婚約破棄に全力感謝

あーもんど

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第四章

悪魔は笑う

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 私───ルーナは水晶に映し出された映像に思わず吹き出してしまった。

「うふふっ!ふふふふふっ!」

 ライアン殿下.....いえ、もうライアン陛下だったかしら?
 貴方に今すぐ言いたいことがあります。
 貴女が持ち出したその剣、エクスカリバーじゃありませんよ?
 その剣はレナード陛下に頼まれて私が作った魔道具です。
 エクスカリバーはその隣にある少し地味な装飾が施されている方です。
 貴方が持っているそれはレナード陛下のためだけに作ったレナード陛下にしか使うことの出来ない剣ですよ?ちなみに剣の能力はレナード陛下の炎魔法を極限にまでレベルアップさせるというもの。
 レナード陛下以外の者が使ってもその魔道具は反応しません。要するにただのガラクタです。
 それを宝刀エクスカリバーと間違えるなんて...うふふっ。
 きちんとお勉強されていないから、こうなるんですよ。まあ、宝刀エクスカリバーがフェガロフォス国にあると知っていただけ、ライアン陛下にしては良い方ですが。
 ライアン陛下はとにかく一番派手な装飾が施されている剣がエクスカリバーだと思ったんでしょう。なんと浅はかな....ふふっ。
 レナード陛下の強い要望で装飾を少しばかり派手めにしただけですが、それがまさかこんなことになるなんて。
 そもそもの話になりますが、仮にエクスカリバーをライアン陛下が手にしても何の意味もありませんよ?だって、あれも一応魔道具の一種ですし....要するに魔力がなきゃ使えないって訳です。
 魔力を全く持たないライアン陛下には本物のエクスカリバーもただのガラクタと同じ。
 改めて魔力を全く持たないライアン陛下に同情する。
 可哀想な方ですね。
 レナード陛下と並ぶほどの実力と魔力があれば兵士達も残ったかもしれませんのに。
 まあ、こればっかりはどうしようもありませんが。
 それにしても、ライアン陛下は意外と嘘をつくのがお上手ですね。フェガロフォス国の貴族達を欺けるくらいには。
 まさか、ライアン陛下の言葉をそのまま全て信じるとは思いませんでした。知性が低いとは言え、仮にも貴族です。色々な方々と日々腹の探り合いをしている貴族達のことですから、ライアン陛下の嘘くらいすぐに見破ると思っていました。
 ライアン陛下が嘘をつくのが上手かったのか、貴族達がただ単に馬鹿だったのか...。五分五分と言ったところでしょうか?
 ふふふっ。ライアン陛下の作戦の詳細は分かりませんが、ここへ来る目的が私に謝罪するためでないのは確か。
 ライアン陛下の思考は単純なようで非常に読みづらい。だからこそ、面白い。
 一体どんな作戦を仕掛けてくるのでしょうか...楽しみですね。


 これは“復讐”という名の遊びで、ライアン陛下...貴方は私の“復讐相手”という玩具です。
 だから、せいぜい楽しませてくださいね?遊びは楽しくないと詰まらないでしょう?

「ライアン陛下、私って結構根に持つタイプなんですよ?」

 貴方にされた嫌がらせも、貴方に言われた悪口も一つ残らず全て覚えている。

 だから────復讐という名の遊びをしましょう?

「さあ、ライアン陛下。あーそびーましょー?うふふっ」

 悪魔の不気味な笑い声がこの空間に木霊した。
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