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第24話、ソフレの意味とは!?
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なんとなく自分の肩を顔に寄せてくんくんと香りを嗅いでみるものの、自分の匂いは自分ではわかりにくいものである。洗濯も洗剤石鹸を使っている。柔軟剤を使わなくても綺麗に洗えてふわりと仕上がるのが好きで一人で暮らしてからはずっとそうだ。だから衣服にも香り付けは好んでつけてはいない。そうなるとやはり……。
「汗臭いの? 私って……」
思わず呟いてゾッとした。そんなに異臭を放っていたのだろうか。毎日隣に座る美登里先輩は苦痛を感じていたのではないか、不安を抱きだしていたらプッと吹き出す声に顔を見上げた。
「臭くないよ」
「え?」
「あたりまえでしょう。嗅覚障害に悩んでる人間が異臭に反応するってそれこそ病気みたいじゃん」
くすくすと笑われて顔がいきなり赤くなった。それはそうか、と納得は出来るのだがなんだか素直に納得するのも恥ずかしくて。それはつまり……。
「斑鳩さん、すごくいい香りする」
真っ直ぐ見つめながら満面の笑みでそのセリフ――逃げ出したくなる。
どこに視線をやればいいか困ってとりあえず顔を俯かせていたら頭の上に降ってきた言葉。
「答え出たね。やっぱり俺の感じた感覚は間違いじゃない。君から放たれる香りにリラックスできる」
「リ、リラックス?」
だからやっぱりこの人は真面目な顔をして何を言うんだろうか。
「そう。そして間違いなくその汗の香りだと思う」
「……」
「昨日の君の寝ついている時、起きた時……あのうっすらと熱を帯びた肌から立ち上る湿度の高い香り……」
「……」
「そして今、緊張や羞恥で火照る肌に浮き出るような汗から放つ艶めかしく滲む感じ……」
(やめて……)
「全細胞がスン……ってなる。不快感がないどころか……興奮する」
「やめてぇ!」
「え?」
「やめてやめて。なんか急に変態度高い」
「いや真剣だよ? 鼻腔に入った瞬間、スイッチが切り替わるように安心できる。こんなに気持ちいい呼吸があるんだって久しぶりに感じた。そもそも匂いを嗅ぐという行為を避けて暮らしてきてるからいろんな意味で新鮮で……」
(やめてって。やめてやめてやめて)
「むしろお願いしたい。俺のそばにいて、汗をかいて、匂いを漂わせて眠ってほしい」
「だからやめてって言ってるでしょお!? なに! 白鹿さん変態っ! 真面目な顔して無理!」
(それもう完全に変態のお願いだからぁ!)
「変態と言われるのは心外だけれど……まぁ仕方ない。俺のこの悩みを好意的に受け止めて心配してくれる人ってそうそういないからね」
「……」
ツンッと冷たい声でそう言うけれど、どこか寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。私も取り繕うこともなく暴言を吐きすぎたことに今さらながらハッとして思わず頭を下げる。
「ご、ごめんなさい。別に白鹿さんの悩みを馬鹿にしたりしているわけじゃないんです。ただ……」
ただなんというか……どうしたって恥ずかしいだけなのだが。
(だってそうでしょ? 付き合ってもいない、ましてやこんな白王子なんて呼ばれているようなイケメンに汗の匂いを嗅がれるなんて……)
何かの罰ゲームではないだろうか。不眠にストレス、そこに気恥ずかしさまでついてきたら本当に精神的にやられそうなのだが。そんな思いを胸の中で悶々思っていたら白鹿さんが言う。
「本題に戻るけれど」
白鹿さんの真面目な声にハッと意識を戻して顔を上げたら白鹿さんと真っ直ぐ目が合った。
「理解してもらえたかな。俺のメリット。このソフレ関係は斑鳩さんだけに都合のいい話じゃない。俺にとっても十分有意義で意味のある行為だから」
「そ、そうは言われましてもぉ……」
ソフレ? 添い寝フレンド? それ……本当にする意味あるの!?
