疑心暗鬼

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プロローグ

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闇が深まる夜。古びた校舎の窓に月明かりが映る。
その光は、廊下を歩く一人の少年の姿を浮かび上がらせた。制服はきちんと着こなされ、整った顔立ちは月の光を受けて神々しくさえ見える。しかし、その目には何か言いようのない虚しさが宿っていた。
シュンは、夜の学校を歩くことが日課になっていた。誰もいない校舎。静寂に包まれた教室。そこでなら、自分の本当の姿と向き合えると感じていた。
「また今日も、何も起こらなかったな」
呟きながら、シュンは窓の外を見やる。遠くに見える街の明かりが、どこか別世界のように感じられた。
突如、背後で物音がした。
振り返るシュン。しかし、そこには何も...いや、誰もいなかった。
「気のせいか...」
そう思った瞬間、廊下の向こうで人影が揺らめいた。シュンは息を呑む。まさか本当に誰かいるのか? 先生か? それとも...
好奇心に駆られ、シュンは人影を追いかける。廊下を曲がり、階段を駆け上がる。しかし、どこまで行っても影は捕まらない。
やがてシュンは、学校の最上階に到達した。そこで彼は、息を切らしながら立ち止まった。
静寂が戻ってきた。しかし、それは以前の静寂とは違っていた。何かが、空気中に漂っているような...そんな感覚だった。
シュンは深く息を吐き出す。その瞬間、彼の背後で低い声が響いた。
「お前は、本当に何も起こらない日々を望んでいるのか?」
驚いて振り返るシュン。しかし、そこには誰もいなかった。
ただ、壁に書かれた一つの文字が、月明かりに照らされて浮かび上がっていた。
「疑」
シュンは、自分の心臓の鼓動が激しくなるのを感じた。これが何を意味するのか、まだ理解できていなかった。しかし、彼の日常が、今この瞬間から大きく変わろうとしていることは、確かだった。
夜の校舎に、再び静寂が訪れる。
しかし、それはもう二度と、同じ静寂ではなかった。
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