都合のいい男

美浪

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決戦まで後〇〇日・・・

何があってもウェンが好き

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オーガとリュートはシアンの部屋に住む事になった。
と言ってもシアンと一緒にでは無い。

この度、目出度く?ボスとシアンは一緒に住む事に。

「家具は使って良いよ?」
シアンは気前良く提供してくれた。
何だかんだでボスと同棲って嬉しいんだろう。

海誠先生は帰りたくない!!と言っていたが今は唯一の政府と繋がれる人だ。
と言っても漫画の主役が死んだとなったら今後の活動に影響が出るかもしれない。
決戦の日は・・近いかも。

「ダラダラとコソコソと隠れて勤務はするし。何かあったら即連絡するよ!」
最終的には気合いを入れて帰って行かれた。

「つーかーれーたー!」
部屋に戻るとドッと疲れが出た。
結界張りすぎた。異能量は増えたと言う実感はある。

今日の成果は三台の異能が使える様になった事。それは本当に良かったと思う。
自分の異能を丸投げって言うのがちょっとびっくりしたけど。

取り敢えず座りたい。ソファに腰掛けるとウェンはキッチンに向かって行った。

「ミナキ?何か飲む?」
「うん。ありがとう。すっきり炭酸系!」

ウェンもコーラっぼい炭酸飲料のペットボトルを取り俺の横に座った。

「しみじみ。疲れたね。」
ゴクッと一口飲んでウェンがフゥーと溜息を付いた。
「うん。同感。俺はバトルはしてないけどね。ひたすら結界張っただけ。」
割と倒れるギリギリまで頑張った。

「俺の戦闘の相手ね悪夢と言うか今までで1番辛かった記憶を引き起こして精神崩壊させる異能者だった。」
ウェンは軽く目を閉じて。
「地獄の記憶・・・。」
とボソッと呟いて目を開けた。

「ウェン。大丈夫?大丈夫じゃない?」
飼われてた・・。そう聞いた。
この話は聞く事では無いと思って避けてきた会話だ。

「戦闘相手のお陰で全部思い出しちゃった。」
ウェンは寂しそうでそれでいて苦しそうな顔で笑う。
「ウェン。」
どう声を掛けて良いのか。どう話しをしたら良いのか。
「ウェン。」
それ以上の言葉が出なくてそっと抱き締めた。

「俺が産まれる前に異能者だった親父は死んでたらしい。だから親の顔はどちらも知らない。アルージャとは違う所だけど施設育ちだった。」
ウェンはそれすらも忘れてたと苦笑しながら。

「俺はマフィアとかに引き取られたんじゃなくて運悪く・・。金持ちに買われたんだよね。」
と溜息を付いた。

「マフィアに引き取られるのも大変だし辛いけど。奴隷が1番悲惨。」
「ウェン。もう・・。聞くの辛くなってきた。」
ウェンの辛い表情も言葉も全部、俺に受け止められる?

「ミナキ。ごめんね。でも、聞いて。」
逆にウェンに頭を撫でられてしまった。

「解った。聞く!」
ソファで寄り添ってウェンの手を取った。ウェンは珍しく甘えるように俺にもたれかかってきた。

「地下牢に閉じ込められててね。」
俺はグッと涙が出そうなのを堪えてウェンのその時の出来事を聞いた。

「ミナキ。泣きそうだね?」
「うん。」
同情?

それは違う。

それは違うんだ。

「ミナキ。これから楽しい話になるから。」
ウェンはポンポンと頭を撫でる。

カプリスのメンバーが盗みに入ったお陰で自分を見付けてくれた事。
「俺、その時に異能にやっと目覚めたんだ。」
ウェンが漸く笑った。

飼われていた家をぶっ壊した話を嬉しそうに話し始めた。
「爆発力が強くて禁止令出てたんだよね。異能は消費激しめだけど。溜め無しで通常の光弾の2倍の威力の光弾撃てるよ。」

「凄いじゃん!」
うんうん!普通の光弾でも凄いのに。
ウェンは俺の目を見て微笑む。

「辛い人生の後で。俺はカプリスに入った。そして、ミナキに逢えた。」
「うん。」
俺もウェンの目を見詰める。

「今、幸せ。」
ウェンは優しく俺を抱き締めた。
「俺も。ウェンに逢えて幸せだよ。」

どんな過去でも。

この先、何があっても。

「ウェン。大好きだよ。」
「・・先に言われた。」
ウェンはちょっと口を尖らせて。

「ミナキ。大好き。」
そう言ってチュッと優しいキスをしてきた。

俺もチュッとお返しのキス。

笑顔が自然と溢れる。

何があってもウェンが好き。

「聞いてくれてありがとう。話せて良かった。」
ウェンはまた嬉しそうに微笑む。

「俺も。聞けて良かった。」

この世界に来られて本当に良かったと思う。


「お風呂入って寝ようか。」
「うん!」

沢山、イチャイチャして風呂に入りベッドに横になった。

「するの?」
お互い疲れているんだけれど。

「したい。」
ウェンがギュっと抱き締めてくる。

そう言う俺も実はムラムラしていた。
ウェンを感じたい。全身で感じたい。

ウェンと繋がりたい。

そんな気持ちが溢れまくり。

「俺もしたい。」
そう言うとウェンはクスクスと笑いながら頬を擦り寄せる。

舌が絡むキスを何度も何度も・・。

ウェンの肌の温もり。

強く抱き締めてくる腕。

ゆっくりと身体が俺と繋がる。

「沢山、イカせるから。」
ウェンが俺の耳元で囁いた。
ニヤっと微笑むと。
「ちょっ!!ウェン!激し・・いってぇ!」


疲れているんじゃなかったか?とツッコミを入れたくなるくらいイカされまくった夜だった。
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