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2.出会い
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小学一年生の時、隣の家に七央が家族と引っ越してきた。「はじめまして」と、屈託のない笑顔でオレに挨拶をした七央はまるで天使だった。その瞬間、オレは七央に恋をした。
そのときからオレたちはずっと一緒だった。小学校も中学校も、ずっと一緒。朝、家を出てから夕方帰ってくるまで……いや、その後も。
高校も同じ学校に進学した。だけど、そこで出会った雅鷹がオレと七央の間に割り込んできたんだ。
雅鷹は無愛想なイケメンだった。最初のほうはクラスの女子たちにチヤホヤされていたけれど、あんまりにも愛想が悪いせいで、そのうちクラスで浮くようになった。そんな雅鷹が唯一自分から声を掛けるのが七央だった。
七央は誰にでも優しいから、急接近してきた雅鷹を受け入れた。だけど、オレはすぐに気付いた。雅鷹が時々、七央を厭らしい目つきで見ていることに。
放課後、雅鷹を呼び出してそのことを問い詰めた。天真爛漫な七央が性欲の対象にされるだなんて、耐えられないと思った。だけど「おまえだって、七央のこと抱きたいんだろ」って雅鷹に指摘されて、オレにもそういう気持ちがあるということを自覚させられただけだった。それ以来、七央のちょっとした仕草やスキンシップにまでドキっとするようになってしまった。
結局、高校三年間は三人で過ごした。
オレは「七央と同じ大学に合格したら、告白する!! それで自分の気持ちを全部伝えるんだ!!」と意気込んでいたんだけど、受験の結果は見事にオレだけ不合格。ちゃっかりと七央と同じ大学を受験していた雅鷹は、七央と同じ学部に合格したというのに!!
七央と違う大学に進学するのがどうしても嫌だったオレは、浪人することになった。
大学までは、片道一時間半。ちょっと遠いけれど、実家からだって十分通える距離だ。それなのに、入学してすぐ七央と雅鷹はルームシェアを始めた。
自分だけ置いて行かれる焦燥感に駆られながらも、オレはアルバイトをしながら受験勉強を続けた。ただ七央に追いつきたい、その一心で。
そして、離れ離れになってから初めての長期休暇。
夏休みになって「帰省する」と七央から連絡が来た時は、飛び上がるくらいに嬉しかった。
今日は朝からそわそわして落ち着かなかった。何度時計を見ても、進む時間は変わらない。授業が終わった直後に、『七央ちゃんとお友達が来てるから、部屋で待ってて貰うわよ』と母親から連絡があって、オレは急いで帰って来た。母親は入れ違いで出かけていった。
だからオレが帰ってきた時、この部屋には七央と雅鷹の二人しか居なかったんだけど……
「ヤるなら、自分たちの家でヤればいいだろ!?」
「オレはそれでもいいけどな」
「だめだよ。せっかく、今日まで我慢したのに……!!」
「はぁ……?」
今日まで我慢、とはどういうことだ?
ルームシェアオレの知らないところで親密になった二人は、その仲を見せつけるためにわざわざオレの部屋までヤりにきたというのか?
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