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決戦
エメリヒ大元帥
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27階のフロアは入った時から異質な空間に感じた。
エメリヒの残り香と言うか?エメリヒの残殺気?
と言った方が良いかもしれない。
「大元帥は本当に心蝕まれているのかもしれないわね。厄介そうだわ。」
社長さんのまだ見た事無いエメリヒへの感想だ。
あー。何だ?そうだ!このフロアだけ心霊スポット的な空気なんだ。
怨念やドロドロした感情が溜まっていて空気が濁る。
「居心地悪ぃなあ。」
「予想より酷い。このフロアでのバトルは分が悪いかもね?」
バックスレーさんとボスが結構深刻そうな顔で苦笑した。
「俺、霊感ないけど何か出そう。」
オーガの顔も引き攣り気味。
「俺達の異能が効くんでしょうか?」
ガブリエルとビクターは不安そうだし。
「殺るしかないよ?この空気は俺は大丈夫。昔、飼われてた地下室に似てる。」
ウェンは平気そうな顔でクスっと笑い俺の頭を優しく撫でた。
「俺も大丈夫だね。憎しみや恨みは殺人鬼の好物かも?逆に煽られてる気分。」
シアンはニヤっと微笑んだ。
「間もなく来るよ。社長、頼むね。」
ボスがキリッとした顔で戦闘モードに入った。
「はーい!最初から飛ばすわよ!全員に異能かけるからね。足りなさそうな時は追加発動するわ。」
社長がパンッと柏手を打つ様に手を鳴らした。
――極限解放――
身体に力が溢れるのが解る。これがバフ系異能者の力なんだ!
「オーガもかけて。」
「了解です。」
――全員異能破棄――
オーガの異能破棄も更にパワーアップした感じだし準備は整った。
「ガブリエルとビクターはエメリヒ出現と同時に発動。言霊がどれ程の能力かが問題だからね。」
言葉でも操れるんだったな。
全く、本当にエメリヒは厄介過ぎる。
「ビクターの異能が効いたら言葉は唇を読んで。後は・・無理せず全力でね?」
ボスは俺達の顔を見て頷いた。
「言い忘れ。ミナキは全力ね。」
「了解です。」
ほんの少しだけ場が和んだ。
が・・・エレベーターの扉が開いた瞬間からこれ迄、体験した事の無い威圧と殺気が風を帯びてジワジワと流れて来た。
此方の出方を伺う様に。
全く焦りは見えない。ゆっくりとやって来る。
俺達に逃げ場は無いよ?と言わんばかりに。
本当にホラー映画の悪霊の様な気がしてきた・・。
「愚民共よ。」
エメリヒの声が脳内に響く様に聞こえた。
「ビクター!!」
ボスが叫ぶ。
――無音空間――
「大丈夫だろうか?」
俺達を取り囲む無音空間の中でまだ姿を現さずゆっくりと此方に歩みつつあるエメリヒへ意識を向けた。
ニヤっと笑いながら奴は角を曲がった。
「遠隔かな。」
突然聞こえたエメリヒの声。
来る・・・!!!
