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9話 誤算・大苦戦
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王都の不安と噂黒燿の迷宮への出発前だってそうだった、俺たちはダンジョン前のホテルで準備を整えた。ホテルの掲示板には、迷宮の危険性を警告する張り紙が貼られ、他の冒険者たちの間で不安が広がり、噂話もちらほら。
「あのダンジョン、魔物の数が異常なんだ。Bランクのパーティが全滅したってよ……」
「しかもお宝もあんまりよくないみたいだし」
受付の女からも忠告された。
「グラム様、黒燿の迷宮は普通のダンジョンじゃありません。罠や魔物の魔力が複雑で数が多いです、新人との連携を大丈夫でしょうか。ずっと戦ってきた仲間を外したのは、ちょっと……」
思わずイラっと来て、思わずドンと衝動的に強く机を叩く。
「たかが受け付け女が何様のつもりだ。シュレーダーなんかいらねえ! 俺の聖剣とガインの斧があれば、どんな魔物もぶっ倒せる!」
「そうよ。私達を疑ってるの? 負けるはずないじゃない」
俺達は今までのフラストレーションをぶつけるがごとく女に怒鳴り散らした。女は恐怖を感じたのか慌てて何度か頭を下げる。
「も、も、申し訳ありませんでした」
「ただの受付がいっちょ前に命令してんじゃねぇよ」
そして机を蹴っ飛ばして外に出てダンジョンに入ったのだ。
それからも、困難は続く。
「黒燿の迷宮」
2階層に行くに所に存在したのは、黒曜石のような石でできた巨大な門。魔術陣が刻まれ、禍々しい魔力が漂っていた。
何をやってもあかない。
「仕方ねぇ、ぶっ壊す」
「それが手っ取り早い」
「待ってくれ。このダンジョンに仕掛けがあるかm……」
「うるせぇ新入りのくせに意見するんじゃねぇよ」
ガインが斧、俺が聖剣を振り、「こんな門、俺の剣でぶっ壊してやる!」と叫んで攻撃したが、剣は魔術陣に弾かれ、火花を散らした。
「くそっ、なんだこれ!?」ガインが斧を振り下ろすが、結果は同じ。
セイルが静かに言った。
「魔術陣の封印ね。特殊な技術が必要かもしれない……わ」
エレナが震える声で呟く。
「これ以前、シュレーダーが似たようなのを解除してたよね……」
ゴミの名前を聞いた瞬間俺の中にたまっていたイライラが爆発しそうになり、衝動的に睨みつけて叫んだ。
「黙れ! シュレーダーなんかいなくたって、俺たちでどうにでもなる!」
試行錯誤の末、セイルの魔法で魔術陣を弱め、他の四人が強引に攻撃して門を開くことに成功したが、四人の表情は重かった。
セイルが、大分消耗してしまったからだ。
「ごめん」
額を手で押さえ座り込むセイル。流石にセイルの加護なしではこっちも被害を受ける。
しばらく休出から最深部へと進んで行った。
その後も、何とかダンジョンを進んで行くが、やはり以前のようにうまくいかない。倒せると思って一撃を加えても倒しきれない。守れると思って耐えようとしても予想以上の攻撃を受けてしまう。
どうしてだ? それでも休息を挟み何とか最下層へ。
最下層へ進んだ俺達に闇の力を持った黒曜石を持つドラゴンだった。
戦う以外に道はない。ここでこいつを倒して、汚名を返上させてもらう。俺達の栄光を、再び取り戻してやる!
俺達はドラゴンと、戦闘を開始した。
Bランク冒険者すら一撃で屠る強敵。全身が黒曜石の鱗に覆われ、赤い目が炎のように輝き、咆哮が空間を震わせた。口から吐き出される黒い炎は、岩を溶かすほどの威力だった。
「こいつ……やばいぞ!」
ガインが斧を構えたが、声が震えていた。
「グラム、どうする!?」
「行くしかねぇ。俺達ならできる。行くぞ」
そうだ。ここまできて逃げるわけには行かねぇ。ドラゴンが再び口から炎を吐いてきた。こいつを耐えてから、飛び上がってドラゴンを切断してやる。
攻撃を耐えるためセイルが聖なる結界を張ったが、ドラゴンの一撃で結界がひび割れた。こいつの結界、こんなに弱かったか?
