疑心暗鬼

dep basic

文字の大きさ
7 / 12

第6章:拡がる闇、目覚める光

しおりを挟む
週末の朝。シュンは突然の電話で目を覚ました。
「もしもし、シュン?」コウジの声が震えている。「大変だ。うちの両親が...消えた」
シュンは飛び起きる。「何だって?」
「昨夜、普通に寝たはずなのに、朝起きたら両親の姿が...」
通話が途切れる前、コウジの悲鳴が聞こえた。
「コウジ!コウジ!」
シュンは必死に呼びかけるが、返事はない。
すぐにミカに連絡を取る。
「ミカ、無事か?」
「え?シュン...何かあったの?」
状況を説明すると、ミカも動揺を隠せない。
「私の家族は大丈夫だけど...でも、近所で似たような噂を聞いたわ」
シュンは決意を固める。「集合場所は例の公園だ。急いで来てくれ」
公園に着くと、そこにはすでにミカの姿があった。
「シュン!こっち!」
二人が状況を確認し合っていると、突如、空が暗くなり始めた。
見上げると、黒い雲が渦を巻いている。その中心から、不気味な笑い声が聞こえてきた。
「くくく...warned you, didn't I? Your precious people are now mine」
シュンとミカは顔を見合わせる。鬼の声だ。
「コウジを、みんなを返せ!」シュンが叫ぶ。
「欲しければ、取り返しに来るがいい。闇の世界へとな」
鬼の声と共に、公園の地面に大きな穴が開いた。そこからは、漆黒の闇が立ち昇っている。
「行くぞ、ミカ」
「うん、一緒に」
二人は手を取り合い、穴に飛び込んだ。
落下感覚と共に、二人の意識が遠のいていく。
...
目を覚ますと、そこは見知らぬ場所だった。薄暗い空、歪んだ建物、そして異様な雰囲気。
「ここが...闇の世界?」ミカが呟く。
歩き始めると、街灯のように見えるものから不思議な光が放たれている。その光に触れると、二人の体から淡い輝きが発せられた。
「これは...」
シュンは、自分たちの力の源を感じ取っていた。
突然、前方から悲鳴が聞こえてきた。駆けつけると、そこにはコウジがいた。彼の周りを、黒い影のようなものが取り囲んでいる。
「コウジ!」
シュンとミカは、本能的に手を前に突き出した。すると、二人の手から眩い光が放たれ、影を払いのけた。
「シュン!ミカ!」コウジは涙ぐみながら二人に駆け寄った。
「無事でよかった」シュンはほっとした表情を浮かべる。
しかし、安堵もつかの間。周囲の空気が急激に変化し、鬼の姿が現れた。
「よくぞここまで来たな。だが、お前たちの力では、この世界を変えることはできん」
鬼の言葉に、シュンは反論する。
「違う。俺たちには、光がある。この光は...」
シュンの言葉が途切れた瞬間、彼の記憶の奥底から何かが蘇ってきた。幼い頃の記憶。祖父が語っていた古い伝説。
「そうか...俺たちは...」
ミカとコウジも、同じように何かを思い出したような表情を浮かべていた。
「私たちは、光の守護者の末裔...」ミカが呟く。
「だから、俺たちにはこの力が...」コウジも続ける。
三人の体から、かつてないほどの強い光が放たれる。
鬼は、その光に怯んだ様子で後ずさる。
「な...何だこの力は!?」
シュンが一歩前に出る。
「聞いたか、鬼よ。俺たちには、この世界を、そしてみんなを救う力がある。もう、お前の好きにはさせない!」
三人の決意と共に、光は更に強くなり、闇の世界全体を包み込んでいく。
鬼の悲鳴が響き渡る中、世界が光に包まれていった...。
目を開けると、そこは元の公園だった。周りには、消えていた人々が次々と現れている。
シュンたちは顔を見合わせ、安堵の笑みを浮かべた。
しかし、彼らの表情にはある決意も浮かんでいた。
これは終わりではない。真の戦いは、まだ始まったばかりなのだと...。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

洒落にならない怖い話【短編集】

鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。 意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。 隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。

処理中です...