台風の様な強風で倒れそうになった。
正に足元をすくわれると言った突風に乗ってエメリヒは俺達へ斬りつけてきた。
――六芒星結界――
振るった剣の攻撃は広範囲でほんの一瞬の遅れで全員斬りつけられていただろう。
『なるほど。ただの愚民では無さそうだ。』
唇の動きでそう言っている様だ。
『結界師に無音空間者に異能破棄か。なかなか良いのが揃っている。』
言葉は聞こえない無音の結界の中でも威圧で気圧される。
オーガの異能破棄が無かったら俺達はもう洗脳されていたかもしれない。
目が怖い・・・。
鈍く光る目。
――無音空間――
俺達を取り囲んで居た無音空間がエメリヒだけを取り囲む形に切り替わった。
『ふーん?』
鼻で笑われているが。
「バックスレー。行くわよ。」
「だよなあ。」
社長とバックスレーさんがパンッと拳を叩いて1歩前へ出た。
「じゃあ、俺とシアンも。」
「了解。」
ボスとシアンも前へ。
「援護宜しくね!!」
社長がエメリヒに勢い良く向かって行き拳を繰り出す。
エメリヒは左手でその拳を受け止めた。
『なるほど。重いな。』
瞬時にバックスレーさんが蹴りを入れる。
2人の猛攻撃はそれは凄まじいスピードだ。
「行くよ。」
2人の攻撃の合間を縫ってウェンの光弾が炸裂する。
ボスの手にも鎌。シアンの手にも短剣。
オーガとガブリエルも剣を抜き戦闘態勢。
俺達の決戦は始まった。
・・・・・・・・・・・・
トール元帥フロア。
空間を何とか作動させなあかん。
こいつが諸悪の根源やないか?そう言う疑問がわいて来てる。
ジハードとリュートにヴェガはアンドロイドを倒し中やし。
なかなかチャンスに恵まれへんけどラズの凍気で一瞬だけトール元帥の片足が凍った。
――嘘つかんと答えなあかんで――
「トール元帥。話しましょか?」
やっと空間発動。
「リョウ。困った子だね。別に何でも話してやるよ?」
攻撃は怠らずトール元帥はクスクスと笑いながらそう言った。
「時間稼ぎしてるよな?」
「そうだね。」
やはりそーやな。
「何の為や?」
トール元帥はクスクスと笑いまた俺の服を斬りつけた。
ハラりと斬られた上着の裾が舞った。
「私が世界を支配したいからかな?」
フフっと笑い俺達を吹き飛ばす突風の様な気の圧を放った。
「洗脳が最も効くのはどんな時か解るかい?」
逆に質問された。
「知らんわ。」
嘘はつけへん。
「馬鹿な子だなあ。教えて欲しいだろ?聞けば?」
挑発する様にトール元帥は言った。
「どないな時に洗脳の効果が上がるんや?」
何や乗せられて聞かされてる感じが嫌やな。
「最高に絶望した時にだよ。」
此奴も闇や。
エメリヒ大元帥と変わらへん。
「絶望に打ちひしがれたエメリヒはそれは哀れで可愛かったよ?」
悪魔の様な笑みでトール元帥は再び指をパチンと鳴らした。
そして、またアンドロイドが増えた・・・・・・。
エメリヒの残り香と言うか?エメリヒの残殺気?
と言った方が良いかもしれない。
「大元帥は本当に心蝕まれているのかもしれないわね。厄介そうだわ。」
社長さんのまだ見た事無いエメリヒへの感想だ。
あー。何だ?そうだ!このフロアだけ心霊スポット的な空気なんだ。
怨念やドロドロした感情が溜まっていて空気が濁る。
「居心地悪ぃなあ。」
「予想より酷い。このフロアでのバトルは分が悪いかもね?」
バックスレーさんとボスが結構深刻そうな顔で苦笑した。
「俺、霊感ないけど何か出そう。」
オーガの顔も引き攣り気味。
「俺達の異能が効くんでしょうか?」
ガブリエルとビクターは不安そうだし。
「殺るしかないよ?この空気は俺は大丈夫。昔、飼われてた地下室に似てる。」
ウェンは平気そうな顔でクスっと笑い俺の頭を優しく撫でた。
「俺も大丈夫だね。憎しみや恨みは殺人鬼の好物かも?逆に煽られてる気分。」
シアンはニヤっと微笑んだ。
「間もなく来るよ。社長、頼むね。」
ボスがキリッとした顔で戦闘モードに入った。
「はーい!最初から飛ばすわよ!全員に異能かけるからね。足りなさそうな時は追加発動するわ。」
社長がパンッと柏手を打つ様に手を鳴らした。
――極限解放――
身体に力が溢れるのが解る。これがバフ系異能者の力なんだ!