「役立たずども。俺の剣でぶった斬る!」
仕方なく俺は再突撃。聖剣を振り上げ、と突進したが、ドラゴンの鱗は硬く、剣が弾かれた。
黒い炎が襲ってくる。急いで右に転がって回避したが、鎧が焦げ──悶絶するような痛みが全身を襲う。
のたうち回る中、周囲に視線を向けた。何で援護してくれねぇんだよ。
「弱点が分からない……! 普通に撃っても効かない」
エレナが氷状の砲撃を放つが、砲撃は鱗に弾かれ、ドラゴンの注意を引くだけだった。ドラゴンの尾が振り下ろされ、直撃。エレナは吹き飛ばされる。
「エレナ!」
セイルが回復魔法をかけようとしたが、ドラゴンの爪が迫り、詠唱が中断。ガインが前に入って斧で尾を叩いたが、逆に弾き返され、壁に叩きつけられた。
「くそっ……なんでこんな強いんだ!?」
自然と声に焦りが滲む。
だが、ただ力任せに戦うしかなかった。ドラゴンが黒い炎を吐き、部屋が炎に包まれた。グラムが聖剣で炎を切り裂き、叫んだ。
「みんな、持ちこたえろ! なんとかして倒す!」
だが、セイルが叫び返した。
「グラム、無理よ! せめて弱点が分からないと、私たちの攻撃じゃ効かない!」
確かに、新入りも槍を持って何とか健闘しているが、有効打を与えられていない。このままではじり貧だ。
歯ぎしりをしながら、撤退という選択を決断。
セイルとエレナに最後の力を使って大爆発を起こさせた。
粉塵の中、ドラゴンも視界を失ったのかこっちまで手出しはしてこない。
そして俺たちはそのスキに逃げ出す。
帰ったら、また「オワコン」とか「栄光のターンエンド」とか馬鹿にされるんだろうな。
待ってくれ、俺は悪くねぇ。何でこんなみじめな思いをしなきゃいけねぇんだよ。
ザコ仲間のせいだ。クソ……。使えねぇ。
「あのダンジョン、魔物の数が異常なんだ。Bランクのパーティが全滅したってよ……」
「しかもお宝もあんまりよくないみたいだし」
受付の女からも忠告された。
「グラム様、黒燿の迷宮は普通のダンジョンじゃありません。罠や魔物の魔力が複雑で数が多いです、新人との連携を大丈夫でしょうか。ずっと戦ってきた仲間を外したのは、ちょっと……」
思わずイラっと来て、思わずドンと衝動的に強く机を叩く。
「たかが受け付け女が何様のつもりだ。シュレーダーなんかいらねえ! 俺の聖剣とガインの斧があれば、どんな魔物もぶっ倒せる!」
「そうよ。私達を疑ってるの? 負けるはずないじゃない」
俺達は今までのフラストレーションをぶつけるがごとく女に怒鳴り散らした。女は恐怖を感じたのか慌てて何度か頭を下げる。
「も、も、申し訳ありませんでした」
「ただの受付がいっちょ前に命令してんじゃねぇよ」
そして机を蹴っ飛ばして外に出てダンジョンに入ったのだ。
それからも、困難は続く。
「黒燿の迷宮」
2階層に行くに所に存在したのは、黒曜石のような石でできた巨大な門。魔術陣が刻まれ、禍々しい魔力が漂っていた。
何をやってもあかない。
「仕方ねぇ、ぶっ壊す」
「それが手っ取り早い」
「待ってくれ。このダンジョンに仕掛けがあるかm……」
「うるせぇ新入りのくせに意見するんじゃねぇよ」
ガインが斧、俺が聖剣を振り、「こんな門、俺の剣でぶっ壊してやる!」と叫んで攻撃したが、剣は魔術陣に弾かれ、火花を散らした。
「くそっ、なんだこれ!?」ガインが斧を振り下ろすが、結果は同じ。
セイルが静かに言った。
「魔術陣の封印ね。特殊な技術が必要かもしれない……わ」
エレナが震える声で呟く。
「これ以前、シュレーダーが似たようなのを解除してたよね……」
