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「朝から、作らされるなんて思わなかった。」
昨夜、何事もなく央未を抱き枕にして夜を明かして。
朝方はすっかり冷え込む。
小雪を過ぎた、勤労感謝の日。
つい、この間までは央未の素足が俺の足に
ひたりと絡むだけでも暑かったのに。
一緒に眠る事に、随分と慣れてしまったこの体は
央未の体の熱の心地よさを、よく知っている。
『あさって、言うけど…もう11時前だよ。朝ごはんも遅かったし。ずれ込んでるじゃん。』
「寒いと、起きたくないだろ?お前もしーっかり俺に抱き着いてたクセに。よく言う。」
央未の私服は、いつもどこか控え目で。
顔はどちらかと言えば華があるから、バランスが取れているのだと思う。
フランネルシャツの上に掛ける、タブリエ。
「・・・アラサーの男に言う様な事でも無い気がするけど、似合ってるよなぁソレ。」
俺が、先月に贈った一応、誕生日プレゼントだ。
『あー、コレね?・・・なんて言うんだっけ。呼び方、ほら・・・』
エプロン、とは違う呼び方をすっかり央未は忘れている様で。
「タブリエな。」
バックでクロスするタイプの、機能性も高いものを用意した。
『そうそう、あんまり聞きなれないからさ。一瞬何か分からなかったけど。使い勝手よくって気に入ってるんだ。』
これから、野郎2人でケーキを焼くんだって。
貴重な休日を使って。
明日、フツウに仕事なんだけど。
央未の提案なんだ、無碍にできるか。
「央未って、生地・・・混ぜたいタイプ?」
『・・・何それ。ハンドミキサーあるんでしょ?』
「いやぁさ~、いるじゃん。やたらと、泡だて器で生地とか混ぜたがる人。」
『あ~・・・。俺は、そこまででもないよ。』
「まぁ、俺なんだけどね。」
一瞬の間があってから、央未はニコニコ笑う。
『え~、かわいい。子供みたい。』
「姉貴と喧嘩しながら、お菓子作りしてたわ。」
『・・・楽しそう。』
テーブルの上に並ぶ材料を央未が計量しだす。
「何する?俺は」
『オーブンの予熱・・・は、もう少し早いか。じゃ、レシピ読んでくれる?』
「へーい。」
『あ、朔もエプロンして来なよ。』
「そんな、本格的にしないから要らないと思う。」
『はぁ?手伝ってくんないの?』
「俺は、見てるだけ。か、補助する。」
腕まくりをした央未が、もーもー言い出す。
念の為、昨夜にレシピと動画の確認はしておいた。
ドジする前に、俺がサポートするつもりではある。
真剣な表情で、央未がスポンジ生地を製作していく。
俺の為に、わざわざ休日返上してまでこんな時間からケーキを焼く恋人って。
出来過ぎている。
嬉しいのは通り越して、もう変わり者の様にさえ思えて来る。
『チョコの匂い、たまんないなぁ・・・。』
「甘い匂い・・・。メレンゲなら、立てるの手伝うか。」
『あ、本当?じゃ、お願い。』
オーブンの予熱をしてから、卵白でメレンゲを作る。
砂糖を途中に数回足しながらよく泡立てられて、ツヤを帯びた
綺麗なメレンゲが出来上がった。
「混ぜて焼くだけ、とは言うけど。不慣れだから、大変だよな。」
『ちょっとね。でも、朔が一緒だから。』
「・・・明日、本当は休もうかと思った。」
『珍しい事言うじゃん。でも、休まなかったんだろ?』
昨夜、何事もなく央未を抱き枕にして夜を明かして。
朝方はすっかり冷え込む。
小雪を過ぎた、勤労感謝の日。
つい、この間までは央未の素足が俺の足に
ひたりと絡むだけでも暑かったのに。
一緒に眠る事に、随分と慣れてしまったこの体は
央未の体の熱の心地よさを、よく知っている。
『あさって、言うけど…もう11時前だよ。朝ごはんも遅かったし。ずれ込んでるじゃん。』
「寒いと、起きたくないだろ?お前もしーっかり俺に抱き着いてたクセに。よく言う。」
央未の私服は、いつもどこか控え目で。
顔はどちらかと言えば華があるから、バランスが取れているのだと思う。
フランネルシャツの上に掛ける、タブリエ。
「・・・アラサーの男に言う様な事でも無い気がするけど、似合ってるよなぁソレ。」
俺が、先月に贈った一応、誕生日プレゼントだ。
『あー、コレね?・・・なんて言うんだっけ。呼び方、ほら・・・』
エプロン、とは違う呼び方をすっかり央未は忘れている様で。
「タブリエな。」
バックでクロスするタイプの、機能性も高いものを用意した。
『そうそう、あんまり聞きなれないからさ。一瞬何か分からなかったけど。使い勝手よくって気に入ってるんだ。』
これから、野郎2人でケーキを焼くんだって。
貴重な休日を使って。
明日、フツウに仕事なんだけど。
央未の提案なんだ、無碍にできるか。
「央未って、生地・・・混ぜたいタイプ?」
『・・・何それ。ハンドミキサーあるんでしょ?』
「いやぁさ~、いるじゃん。やたらと、泡だて器で生地とか混ぜたがる人。」
『あ~・・・。俺は、そこまででもないよ。』
「まぁ、俺なんだけどね。」
一瞬の間があってから、央未はニコニコ笑う。
『え~、かわいい。子供みたい。』
「姉貴と喧嘩しながら、お菓子作りしてたわ。」
『・・・楽しそう。』
テーブルの上に並ぶ材料を央未が計量しだす。
「何する?俺は」
『オーブンの予熱・・・は、もう少し早いか。じゃ、レシピ読んでくれる?』
「へーい。」
『あ、朔もエプロンして来なよ。』
「そんな、本格的にしないから要らないと思う。」
『はぁ?手伝ってくんないの?』
「俺は、見てるだけ。か、補助する。」
腕まくりをした央未が、もーもー言い出す。
念の為、昨夜にレシピと動画の確認はしておいた。
ドジする前に、俺がサポートするつもりではある。
真剣な表情で、央未がスポンジ生地を製作していく。
俺の為に、わざわざ休日返上してまでこんな時間からケーキを焼く恋人って。
出来過ぎている。
嬉しいのは通り越して、もう変わり者の様にさえ思えて来る。
『チョコの匂い、たまんないなぁ・・・。』
「甘い匂い・・・。メレンゲなら、立てるの手伝うか。」
『あ、本当?じゃ、お願い。』
オーブンの予熱をしてから、卵白でメレンゲを作る。
砂糖を途中に数回足しながらよく泡立てられて、ツヤを帯びた
綺麗なメレンゲが出来上がった。
「混ぜて焼くだけ、とは言うけど。不慣れだから、大変だよな。」
『ちょっとね。でも、朔が一緒だから。』
「・・・明日、本当は休もうかと思った。」
『珍しい事言うじゃん。でも、休まなかったんだろ?』
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