オーパーツ鑑定士の成り上がり 追放された最弱鑑定士、実は最強の魔力を持つ『超古代魔法』の鑑定士だった

静内燕

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8話 次の場所・かつての仲間

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「マスター、今回のダンジョン出現は、超古代魔術秘密の一端に過ぎない気がします」
 エルムが真剣な表情で言った。

「もっと多くの遺物を集めれば、マスターの力の全貌が分かるかもしれません」 
「だね。シュウ君の力って、すごい特殊だもん。初めて見たよ私」

「そうだな。俺も、自分の力がどこから来たのか知りたい」
 俺は頷いた。何しろ、今まで生きてきて一度も真の力を発揮できなかったほど。俺も、超古代について知らないことばかりだからだ。一体どんな力なのだろうか。

「それに、グラムたちにマスターの価値を見せつけてやりたいって気持ちもあります」
「それはどうも。けど、あいつらの事より、二人のことを考えたいかな。それとさ、何でそんなことがわかるの?」

「エルフたちのネットワークから聞いたんですよ。超古代のことについて」

 ネットワーク。噂には聞いていたけど本当に存在するのか。

 エルフたちは人間と寿命や体つきの差から人間達から差別を受けていた歴史がある。差別を受けている中でも生きていくことができるようエルフたちの中で独自の情報ネットワークがあるのだとか。

「ギルド何かで、情報交換を行うんですよ。自分たちが行った地域の情報などを」

「ああ。エルム、ギルドとかに行くとよくエルフたちと話してたよね。そんなことしてたんだ」


「それで、隣の国で新しいダンジョンがあるのですが──そのダンジョン。強い魔力があるのですが、その魔力の適性がある人がいないみたいなんです。もしかしたら、超古代魔術に関する力があるかもしれません」

「行ってみる価値は、ありそうだね」

 コーヒーを半分ほど飲んでアンネが言葉を返す。アンネも、興味津々といた感じだ。
 他に行く当てがあるわけでもない。そもそも、超古代の力について俺は全く知らないのだから。

「じゃあ決定。そこ行ってみよう。なんていうの?」

「アラオザルっていう名前なんです。ここから山をいくつか超えたところの隣の国にあります。森に囲まれた、人里離れた秘境地帯だと聞きました」

「隣国かぁ。行ったことないしいいね」

 アンネが笑顔で拳を握った。 こうして、俺達はそこに行くことになったのだ。






 旧パーティー
 グラム視点。


「ガイン。何やってんだよ!!」

「うるせぇグラム。もう戦えねぇのかよ」

 新しく入ったダンジョン「黒燿の迷宮」で、俺達は大苦戦を強いられていた。俺だけじゃない。仲間たちまで大きく魔力を削られ、息を荒げていた。
 何で、何でこんな状況になってるんだ? こんなはずじゃ……。

 昨日新加入したバカのせいなのか?
 確かに、特に考えもせずにダンジョンに入ったのは悪手だったかもしれねぇ……。



 ダンジョンの奥。相手は──闇の力を纏ったゴリラ。「ダークネス・コング」
 Bランク程度の実力があれば倒しきれるはずなのに──。

 大苦戦が続く。俺のせいじゃねぇ、俺は全力で戦ってる。後衛のせいでもある。あいつらが怠けてるせいだ。

「おいっ! 弱すぎだろ。もっと本気出せよセイル!!」

「出してるわよ。そっちこそ、さっきから攻撃がこっちまで来るじゃない」

 
 セイルとエレナも、新入りも大分攻撃を受けているせいか消耗しているのがわかる。
 確かに、攻撃が来てるけどよ。このくらい防げるだろ。

 何で仕留めきれねぇんだ? 今までだったらこんな敵ここで倒しきってるはずなのに。



 思い出す。ダンジョンに潜る前の俺達を。


「正義の剣」の俺達。

 勇者グラム、斧使いのガイン、僧侶のセイル、弓使いのエレナ。ダンジョンに併設しているにぎやかな居酒屋で話始める。

 俺達はシュレーダーの首を機に新たな挑戦を決意していた。
 新しい後衛「ドン」が加入。
 そして王都の郊外に突如出現した難関ダンジョン「黒燿の迷宮」、高ランクパーティーすら苦戦という危険な場所として知られていた。俺は鼻を鳴らし、仲間たちに言った。


「ゴミシュレーダーなんかいなくたって、俺たちだけで十分だ。このダンジョンを攻略して、俺たちが王国最強だって証明してやる!」
 ガインが豪快に笑い斧を肩に担ぐ。
「ああ。あの役立たずがいなくなって、動きやすくなったぜ!」
 セイルも頷き、静かに言った。その口調には、苛立ちがあった。
「シュレーダーの鑑定なんて、なくても問題ないわ。私たちなら十分よ。」

 エレナだけが、俯きながら小さく呟いた。
「でも、シュレーダーの鑑定、いつも助けてくれてたよね……。魔力を送ってくれたこと」

「何寝ごと言ってるんだよ。あんな役立たず。いなくなって清々したぜ」

「ああ。じゃあ行こうぜ──俺達なら負けねぇ」

 ガインの言うとおりだ。うるせぇよ。何がわかるんだよ!! あんな奴が役に立つはずねぇだろ。何で未練なんて残してるんだよ。

 エレナを睨みつけ、「そんな弱気なこと言うな! 行くぞ!」と一喝。エレナは震えながら頷く。


 俺達は黒燿の迷宮へと向かった。そして、衝動的にドンに叫ぶ。

「おい新入り、ぼさっとしてんじゃねぇ。行くっつってんだよ!!」

 エレナと同じくらいの小柄、フードをかぶって表情が見えねぇ。何考えてるかよくわからねぇやつだ。無口でわかんねぇやつだ。魔力が強い奴だと聞いたが、大丈夫なのかよ。

 見てろよシュレーダー絶対吠え面かかせてやるからよ!!

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