乙女ゲームに転生したらチートだったけど平凡に生きたいのでとりあえず悪役令息付きの世話役になってみました。

おでかけ

21.人がいて良かった

簡単な魔法だったら精霊へ言霊を送る呪文を言えばだいたい通じる。

しかし、転送や治癒の魔法は具体的な精霊が居ないため術式が難しい。それに莫大な魔力を必要とする。

だから魔法陣を使うのだが――――








「っはぁ、はぁ、あとどれくらい歩くんですか！」


「ここらで街があるはずだ。そこまで歩くしかないだろう。」

フレドリックに野宿させる訳にはいかない。


「マルルー。降ろしていいよ。」

マルルにおぶさっていたフレドリックは尋ねる。

「ンンンんん、大丈夫です！ありがとうございます!!」

こいつMか？？？？


「もう少し行ったら俺が代わりますから。」

マルルのことを思って提案したのだが全力で断られた。





日が傾き始めた頃。



「あれ？」

道中馬に乗った10代半ばの少年に出会った。


「すみません。ここで1番近い街ってどこですか？」


イオが尋ねると少年は怪しげにこちらを見てきた。

「君たちは？」

「魔法陣で国境近くの町ダンカまで行こうとしたんですけど魔力が足りなくて、」



へぇ。と目を丸くした。


「あんた魔術士なんだ。それにしては若いし服装的にも……なにより髪が、、、」

すごいまじまじ見てくる。

「いいぜ。なんか面白そうだし。」

そう言って彼はにやりと笑った。





あれ？この顔どこかで見たことあるようなないような……？？