「オーガもかけて。」
「了解です。」
――全員異能破棄――
オーガの異能破棄も更にパワーアップした感じだし準備は整った。
「ガブリエルとビクターはエメリヒ出現と同時に発動。言霊がどれ程の能力かが問題だからね。」
言葉でも操れるんだったな。
全く、本当にエメリヒは厄介過ぎる。
「ビクターの異能が効いたら言葉は唇を読んで。後は・・無理せず全力でね?」
ボスは俺達の顔を見て頷いた。
「言い忘れ。ミナキは全力ね。」
「了解です。」
ほんの少しだけ場が和んだ。
が・・・エレベーターの扉が開いた瞬間からこれ迄、体験した事の無い威圧と殺気が風を帯びてジワジワと流れて来た。
此方の出方を伺う様に。
全く焦りは見えない。ゆっくりとやって来る。
俺達に逃げ場は無いよ?と言わんばかりに。
本当にホラー映画の悪霊の様な気がしてきた・・。
「愚民共よ。」
エメリヒの声が脳内に響く様に聞こえた。
「ビクター!!」
ボスが叫ぶ。
――無音空間――
「大丈夫だろうか?」
俺達を取り囲む無音空間の中でまだ姿を現さずゆっくりと此方に歩みつつあるエメリヒへ意識を向けた。
ニヤっと笑いながら奴は角を曲がった。
「遠隔かな。」
突然聞こえたエメリヒの声。
来る・・・!!!
台風の様な強風で倒れそうになった。
正に足元をすくわれると言った突風に乗ってエメリヒは俺達へ斬りつけてきた。
――六芒星結界――
振るった剣の攻撃は広範囲でほんの一瞬の遅れで全員斬りつけられていただろう。
『なるほど。ただの愚民では無さそうだ。』
唇の動きでそう言っている様だ。
『結界師に無音空間者に異能破棄か。なかなか良いのが揃っている。』
言葉は聞こえない無音の結界の中でも威圧で気圧される。
オーガの異能破棄が無かったら俺達はもう洗脳されていたかもしれない。
目が怖い・・・。
鈍く光る目。
――無音空間――
俺達を取り囲んで居た無音空間がエメリヒだけを取り囲む形に切り替わった。
『ふーん?』
鼻で笑われているが。
「バックスレー。行くわよ。」
「だよなあ。」
社長とバックスレーさんがパンッと拳を叩いて1歩前へ出た。
「じゃあ、俺とシアンも。」
「了解。」
ボスとシアンも前へ。
「援護宜しくね!!」
社長がエメリヒに勢い良く向かって行き拳を繰り出す。
エメリヒは左手でその拳を受け止めた。
『なるほど。重いな。』
瞬時にバックスレーさんが蹴りを入れる。
2人の猛攻撃はそれは凄まじいスピードだ。
「行くよ。」
2人の攻撃の合間を縫ってウェンの光弾が炸裂する。
ボスの手にも鎌。シアンの手にも短剣。
オーガとガブリエルも剣を抜き戦闘態勢。
俺達の決戦は始まった。
・・・・・・・・・・・・
トール元帥フロア。
空間を何とか作動させなあかん。
こいつが諸悪の根源やないか?そう言う疑問がわいて来てる。
ジハードとリュートにヴェガはアンドロイドを倒し中やし。
なかなかチャンスに恵まれへんけどラズの凍気で一瞬だけトール元帥の片足が凍った。
――嘘つかんと答えなあかんで――
「トール元帥。話しましょか?」
やっと空間発動。
「リョウ。困った子だね。別に何でも話してやるよ?」
攻撃は怠らずトール元帥はクスクスと笑いながらそう言った。
「時間稼ぎしてるよな?」
「そうだね。」
やはりそーやな。
「何の為や?」
トール元帥はクスクスと笑いまた俺の服を斬りつけた。
ハラりと斬られた上着の裾が舞った。
「私が世界を支配したいからかな?」
フフっと笑い俺達を吹き飛ばす突風の様な気の圧を放った。
「洗脳が最も効くのはどんな時か解るかい?」
逆に質問された。
「知らんわ。」
嘘はつけへん。
「馬鹿な子だなあ。教えて欲しいだろ?聞けば?」
挑発する様にトール元帥は言った。
「どないな時に洗脳の効果が上がるんや?」
何や乗せられて聞かされてる感じが嫌やな。
「最高に絶望した時にだよ。」
此奴も闇や。
エメリヒ大元帥と変わらへん。
「絶望に打ちひしがれたエメリヒはそれは哀れで可愛かったよ?」
悪魔の様な笑みでトール元帥は再び指をパチンと鳴らした。
そして、またアンドロイドが増えた・・・・・・。
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