都合のいい男

美浪

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シアンを取り戻す

味方

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ハーミット様がテーブルで1人パソコンに向かい始めた時だった。

「ミナキ。漫画家からメール。」
携帯を渡された。

『先日は情報ありがとう。お陰でキラービーを取り締まれたしリュートは勲章も得たよ。
しかし、君達も面白い事をした様だね?
金印盗めたとか凄いよ。
その内容も漫画にしたい。良かったら教えてくれ!!
オーガに聞いたけど負けたせいか殆ど語ってくれない。
それと。何故か殺人鬼シアンが政府に居るのだが。裏切ったって本当?俺はちょっと信じられない。連絡待ってます。』

「どうしよう。ハーミット様はどうしたら良いと思う?」

「所在地は家。好きにして良いよ。今、忙しい。」
と言って相手にしてくれない。

静かにしろと言われてコソコソとボスとウェンに意見を求めた。

「罠でも構わない。連絡してくれ。」
ボスはそう言った。
「大丈夫。位置特定されない。」
ウェンはハーミット様の携帯なら大丈夫と言う。

話をしてみるか。
『今、1人なら話せます。』
メールしてみた。この世界の言葉も携帯メールならだいぶ解る様になったなあ。自筆で書くのは書き順とか解らなくなるが。

電話かかってきた!
ヴェガさんの寝室に取り敢えず1人で入った。

「もしもし?」
海誠先生の声だ。
あれ?おいおい!!俺の異能?
ハーミット様の能力みたいな物か?電話の電波を通して?解らないけど一瞬、海誠先生が見えた。ソファに座って1人だった。幻?まあ、良いや後で考えよう。

「あっ。すみません。海誠先生。」

「先ずは先日はありがとう。そして、君達もおめでとうございます。」
ちょっと複雑だが。お礼を述べた。

「西アン・デスの話を聞かせてくれる?全然、政府や警察の事は気にしなくて良いよ!マフィアが活躍しないと漫画も面白くない!」
海誠先生の声が明る過ぎる。本当にこの人って・・ネタにしか興味無いのかも。

「シアンはどうしてますか?」
俺の聞きたかった事。

「オーガに聞いただけで俺は本人を見ていないんだ。今、ジ・パングの政府に居る。西アン・デスで裏切って政府に入れてくれと自分から言い出したと聞いている。嘘だよね?」
海誠先生はそう言った。

「先生は政府異能者のヴァルヴァラって知ってますか?銀髪の少女です。」
少し考えているのか間があった。

「銀髪に赤い目の150センチくらいの女の子だよね?ヴァルヴァラかどうかは知らないが見た事あるよ。」
流石、記憶力の異能者だ。

「そのヴァルヴァラって奴の異能の話をしますね。そしてその時起こった出来事。」
俺は転移魔法陣と元締めさんの話は伏せてヴァルヴァラの話をメインにして話した。

「光に当たるとぬいぐるみに?!何だその異能!!」
海誠先生はめちゃくちゃ大声で叫んだ。

「シアンは逃げる時にボスを狙った光弾を庇って受けたんです。」

沈黙が少し流れて

「そうか。辛かったね。政府の奴らって平気で嘘をつくよね・・。そりゃ君達のした事は政府側から見たら悪い事だよ?でも、何か違うなって最近思えて来てるんだ。」

その言葉が凄く嬉しかった。

「えーとさあ。君達の名前って俺も政府も知らなかったんだけどシアンが話したみたい。君はフール?他の人もタロットから名前取ったんだね?」
海誠先生の問にはいと返事した。

「俺はミナキ・フールです。」

「ミナキって言うんだね。そっか。シアンは操られていても自我が働いて抗っているのかな?皆の名前までは聞いてないよ。」
それを聞いて自然と涙が溢れて来てしまった。

「あっ。えっと。ごめん泣かないで。泣かすつもりは無いんだよ。」
海誠先生の焦る声。うう。ヤバい本当に。ずずっと鼻を啜った。
「何かシアンの事考えたら。嬉しくて。あいつも頑張っているんだなって。」
やっぱり助けたい。
本当に助けなきゃならない。

「うーん。頑張らずに従う振りをしてくれていれば良いんだけれど。」
海誠先生はそう言って黙った。

「従う振りか・・・。」
「そう。逆らうと多分、脳内チップを入れられると思う。」
ああ。やっぱりそうなるんだ。

「先生・・。助けて下さい。俺もシアンの情報欲しいです。」
こんな事言ったらハーミット様に怒られそうだけど。もっと疑えって言われそうだけど・・。

「脳内チップってね。政府や警察に逆らえなくするだけで元々の自分の性格はさほど変わらないらしいんだ。」

「だからリュートは熱血で良い子だから扱い易いんだけど。オーガ君はねぇ。どんな子だったのかプライドが高くて。」
と溜息が聞こえた。
それは解るなあ。

「オーガ。うちのハーミット様が倒しましたしね。」
そう言うと
「それ!!聞きたい!教えてよ。」
食いついてきた。俺も現場は途中までしか見ていないけど。ハーミット様って凄かった。
途中までのバトルの様子と背中と腕を斬ってバル〇ン仕掛けて逃げたと言う話をした。

「ぷッ・・・。あは・・・。あはははは。まじか!!そりゃオーガが話さない訳だ。面白すぎ。」
絶対、内緒にはするね!オーガにキレられるからと海誠先生は聞いて良かったとまだ笑っている。

「えーと。取り敢えずオーガから情報を聞にくいって事ですかね?」
プライド高いのは解る。会った印象も常にあまり・・・良くない。

「煽てる。褒める?あっ。でもね。多分、リュートは政府組織に昇格する。」
そうか。危険察知能力が身に付いたのか。
ちょっと厄介。
何とかリュートとオーガも味方に出来たら楽なのに。

「情報は何とか仕入れて見せる。シアンを助けたいんだよね?応援する。でも、死なないでくれよ。本当に大変だと思うし。」
海誠先生・・。
死ぬかもしれないんですよ。それは言えないけれど。

「脳内チップを入れてる異能者の名前を教えて下さい。それと。ヴァルヴァラの事を知りたい。」
少しの沈黙。そして・・・。

「政府異能コンピューター、名前はアインシュタインって言う機械。それを作った人物は御厨みくりやとおる。日本人異能者だよ。彼は脳内チップは入っていない。年は多分40代。」
元々は技能者かな?と教えてくれた。

「もっと色々教えたいんだけど。警察の事なら解るんだが俺、弱いから。」
と少し寂しそうに言われた。

「ありがとうございます。その異能者が解っただけでも助かります。これからも宜しくお願いします。」
お礼を述べた。

「そうだ。聞いて下さい。」
もっと知ってもらいたい。だからこの世界に生まれた異能者達の話もした。きっとこの人は解ってくれる。

「・・・。何故?この世界はそうなった?この世界の異能者への扱いがおかしいよね。」
俺もそれは知りたい。

「あー。聞いたら調べたくなる!漫画はね!政府と警察よりで描くけど。」
とブツブツ言いながらも少しだけでもこちらの言い分も解ってくれたかもしれない。

この人はきっと・・・味方になる。
味方になってくれたら。心強い。
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