしないのだが、ゼノは珍しい体位に昂っているようだった。

「体勢、きついだろ♡ 大丈夫か?♡」
「へーき♡ んッ♡ もっと激しくしてほし……っ♡」

 ゼノの望みどおりピストンの速度を速める。
 亮介が腰を打ちつけるたびにぐじゅぐじゅと水っぽい音が部屋に響き、泡立った結合部から体液が溢れて二人の足元を汚した。

「おっ、おっ♡ んっ、ほお……ッ!♡ ぎぼぢっ♡ なあっ、尻尾♡ 尻尾シコって♡」
「こうか?♡」
「んほぉお゛おぉ゛っ!♡ それキくっ♡ 尻尾の根元シコられんのやべ……ッ!♡ イクイクイク♡」

 やや太い尻尾の根元部分を強めに扱くと、ゼノがぷしっ、ぷしっと潮を噴き出す。もう床が水浸しだ。

「こら、腰浮いてる♡ そんなんじゃチンポ抜けるぞ♡」

 強すぎる快感から逃げるようにゼノの腰が上がっていく。
 それを叱るようにもう一度尻を打つと、ゼノはぶるぶると震えながら絶頂を迎えた。

「んお……ッ!♡ それすきっ♡ もっと♡ もっとケツ叩いて♡」
「はいはい。お前はサドなのかマゾなのかよく分からんな」
「どっちもだよ♡ 亮介にされること全部きもちーから♡」
「またそうやって俺を喜ばせるようなことを……」
「おッ♡ だって本心だし♡ あっまたイク♡ んほお゛ぉ♡」

 ゼノを責めているうちにこちらも余裕がなくなって、徐々に射精感が込み上げてくる。

「んっ、亮介もイく?♡ うれしい♡ 中に出してっ♡ 一番奥に種付けてっ♡」

 言いながらゼノがぐいぐいと腰を押しつけると、子宮口が甘えるように亀頭の先端へと吸いついてきた。

「はーッ♡ はーッ♡ 出る出る出る……♡ 奥に出すぞ♡ イクッ♡」

 強い快感に耐えるようにぐっと奥歯を食いしばる。
 思いのほか力がこもっていたようで、両手で掴んだゼノの腰には手形がついていた。

「ふ……っ♡ ふ……っ♡」
「っ、すまん。腰、痛くないか?」
「ん? ああ、大丈夫だぜ! 犯されてるって感じで興奮した♡」

 ゼノが自分の腰についた手形をなぞり、蠱惑的な笑みを浮かべる。どうやらいらない心配だったようだ。

「ならよかった。それじゃあ俺は仕事に戻るが……」
「サボっちまえよ~」
「バカ言うな。お前の生活もかかってるんだぞ」
「それもそうか。頑張れ! 終わったらもう一回するぞ!」
「俺の体力が残ってたらな」

 結局そんな体力は残っておらず、言葉尻をとらえたゼノに「するって言った!」と詰められることになるのだった。
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