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第6話、まさかのデート!?
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白鹿さんは忙しい人ではなかったのだろうか。
「気分はあれからどうですか?」
そう微笑む白鹿さんの笑顔が安定の眩しさを放つ。労働後になぜこうも爽やかさを維持できるのか教えてほしい。
「おかげさまで……昼は大変ご迷惑をお掛けしました。本当にありがとうございました」
「いえ。僕はたまたまその場に居合わせただけだので。頭など打たなくて本当に良かった」
だから笑顔がキラキラして直視できない。羞恥心やら申し訳なさでより頭が下がる私。鞄から下ろしてきた数万を入れた封筒を出して白鹿さんに差し出した。
「これ、白鹿さんのスーツに見合う金額はわからないのですが……クリーニング代です」
「あぁ……お気持ちだけで」
「でも私の気が済みませんので。納めていただけると助かります」
断られるのは承知で目の前に封筒を押し付けたら「ふぅ」と小さな溜息をこぼされた。困らせているのはわかるけれど、私とて引けない部分もある。傍から見たらラブレターを差し出して告白しているみたいだろう。状況的に早く手に取った方が無難ですよ? そんな気持ちで頭を下げて封筒を差し出し続ける私。でも白鹿さんはなかなか受け取ってくれない。
「あの、白鹿さん……」
「お金なんか受け取れません。別に汚されたわけでもなく、たかが皺がついたくらいで……斑鳩さんの何か返したい気持ちは分かるんですけど僕はそれを求めていないので」
優しい声だったがピシャリと言い放つ言葉で白鹿さんの意志の強さを感じた。
「……すみません」
白鹿さんの言う通りだ。これは私の自己満足で、白鹿さんが求めていない事ならお礼にもならない。言われてわかりやすく項垂れてしまった私に白鹿さんがくすりと微笑んだ。
「お礼ならちゃんとしてもらいます」
「え?」
「連絡待ってました。僕はそれだけで充分お礼になってますよ」
イケメンがなんてセリフを吐くのだ。いきなり投げつけてくるそんな甘いセリフにこちらが砂を吐きそうである。
「は、え?」
「とりあえず行きましょう。予約は取ってあるので」
(予約?)
「え? は、白鹿さん?」
「行きましょう」
有無を言わさぬ勢いで白鹿さんは固まる私の背を軽く押して動けずにいた足を一歩踏み出させたのである。
そして連れられた場所はなんだか高級感ある隠れ家の様な静かなお店。きょろきょろと周囲を見渡していたら「こっちです」と声をかけられてハッとした。さっきまで街中にいたのが嘘みたいに手入れされた植物の中に佇む店は入り口がどこかわからない。
(ここは完全に一見さんお断り的な店じゃない?)
背中から冷汗が伝い落ちた。
エントランスの扉を開けた瞬間、小さく息を呑んだ。白を基調にした静かな空間はほのかなアロマと、どこまでも磨かれたピカピカの床。そして正面に、ライトアップされた目を見張る様な綺麗なお庭、それが一望できるようなガラス張りのフロア広がっていた。
「白鹿様、お待ちしておりました」
「ありがとうございます」
(ひえぇ! やっぱり慣れてらっしゃる! 初めてじゃない白鹿さん!)
それが露骨に顔に出ていたのだろう。ちらりと横目に見られてプッと吹き出される。
「ここは完全個室制のお店なんで、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?」
笑いながら言われてわかりやすく赤面した。慣れていないのが丸わかり、恥ずかしいが事実なので隠せることでもない。緊張しつつも白鹿さんのあとについていった。
「気分はあれからどうですか?」
そう微笑む白鹿さんの笑顔が安定の眩しさを放つ。労働後になぜこうも爽やかさを維持できるのか教えてほしい。
「おかげさまで……昼は大変ご迷惑をお掛けしました。本当にありがとうございました」
「いえ。僕はたまたまその場に居合わせただけだので。頭など打たなくて本当に良かった」
だから笑顔がキラキラして直視できない。羞恥心やら申し訳なさでより頭が下がる私。鞄から下ろしてきた数万を入れた封筒を出して白鹿さんに差し出した。
「これ、白鹿さんのスーツに見合う金額はわからないのですが……クリーニング代です」
「あぁ……お気持ちだけで」
「でも私の気が済みませんので。納めていただけると助かります」
断られるのは承知で目の前に封筒を押し付けたら「ふぅ」と小さな溜息をこぼされた。困らせているのはわかるけれど、私とて引けない部分もある。傍から見たらラブレターを差し出して告白しているみたいだろう。状況的に早く手に取った方が無難ですよ? そんな気持ちで頭を下げて封筒を差し出し続ける私。でも白鹿さんはなかなか受け取ってくれない。
「あの、白鹿さん……」
「お金なんか受け取れません。別に汚されたわけでもなく、たかが皺がついたくらいで……斑鳩さんの何か返したい気持ちは分かるんですけど僕はそれを求めていないので」
優しい声だったがピシャリと言い放つ言葉で白鹿さんの意志の強さを感じた。
「……すみません」
白鹿さんの言う通りだ。これは私の自己満足で、白鹿さんが求めていない事ならお礼にもならない。言われてわかりやすく項垂れてしまった私に白鹿さんがくすりと微笑んだ。
「お礼ならちゃんとしてもらいます」
「え?」
「連絡待ってました。僕はそれだけで充分お礼になってますよ」
イケメンがなんてセリフを吐くのだ。いきなり投げつけてくるそんな甘いセリフにこちらが砂を吐きそうである。
「は、え?」
「とりあえず行きましょう。予約は取ってあるので」
(予約?)
「え? は、白鹿さん?」
「行きましょう」
有無を言わさぬ勢いで白鹿さんは固まる私の背を軽く押して動けずにいた足を一歩踏み出させたのである。
そして連れられた場所はなんだか高級感ある隠れ家の様な静かなお店。きょろきょろと周囲を見渡していたら「こっちです」と声をかけられてハッとした。さっきまで街中にいたのが嘘みたいに手入れされた植物の中に佇む店は入り口がどこかわからない。
(ここは完全に一見さんお断り的な店じゃない?)
背中から冷汗が伝い落ちた。
エントランスの扉を開けた瞬間、小さく息を呑んだ。白を基調にした静かな空間はほのかなアロマと、どこまでも磨かれたピカピカの床。そして正面に、ライトアップされた目を見張る様な綺麗なお庭、それが一望できるようなガラス張りのフロア広がっていた。
「白鹿様、お待ちしておりました」
「ありがとうございます」
(ひえぇ! やっぱり慣れてらっしゃる! 初めてじゃない白鹿さん!)
それが露骨に顔に出ていたのだろう。ちらりと横目に見られてプッと吹き出される。
「ここは完全個室制のお店なんで、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?」
笑いながら言われてわかりやすく赤面した。慣れていないのが丸わかり、恥ずかしいが事実なので隠せることでもない。緊張しつつも白鹿さんのあとについていった。
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