都合のいい男

美浪

文字の大きさ
137 / 180
決戦まで後〇〇日・・・

ウェンの悩みとその後の会議

しおりを挟む
昼寝は有難い。ミナキの異能って想像以上に消費が激しかった。
地味だけど激しい・・。

「ウェン。俺も一緒に昼寝する。」
「うん。」
ミナキもベッドに潜り込んで来た。抱き締めて寝たかったから嬉しい。
こう言う昼寝って久しぶり。ミナキを腕枕してそっと抱く。
甘える様に抱きつくミナキが可愛い。

でも・・・。
本当に・・ミナキを元の世界に帰さなくて良いのかな?
アインシュタインを壊したら帰れなくなる・・・。
ミナキはそれで良いの?

でも・・離したくない。

「ウェン?疲れすぎた?」
ミナキが眠そうな顔で俺の頬を優しく撫でる。
「慣れない事したからね。ありがと。」
チュッと優しくキスをした。

この温もりを俺は離したくない。
一生・・・手放せない。

そう思いながら眠りに付いた。


今、何時?

2時間程寝たようだ。
まだ、ミナキ寝てる。

寝顔も可愛いなあ。

本当に元の世界に帰さなくて良いんだよね?

髪をサラサラと撫でる。フワッと赤いオーラがキラキラと俺の手を包む。

愛しい。

ただただ・・愛しい。

「ウェン・・。起きた?」
「うん。」

俺の大事なミナキ。

「何か悩んでる?」
顔に出てたのかそう聞いて来た。

「ん。ちょっとだけ。」
「何?話して?」
ミナキはちょっと真剣な顔。
うん。そう言われると困る。

「元の世界に帰らなくて良いの?」
「うん。ウェンと一緒に居たいから。」
そう言うと思った・・。

「ありがと。」
ミナキを抱き締める。

でも、本当に俺の為に良いのかな。
嬉しいけれど本当にそれで良いのかと思えてしまうのは何故だろう。

ミナキにとっての幸せはこの世界にあるの?

沢山、言いたい事は有るのだけれども言葉が出なかった。

これはアインシュタインに潜ったせいだ。
大元帥や元帥の過去。それに総帥の話。
極めつけにアインシュタインを壊すと言う話。

壊さなければまた、新たに異世界人が来てしまうしな。

もう少し考えよう。今は決断出来そうに無い。

「アジトに行こうか。」
「うん。ウェン?本当に大丈夫?悩み過ぎてる?」
ミナキ鋭いなあ。悩み過ぎてるよ。

アジトに向かうとアルージャとゼット、ボスとシアンはもう集合していた。


          ・・・・・・・・・・・・


皆、集合完了。すっかりメンバーが増えて2LDKじゃ狭く感じるようになった。
前の広いアジトに戻りたいなあ。と、ちょっと思う。
しかし、さっきのウェンは何か変だった。
確かに帰れなくなると言われると決意が必要だよ?
でも、俺はウェンが1番なんだ。


「じゃあ、会議始めようか。」
ボスが声を掛けた。

「アルージャ、俺に話した説明をもう1回して。」
ボスがハーミット様に話を振る。

「了解。」
ハーミット様はアインシュタインの中での出来事を話始めた。

最奥は総帥のコア
エメリヒとトールの過去話。

本当にハーミット様が言う様に根源は総帥だ。
だけどエメリヒとトールが被害者であったとしてもその後の現在の出来事は加害者。

同情したいが出来ない。これが裁判制度で裁けるのなら情状酌量でも無期懲役とかだろう。

「何故、総帥はその映像を見せたのかな?」
ボスは同情させる為?と少し疑問を持ったようで。それに関しては皆も思った様だ。

「何だかんだで?総帥はエメリヒに洗脳されてるやん?せやから?うーん。言いたい事が上手く言えんわ!」
リョウの言いたい事は解った気がする。

わざわざ見せたのは同情を惹きたいのでは?って事だろう。

「判断が難しい所だけど。俺達がミナキを召喚するきっかけを作ったって言うのが衝撃的だね?」
ボスは俺の顔を見てニヤっと笑った。

「まさに都合のいい男ですね!カプリスに入る為に呼ばれたって言う感じが嬉しいです!!」
そう言うとボスを中心に皆、ケラケラと笑い出した。
俺は本当にツイてると思う。政府に召喚されずにカプリスに出会えたのは運命だ。

「さて。話を戻すが。エメリヒとトールを倒す。元の世界へリョウ達を転移させる。その後、アインシュタインを破壊が順番だよね?」
ハーミット様は呼び掛けた。

「シャットダウンした時にアインシュタインはミナキを召喚したんですよね?」
オーガが確認するように尋ねた。

「そう言っていたが。」
ハーミット様は首を傾げてオーガを見た。

「エメリヒ大元帥の洗脳が解けてトール元帥が死んだらアインシュタインは暴走しないんでしょうか?元の姿に戻るとか?」
なかなか恐ろしい発想だが何か解る。

「うーん。」
オーガの意見にハーミット様もボスも腕組みして悩み出してしまった。

「召喚士ユウヤの能力だけでは全員を元の世界に戻すのは難しいのかな?」
ボスが首をぐるっと回してそう言ってまたブツブツ考え出した。

「ユウヤに会った事あるリョウ、オーガ、リュートはどう思うんだ?」
ボスの独り言にハーミット様が反応した。

「榎津さんの異能力なあ。アインシュタインを使わへんでも出来ると思うで。せやけどなあ。1人が限界ちゃう?」
リョウは異世界を繋げるには異能量が半端ないと言う。

「その意見同じく。」
「俺もそう思います。」
オーガとリュートはそう言った。

「そこに増幅の異能を使えばいけるかなあ?マーシェルファミリーのボスが攻撃や異能強化させる能力者なんだよね。」
噂のマーシェルファミリーのおネエさん系ボスかあ。
まだ会った事無い。

「試したい事が多すぎるな。」
シアンがクスクスと笑いながらボスの肩をポンと叩いた。

「本番は1回限りなのに厳しいね?でも、やるんでしょ?」
ジハードがボスの顔をチラっと見た。

「やるよ。シュミレーションだけは何回もやるけどね。」
ボスが全員の顔を見詰めた。

「第1ターゲットはエメリヒ。」
全てはこいつを倒せるか否か・・・。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。 領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。 *** 王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。 ・ハピエン ・CP左右固定(リバありません) ・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません) です。 べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。 *** 2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? 騎士×妖精

前世が教師だった少年は辺境で愛される

結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。 ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。 雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。

処理中です...