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白鹿視点④
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話をするほどに思い描いていたイメージが剥がれていく素顔はむしろ好感度しか上がらなかった。俺もかなりの外面詐欺だが、彼女もなかなかの愛想仮面。仕事柄仕方のないことだがニコニコした人当たりの良さに隠されていたのは案外勝ち気な性格だった。人を変態、変人と罵りかなり失礼な発言もする。でも受付で見せる貼り付けた様な笑顔よりも俺的には感じが良くてずっと可愛かった。
戸惑いながらも始まったソフレ関係。すぐそばに感じる熱と香りが慣れた空気の中、邪魔されることなく同調するような感覚は居心地がいいしかなくて、まるで新しい香りとして生まれ変わったようだ。孤独の中で見つけた香りは温かくて、優しい。それが不思議でたまらなくてもっとこの香りを知りたい、そうまで思うほど。
抱きしめて眠ればまた香りが色を変えて、今度は微かに甘さを帯びる。その甘さは本当に微かなもので、探さないと見つけられないほどの消えそうな匂い。だからより探そうとしてしまう。抱きしめる力が強まる、彼女が熱を帯びるほど甘さの糸口を掴めそうで……ぎゅっと身体を抱きしめていた。
それでも彼女がまだ苦し気にうなされる夜がある。苦し気に眉をひそめ、額に汗を滲ませることもある。その時放たれる香りは不安に揺れるようなストレス性のものか、甘さはない。ただその香りにだって俺はひどく惹かれるのだ。この香りは自分こそ放っている同じものと感じるから。
寄り添っていたってひとりだ。
孤独を埋める術などそう簡単には得られない。それはひとりで生きてきて身をもって知っていることだ。
いつか彼女が何にも苦しまずに穏やかに眠れる夜がきたらいいのに、そう願わずにはいられない。そしてまたフト思う。
どうして俺はこんなに彼女のことを思うのだろうと。
眠れるようになってきた彼女からまた新たな香りを感じ取る。ソワソワと落ち着かない緊張感、それは初めて添い寝を始めた時とは似ているようで似ていない。なにかしらの変化を感じ取るものの真意は読めず、結果また眠れなくなってしまったようで……。
(警察はまだ本格的な調査に乗りだしてくれない、ストーカー男が接触した?)
なんにせよ、俺は彼女の甘い香りが嗅ぎたい。あの香りに包まれて、抱きしめながら過ごす夜がどうしようもなく心地いのだ。その時間を取り戻すためにも……そんな邪な気持ちがヒートアップしてしまった。
抱きしめているだけだった彼女にもっと密に触れだしたら……俺自身が眠れなくなるほどの興奮する濃い香りを放ちだすことを知ってしまった。触れた分だけ、香りが濃くなるのか? 抱き寄せたら、もっと? 首筋から溢れる熱が喉を灼いた。すり寄るだけで、俺の神経はすべて嗅覚に支配されて、もっとと要求してくるようで。
彼女の身体から立ちのぼる香りに、俺の理性はゆっくりと麻痺していく。この香りの源に、もっと触れたい。汗ばんだ肌の奥に沈む甘さを、直接舌で確かめたくなるほど。そしてなにより思ったのだ。
(この香りは俺が放たせられているなら……)
頭ではそんなことはダメだと分かっている。踏み越えてはいけないソフレのボーダーだって知っている。これはソフレだ……ソフレ……ってなんだ?
