たとえ、あなたが誰を愛していようとも

あーもんど

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話し合い②

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「────その場合、責任は全てフェアレーター伯爵家に取っていただきます」

 アニスがまた問題を起こしたら対策が甘かったということになるので、私は後始末をお願いした。
その途端、フェアレーター伯爵達はサッと顔色を変える。

「「……」」

 空色の瞳に憂いを滲ませ、フェアレーター伯爵達は黙り込んだ。
ここで『それでも、いいです』と即答しないあたり、アニスがまた問題を起こす可能性を捨て切れないみたい。

「分かり、ました……ビオラ嬢の提案を呑みます。そこまでやらないと、アニスはきっと懲りないでしょうから」

 フェアレーター伯爵は悲痛の面持ちで、苦渋の決断を下した。
『これもアニスのため……』と自分を納得させる彼の前で、長男のフェアレーター小伯爵は頷く。

「先程はつい他の方法でも問題ないように言ってしまいましたが、ビオラ嬢のお考えが正しいです。弟可愛さに判断を誤るところでした。申し訳ございません」

 頭を下げて謝罪してくるフェアレーター小伯爵に対し、私は小さく首を横に振った。

「お気になさらず。家族のことですもの、簡単に割り切れなくて当然ですわ」

「そう言っていただけると助かります」

 おもむろに顔を上げ、フェアレーター小伯爵はホッとしたような素振りを見せる。
どことなく表情が柔らかい彼を他所に、私は姿勢を正した。

「では、これにてお話は以上となります。お時間をいただき、ありがとうございました」

 お開きを宣言し、私はソファから立ち上がる。
そして、フェアレーター伯爵達を玄関まで見送ると、自室に戻った。

「ふふっ……これでアニスを出迎える準備は完璧ね」

 実家という拠り所を失い、完全に孤立したアニスを思い浮かべ、私は愉悦に浸る。
もう私の隣しか居場所がないのかと思うと、本当に嬉しくて。
まあ、あくまで『社会的には』の話だが。

 まだ油断は出来ない。
駆け落ちの可能性が、残っているから。
むしろここまで追い詰められれば、その選択肢を取る確率が高い。
だから────さっさとミモザ・バシリス・フスティーシアをどうにかしないと。

 ゆっくりとソファに腰掛け、私は肘掛け部分をトントンと一定のリズムで叩いた。

「本音を言うと、今すぐ抹消してしまいたいけど……さすがに王族の暗殺はリスクが高いわね」
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