「じゃあ一度試そう」
「は!?」
「やらずに答えを出すのはもったいないと思う」
そう言って白鹿さんはいきなり私の手首を掴んで裏通りを抜け出した。
「汗臭いの? 私って……」
思わず呟いてゾッとした。そんなに異臭を放っていたのだろうか。毎日隣に座る美登里先輩は苦痛を感じていたのではないか、不安を抱きだしていたらプッと吹き出す声に顔を見上げた。
「臭くないよ」
「え?」
「あたりまえでしょう。嗅覚障害に悩んでる人間が異臭に反応するってそれこそ病気みたいじゃん」
くすくすと笑われて顔がいきなり赤くなった。それはそうか、と納得は出来るのだがなんだか素直に納得するのも恥ずかしくて。それはつまり……。
「斑鳩さん、すごくいい香りする」
真っ直ぐ見つめながら満面の笑みでそのセリフ――逃げ出したくなる。
どこに視線をやればいいか困ってとりあえず顔を俯かせていたら頭の上に降ってきた言葉。
「答え出たね。やっぱり俺の感じた感覚は間違いじゃない。君から放たれる香りにリラックスできる」
「リ、リラックス?」
だからやっぱりこの人は真面目な顔をして何を言うんだろうか。
「そう。そして間違いなくその汗の香りだと思う」
「……」
「昨日の君の寝ついている時、起きた時……あのうっすらと熱を帯びた肌から立ち上る湿度の高い香り……」
「……」
「そして今、緊張や羞恥で火照る肌に浮き出るような汗から放つ艶めかしく滲む感じ……」
(やめて……)
「全細胞がスン……ってなる。不快感がないどころか……興奮する」
「やめてぇ!」
「え?」
「やめてやめて。なんか急に変態度高い」
「いや真剣だよ? 鼻腔に入った瞬間、スイッチが切り替わるように安心できる。こんなに気持ちいい呼吸があるんだって久しぶりに感じた。そもそも匂いを嗅ぐという行為を避けて暮らしてきてるからいろんな意味で新鮮で……」
(やめてって。やめてやめてやめて)
「むしろお願いしたい。俺のそばにいて、汗をかいて、匂いを漂わせて眠ってほしい」
「だからやめてって言ってるでしょお!? なに! 白鹿さん変態っ! 真面目な顔して無理!」
(それもう完全に変態のお願いだからぁ!)
「変態と言われるのは心外だけれど……まぁ仕方ない。俺のこの悩みを好意的に受け止めて心配してくれる人ってそうそういないからね」
「……」
ツンッと冷たい声でそう言うけれど、どこか寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。私も取り繕うこともなく暴言を吐きすぎたことに今さらながらハッとして思わず頭を下げる。
「ご、ごめんなさい。別に白鹿さんの悩みを馬鹿にしたりしているわけじゃないんです。ただ……」
ただなんというか……どうしたって恥ずかしいだけなのだが。
(だってそうでしょ? 付き合ってもいない、ましてやこんな白王子なんて呼ばれているようなイケメンに汗の匂いを嗅がれるなんて……)
何かの罰ゲームではないだろうか。不眠にストレス、そこに気恥ずかしさまでついてきたら本当に精神的にやられそうなのだが。そんな思いを胸の中で悶々思っていたら白鹿さんが言う。
「本題に戻るけれど」
白鹿さんの真面目な声にハッと意識を戻して顔を上げたら白鹿さんと真っ直ぐ目が合った。
「理解してもらえたかな。俺のメリット。このソフレ関係は斑鳩さんだけに都合のいい話じゃない。俺にとっても十分有意義で意味のある行為だから」
「そ、そうは言われましてもぉ……」
ソフレ? 添い寝フレンド? それ……本当にする意味あるの!?
「じゃあ一度試そう」
「は!?」
「やらずに答えを出すのはもったいないと思う」
そう言って白鹿さんはいきなり私の手首を掴んで裏通りを抜け出した。
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