自分で考えたベストな関係性、そう思って辿り着いたソフレだったけれどなんだかよくわからなくなる。
ドキドキと心臓が高鳴る身体を抱きしめてビクビクと震え出す敏感な場所を撫でたり弄ると甘い香りが充満する様で。理性なんかあるようでない気がした。どこかでかろうじて繋がれているような頼りない手綱。それでもそれを握っているのは結局俺自身だ。
(あー、無理……)
理性ギリギリの中、触れられる部分に触れて彼女の感度を高めていく。これは彼女を寝かせるため、そんな言い訳と屁理屈をグダグダと並べても本音はどうだ。もっと飽きるほどにこの香りに包まれたい、もっと俺の手で感じてくれたなら……そんな欲望だらけで抱きしめる俺こそが本当のゲス野郎な気がした。
戸惑いながらも始まったソフレ関係。すぐそばに感じる熱と香りが慣れた空気の中、邪魔されることなく同調するような感覚は居心地がいいしかなくて、まるで新しい香りとして生まれ変わったようだ。孤独の中で見つけた香りは温かくて、優しい。それが不思議でたまらなくてもっとこの香りを知りたい、そうまで思うほど。
抱きしめて眠ればまた香りが色を変えて、今度は微かに甘さを帯びる。その甘さは本当に微かなもので、探さないと見つけられないほどの消えそうな匂い。だからより探そうとしてしまう。抱きしめる力が強まる、彼女が熱を帯びるほど甘さの糸口を掴めそうで……ぎゅっと身体を抱きしめていた。
それでも彼女がまだ苦し気にうなされる夜がある。苦し気に眉をひそめ、額に汗を滲ませることもある。その時放たれる香りは不安に揺れるようなストレス性のものか、甘さはない。ただその香りにだって俺はひどく惹かれるのだ。この香りは自分こそ放っている同じものと感じるから。
寄り添っていたってひとりだ。
孤独を埋める術などそう簡単には得られない。それはひとりで生きてきて身をもって知っていることだ。
いつか彼女が何にも苦しまずに穏やかに眠れる夜がきたらいいのに、そう願わずにはいられない。そしてまたフト思う。
どうして俺はこんなに彼女のことを思うのだろうと。
眠れるようになってきた彼女からまた新たな香りを感じ取る。ソワソワと落ち着かない緊張感、それは初めて添い寝を始めた時とは似ているようで似ていない。なにかしらの変化を感じ取るものの真意は読めず、結果また眠れなくなってしまったようで……。
(警察はまだ本格的な調査に乗りだしてくれない、ストーカー男が接触した?)
なんにせよ、俺は彼女の甘い香りが嗅ぎたい。あの香りに包まれて、抱きしめながら過ごす夜がどうしようもなく心地いのだ。その時間を取り戻すためにも……そんな邪な気持ちがヒートアップしてしまった。
抱きしめているだけだった彼女にもっと密に触れだしたら……俺自身が眠れなくなるほどの興奮する濃い香りを放ちだすことを知ってしまった。触れた分だけ、香りが濃くなるのか? 抱き寄せたら、もっと? 首筋から溢れる熱が喉を灼いた。すり寄るだけで、俺の神経はすべて嗅覚に支配されて、もっとと要求してくるようで。
彼女の身体から立ちのぼる香りに、俺の理性はゆっくりと麻痺していく。この香りの源に、もっと触れたい。汗ばんだ肌の奥に沈む甘さを、直接舌で確かめたくなるほど。そしてなにより思ったのだ。
(この香りは俺が放たせられているなら……)
頭ではそんなことはダメだと分かっている。踏み越えてはいけないソフレのボーダーだって知っている。これはソフレだ……ソフレ……ってなんだ?
自分で考えたベストな関係性、そう思って辿り着いたソフレだったけれどなんだかよくわからなくなる。
ドキドキと心臓が高鳴る身体を抱きしめてビクビクと震え出す敏感な場所を撫でたり弄ると甘い香りが充満する様で。理性なんかあるようでない気がした。どこかでかろうじて繋がれているような頼りない手綱。それでもそれを握っているのは結局俺自身だ。
(あー、無理……)
理性ギリギリの中、触れられる部分に触れて彼女の感度を高めていく。これは彼女を寝かせるため、そんな言い訳と屁理屈をグダグダと並べても本音はどうだ。もっと飽きるほどにこの香りに包まれたい、もっと俺の手で感じてくれたなら……そんな欲望だらけで抱きしめる俺こそが本当のゲス野郎な気がした。
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