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2 告げられた真実
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中央に赤い絨毯が敷かれた公爵家の長い廊下を、ルドルフは足早に歩いていく。
エマがドレスの裾を持って駆け足で追い付き、ルドルフに声を掛けた。
「ルドルフ様。エマです。よろしくお願いいたします」
「ふん」
ルドルフは鼻で笑うと、無言で公爵家の庭園に出ていった。エマも後に続く。
ルドルフが庭園の片隅で立ち止まった。エマが追い付き、横に並んで立った。
ルドルフとエマの前には、手入れの行き届いた庭園が広がっていた。
庭園には様々な草木が植えられていたが、何となく無機質で、寄る辺なさが感じられた。
……そういえば、アルベルトといつも遊んでいた別荘の庭園は、もっと花がいっぱいで居心地が良かったな。
エマが何となく子どもの頃を思い出していると、ルドルフが正面を向いたまま話し始めた。
「皇帝陛下の猜疑心は日増しに強くなっていてな。大貴族同士の結婚には特に神経を尖らせている」
私は大貴族でも何でもないんだけど……エマがルドルフの横顔に目をやり、不思議に思う中、ルドルフは話を続けた。
「我が公爵家は、更なる権勢を得るため、帝国有数の軍事力を持つ辺境伯との結び付きを強めていた。辺境伯の令嬢には婚約者がいたが、ひ弱な男で、令嬢も内心嫌がっていた。そこで俺は、令嬢を俺のモノにして、その軟弱男との婚約を破棄させた」
え?! 私との婚約前に、すでに愛人がいるってこと?
エマが絶句していると、ようやくルドルフがエマの方に顔を向けた。エマの顎の下に手を差し入れ、無理矢理エマの顔を上げさせた。
「何か勘違いしているような顔だな。俺の本当の婚約相手は、辺境伯の令嬢だ。お前は、皇帝陛下を欺くための偽装結婚の相手に過ぎん」
ルドルフは、エマの唇や胸を眺めた後、ニタニタしながら言った。
「お前は、形式的には俺の妻になるが、実際は俺の愛人という訳だ。貧乏男爵領への援助を打ち切られたくなければ、昼も夜も、俺にしっかり奉仕することだな」
そう言うと、ルドルフは1人で館の中へ歩いて行ってしまった。
庭園には、1人残されたエマが呆然と立ち尽くしていた。
† † †
「どうだった、エマ? ルドルフさんとは話は弾んだか? 中々の立派な紳士だったな」
公爵家からの帰りの馬車。エマの父が、向かいに座るエマに聞いた。
「えっ……う、うん。さすが大貴族のご子息って感じ」
エマは言葉を濁した。エマの内心に気付かないまま、エマの父が嬉しそうに話を続けた。
「公爵様は、我が男爵領への莫大な資金提供だけだなく、エメットの東部総督府での官職も斡旋してくれるそうだ。これで我が男爵領は安泰だな!」
エメットはエマの弟のことだ。両親の喜ぶ顔を見ると、エマは何も言えなかった。
その時、突然馬車が急停止した。
「どうした?!」
「す、すみません。交差点に入ってきた他の馬車とぶつかりそうになりまして」
エマの父の問いかけに、馬車の外から馭者が答えた。
少しすると、エマたちの馬車にぶつかりそうになった馬車から従者らしき者が出てきて、エマたちの馬車の近くまでやって来た。
その従者は、エマたちの乗る馬車の馭者とやり取りを終えると、窓越しにエマたちへ頭を下げた。
「男爵ご一家の皆様にご迷惑をお掛けして申し訳ございません。我が主が、お詫びに皆様をティータイムにお誘いしたいとのこと。いかがでしょうか?」
エマたちは、婚約式の準備等でしばらく帝都の宿に留まる予定で、この後は特に予定がなかった。
エマたちは、せっかくだからということで、お誘いに応じることにした。
エマがドレスの裾を持って駆け足で追い付き、ルドルフに声を掛けた。
「ルドルフ様。エマです。よろしくお願いいたします」
「ふん」
ルドルフは鼻で笑うと、無言で公爵家の庭園に出ていった。エマも後に続く。
ルドルフが庭園の片隅で立ち止まった。エマが追い付き、横に並んで立った。
ルドルフとエマの前には、手入れの行き届いた庭園が広がっていた。
庭園には様々な草木が植えられていたが、何となく無機質で、寄る辺なさが感じられた。
……そういえば、アルベルトといつも遊んでいた別荘の庭園は、もっと花がいっぱいで居心地が良かったな。
エマが何となく子どもの頃を思い出していると、ルドルフが正面を向いたまま話し始めた。
「皇帝陛下の猜疑心は日増しに強くなっていてな。大貴族同士の結婚には特に神経を尖らせている」
私は大貴族でも何でもないんだけど……エマがルドルフの横顔に目をやり、不思議に思う中、ルドルフは話を続けた。
「我が公爵家は、更なる権勢を得るため、帝国有数の軍事力を持つ辺境伯との結び付きを強めていた。辺境伯の令嬢には婚約者がいたが、ひ弱な男で、令嬢も内心嫌がっていた。そこで俺は、令嬢を俺のモノにして、その軟弱男との婚約を破棄させた」
え?! 私との婚約前に、すでに愛人がいるってこと?
エマが絶句していると、ようやくルドルフがエマの方に顔を向けた。エマの顎の下に手を差し入れ、無理矢理エマの顔を上げさせた。
「何か勘違いしているような顔だな。俺の本当の婚約相手は、辺境伯の令嬢だ。お前は、皇帝陛下を欺くための偽装結婚の相手に過ぎん」
ルドルフは、エマの唇や胸を眺めた後、ニタニタしながら言った。
「お前は、形式的には俺の妻になるが、実際は俺の愛人という訳だ。貧乏男爵領への援助を打ち切られたくなければ、昼も夜も、俺にしっかり奉仕することだな」
そう言うと、ルドルフは1人で館の中へ歩いて行ってしまった。
庭園には、1人残されたエマが呆然と立ち尽くしていた。
† † †
「どうだった、エマ? ルドルフさんとは話は弾んだか? 中々の立派な紳士だったな」
公爵家からの帰りの馬車。エマの父が、向かいに座るエマに聞いた。
「えっ……う、うん。さすが大貴族のご子息って感じ」
エマは言葉を濁した。エマの内心に気付かないまま、エマの父が嬉しそうに話を続けた。
「公爵様は、我が男爵領への莫大な資金提供だけだなく、エメットの東部総督府での官職も斡旋してくれるそうだ。これで我が男爵領は安泰だな!」
エメットはエマの弟のことだ。両親の喜ぶ顔を見ると、エマは何も言えなかった。
その時、突然馬車が急停止した。
「どうした?!」
「す、すみません。交差点に入ってきた他の馬車とぶつかりそうになりまして」
エマの父の問いかけに、馬車の外から馭者が答えた。
少しすると、エマたちの馬車にぶつかりそうになった馬車から従者らしき者が出てきて、エマたちの馬車の近くまでやって来た。
その従者は、エマたちの乗る馬車の馭者とやり取りを終えると、窓越しにエマたちへ頭を下げた。
「男爵ご一家の皆様にご迷惑をお掛けして申し訳ございません。我が主が、お詫びに皆様をティータイムにお誘いしたいとのこと。いかがでしょうか?」
エマたちは、婚約式の準備等でしばらく帝都の宿に留まる予定で、この後は特に予定がなかった。
エマたちは、せっかくだからということで、お誘いに応じることにした。
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