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第16話、どこが白王子!
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それでもよく眠れるなんてことにはならず、仮眠みたいな寝方をして本日も絶賛眠気はあるけれどいつもよりは眠れた気がする、それはやっぱり白鹿さんのおかげなのだろうか。今日は帰ったら管理会社に連絡して一度相談してみよう。そんな考えを巡らせつつ受付に座り設置されているパソコンを立ち上げてシステムをログインしつつ本日の来客予定リストを確認したり社内チャットを起動させていたら美登里先輩がやってきた。
「みゅーちゃんおはよう」
「おはようございます」
「昨日は白鹿さんに連絡取れた?」
「ええ、まぁ……」
まさか食事にまで行きました、など言えるわけがない。
「白鹿さんだもんね、優しくいいよ~って言ってくれたでしょ?」
「ええ……まぁ」
優しい顔の裏側は辛辣冷酷王子ですよ、ももちろん言えない。
「お! 噂をすればだ」
そんな風にこそっと耳打ちされてフト視線をあげたら息を飲んだ。
「おはようございます」
「……お、おはようございます」
「おはようございます。白鹿さん、昨日は斑鳩が大変ご迷惑をお掛け致しました。色々とご配慮とお心遣いありがとうございました」
「いいえ。僕は何も……それより今日のアポで一件お願いしたい事がありまして……」
美登里先輩が深々と頭を下げたあとに仕事の話になってなんだか私はお礼を言い損ねてしまう。昨日お礼は何度と言ってはいるものの手持ち無沙汰感である。
(それにしても……)
美登里先輩と話す白鹿さんを横目に見つつ、やはり昨日の白鹿さんは夢か幻ではないのかと思えてくる。どこからどうみても優し気で穏やかな雰囲気、どうしたってキラキラした白王子。こんな白鹿さんを見てときめかない女の子はいるのだろうか。昨日までの私なら間近で見ていたらドキドキしてときめいていたかもしれないが……。
(ええ? 昨日の白鹿さんは本当に夢じゃないの? むしろ目の前にいるこの白鹿さんが夢なの?)
もはやどれが現実なのかわからなくなる。
「斑鳩さん!」
「あ、はい!」
ボーっと見つめてしまっていていきなり美登里先輩に声をかけられたら大きな声をあげてしまった。
「白鹿さんが素敵でも見惚れ過ぎないように」
菩薩の様な笑顔で揶揄い気味に怒られていろんな意味で俯く。
「も、申し訳ありません」
「申し訳ありません。斑鳩にもきちんと周知させておきますのでご安心くださいませ」
「よろしくお願いします」
連絡事項を聞いておらず白鹿さんの前で怒られてより頭を上げられない。
(は、恥ずかしいっ!)
「斑鳩さん」
そんな私に声をかけてきたのはにっこりと微笑む白鹿さん。その笑顔の裏に……そんな思いを隠しながらも私も笑顔を返す。
「昨日は大変ご迷惑をおかけしました。ありがとうございました」
深々と遅ればせながら頭を下げると「いいえ」と笑顔で返してくるさすがの白王子。
「今日は昨日より顔色が良さそうですね。安心しました」
「……ご心配おかけして申し訳ありません。今後あのようなことがないように十分気を付けます」
「いつも素敵な笑顔で受付にいてくださる斑鳩さんの顔色が悪いと心配になりますからね。ご無理はなさらないように」
「……お優しいお言葉恐縮です。お気遣いありがとうございます」
お互いにこにこしながらのこの会話、上っ面みたいな愛想の返しで身体の中から震えそうである。
(なにこの人! 絶対そんなこと思ってないくせに! 嘘ばっかり!)
昨夜はちょっとだけ白鹿さんに救われた……なんて思った気持ちは心の奥底にしまい込んで、やっぱり絶対信用なんかしないと胸に誓う私だった。
「みゅーちゃんおはよう」
「おはようございます」
「昨日は白鹿さんに連絡取れた?」
「ええ、まぁ……」
まさか食事にまで行きました、など言えるわけがない。
「白鹿さんだもんね、優しくいいよ~って言ってくれたでしょ?」
「ええ……まぁ」
優しい顔の裏側は辛辣冷酷王子ですよ、ももちろん言えない。
「お! 噂をすればだ」
そんな風にこそっと耳打ちされてフト視線をあげたら息を飲んだ。
「おはようございます」
「……お、おはようございます」
「おはようございます。白鹿さん、昨日は斑鳩が大変ご迷惑をお掛け致しました。色々とご配慮とお心遣いありがとうございました」
「いいえ。僕は何も……それより今日のアポで一件お願いしたい事がありまして……」
美登里先輩が深々と頭を下げたあとに仕事の話になってなんだか私はお礼を言い損ねてしまう。昨日お礼は何度と言ってはいるものの手持ち無沙汰感である。
(それにしても……)
美登里先輩と話す白鹿さんを横目に見つつ、やはり昨日の白鹿さんは夢か幻ではないのかと思えてくる。どこからどうみても優し気で穏やかな雰囲気、どうしたってキラキラした白王子。こんな白鹿さんを見てときめかない女の子はいるのだろうか。昨日までの私なら間近で見ていたらドキドキしてときめいていたかもしれないが……。
(ええ? 昨日の白鹿さんは本当に夢じゃないの? むしろ目の前にいるこの白鹿さんが夢なの?)
もはやどれが現実なのかわからなくなる。
「斑鳩さん!」
「あ、はい!」
ボーっと見つめてしまっていていきなり美登里先輩に声をかけられたら大きな声をあげてしまった。
「白鹿さんが素敵でも見惚れ過ぎないように」
菩薩の様な笑顔で揶揄い気味に怒られていろんな意味で俯く。
「も、申し訳ありません」
「申し訳ありません。斑鳩にもきちんと周知させておきますのでご安心くださいませ」
「よろしくお願いします」
連絡事項を聞いておらず白鹿さんの前で怒られてより頭を上げられない。
(は、恥ずかしいっ!)
「斑鳩さん」
そんな私に声をかけてきたのはにっこりと微笑む白鹿さん。その笑顔の裏に……そんな思いを隠しながらも私も笑顔を返す。
「昨日は大変ご迷惑をおかけしました。ありがとうございました」
深々と遅ればせながら頭を下げると「いいえ」と笑顔で返してくるさすがの白王子。
「今日は昨日より顔色が良さそうですね。安心しました」
「……ご心配おかけして申し訳ありません。今後あのようなことがないように十分気を付けます」
「いつも素敵な笑顔で受付にいてくださる斑鳩さんの顔色が悪いと心配になりますからね。ご無理はなさらないように」
「……お優しいお言葉恐縮です。お気遣いありがとうございます」
お互いにこにこしながらのこの会話、上っ面みたいな愛想の返しで身体の中から震えそうである。
(なにこの人! 絶対そんなこと思ってないくせに! 嘘ばっかり!)
昨夜はちょっとだけ白鹿さんに救われた……なんて思った気持ちは心の奥底にしまい込んで、やっぱり絶対信用なんかしないと胸に誓う私だった。
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