ゴミの名前を聞いた瞬間俺の中にたまっていたイライラが爆発しそうになり、衝動的に睨みつけて叫んだ。
「黙れ! シュレーダーなんかいなくたって、俺たちでどうにでもなる!」
試行錯誤の末、セイルの魔法で魔術陣を弱め、他の四人が強引に攻撃して門を開くことに成功したが、四人の表情は重かった。
セイルが、大分消耗してしまったからだ。
「ごめん」
額を手で押さえ座り込むセイル。流石にセイルの加護なしではこっちも被害を受ける。
しばらく休出から最深部へと進んで行った。
その後も、何とかダンジョンを進んで行くが、やはり以前のようにうまくいかない。倒せると思って一撃を加えても倒しきれない。守れると思って耐えようとしても予想以上の攻撃を受けてしまう。
どうしてだ? それでも休息を挟み何とか最下層へ。
最下層へ進んだ俺達に闇の力を持った黒曜石を持つドラゴンだった。
戦う以外に道はない。ここでこいつを倒して、汚名を返上させてもらう。俺達の栄光を、再び取り戻してやる!
俺達はドラゴンと、戦闘を開始した。
Bランク冒険者すら一撃で屠る強敵。全身が黒曜石の鱗に覆われ、赤い目が炎のように輝き、咆哮が空間を震わせた。口から吐き出される黒い炎は、岩を溶かすほどの威力だった。
「こいつ……やばいぞ!」
ガインが斧を構えたが、声が震えていた。
「グラム、どうする!?」
「行くしかねぇ。俺達ならできる。行くぞ」
そうだ。ここまできて逃げるわけには行かねぇ。ドラゴンが再び口から炎を吐いてきた。こいつを耐えてから、飛び上がってドラゴンを切断してやる。
攻撃を耐えるためセイルが聖なる結界を張ったが、ドラゴンの一撃で結界がひび割れた。こいつの結界、こんなに弱かったか?
「役立たずども。俺の剣でぶった斬る!」
仕方なく俺は再突撃。聖剣を振り上げ、と突進したが、ドラゴンの鱗は硬く、剣が弾かれた。
黒い炎が襲ってくる。急いで右に転がって回避したが、鎧が焦げ──悶絶するような痛みが全身を襲う。
のたうち回る中、周囲に視線を向けた。何で援護してくれねぇんだよ。
「弱点が分からない……! 普通に撃っても効かない」
エレナが氷状の砲撃を放つが、砲撃は鱗に弾かれ、ドラゴンの注意を引くだけだった。ドラゴンの尾が振り下ろされ、直撃。エレナは吹き飛ばされる。
「エレナ!」
セイルが回復魔法をかけようとしたが、ドラゴンの爪が迫り、詠唱が中断。ガインが前に入って斧で尾を叩いたが、逆に弾き返され、壁に叩きつけられた。
「くそっ……なんでこんな強いんだ!?」
自然と声に焦りが滲む。
だが、ただ力任せに戦うしかなかった。ドラゴンが黒い炎を吐き、部屋が炎に包まれた。グラムが聖剣で炎を切り裂き、叫んだ。
「みんな、持ちこたえろ! なんとかして倒す!」
だが、セイルが叫び返した。
「グラム、無理よ! せめて弱点が分からないと、私たちの攻撃じゃ効かない!」
確かに、新入りも槍を持って何とか健闘しているが、有効打を与えられていない。このままではじり貧だ。
歯ぎしりをしながら、撤退という選択を決断。
セイルとエレナに最後の力を使って大爆発を起こさせた。
粉塵の中、ドラゴンも視界を失ったのかこっちまで手出しはしてこない。
そして俺たちはそのスキに逃げ出す。
帰ったら、また「オワコン」とか「栄光のターンエンド」とか馬鹿にされるんだろうな。
待ってくれ、俺は悪くねぇ。何でこんなみじめな思いをしなきゃいけねぇんだよ。
ザコ仲間のせいだ。クソ……。使えねぇ。
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