夢の中にいさせて~今日からイケメンと添い寝生活始めます!~

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第10話、知ってしまう真実

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 いつしか個人的に連絡を取り、二人で会う時間を作るようになった。そこで将来の事、憧れや夢の話をこぼすようになり篠原さんはそれを応援してくれた。

「秘書室とも関わるからね。今秘書業務に関心ある人材も探していると耳にしたよ。どう? 受けてみる?」
「……いいんですか?」
「君が本気なら僕も全面的に協力するよ」
 
 推薦するには取得しなければいけない資格があると篠原さんに言われ、まずはそれを取るために私は必死で勉強してその資格取得を目指した。そんな私を篠原さんは優しく見守ってくれて、応援してもらえるほど、背中を押されるほど……私は篠原さんに特別な感情を抱きだしていた。
 単純な女だと思う、でもそれくらい浮き足だっていたのかもしれない。月日が経つほどにその気持ちは膨らんで、それを篠原さんからも感じた私は優しさと包容力に身を預けてしまう。

 好きな人に支えられて夢を形に出来るかも……そんな思いで胸をいっぱいにしていた時、知ってしまった。

「え……」

 綺麗な女性と可愛い女の子を連れた篠原さんの姿を街中で見つけた私は愕然とした。篠原さんの指に指輪などなかった。でも目の中に映るその人の左指には光る指輪が嵌められている。考えたこともなかったのだ。篠原さんが――既婚者だったなんて。

「どうして言ってくれなかったの?」
「……いう必要がないと思ったからだよ。もう別れるつもりでいるから」
「え?」
「離婚の話は進んでるんだ。なにも心配することはない」

 この人は何を言っているんだろう、そう思った。

「そういう……そういう話じゃない。結婚していたなんて聞いてない! 子供もいる……私は何も知らなかった!」

 既婚者と付き合えるわけがない、そう伝えたら篠原さんは冷めた瞳で私を見つめて言うのだ。

「秘書の話はどうする?」
「……え」
「俺を手放したら、憧れていた秘書の夢の話もなくなってしまうぞ」
「……」
「夢だったんだろ? アスター&グラント・ジャパンで働くのを。秘書を目指す子ならみんな憧れてる。美憂みたいにそこで秘書になりたい子は山ほどいるんだ。みんなそのチャンスを手に入れたくて必死になってる。それを……自分の手で逃すのか?」
「……どうしろっていうの?」
「妻とはちゃんと別れる。離婚が成立したら美憂と一緒になる未来だってあるんだから……」

 そう言って差し伸ばしてくる手にどうしようもないほどの嫌悪感が芽生えた。

 私はこんな人の手に縋って甘えて頼っていたのかと。ゾッとして……。

「やめて! 触らないで! 嘘つき! あなたのことなんか信用できない!」

 そのまま篠原さんと連絡を断ち夢も夢のままで終わった。

 そう思っていたのに――。


「それからです。執拗に連絡が入ってくるようになったんです」

 篠原さんのストーカー行為が始まった。
 
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