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11話 三人で過ごす一夜
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食事を終えて、自分たちの部屋に戻る。静けさに包まれる夜遠くでフクロウの鳴き声が響き、三人の心を落ち着かせた。
満天の星が光を放ち、俺達を照らす中。俺達は明かりを消して、それぞれベッドに横たわる。
「本当に、ベッドでいいの? 床でもいいよ」
「いいですよ。それとも私たちと一緒に寝たいですか?」
「う~~ん、シュウ君はいい人だなって思ってるけど、そういうことはまだ早いかも」
「ちょ、ちょっとまって」
アンネのイタズラみたいな言葉に、思わずフリーズする。
「ほら。ベッド俺は一人で使ってるけど。アンネとエルムは二人で一つじゃん」
この部屋、元々二人用だったらしくベッドが二つしかない。男女で一緒にベッドに寝るわけにもいかないし、それなら俺は床に寝てベッドは二人に。
ベッドが足りない時、一番低ランクだった俺が床に寝かされるのは今までもよくあったこと。
しかし二人は強く(特にアンネは頬をぷっくらと膨らませて)反発た。せっかく一緒に冒険することになったのに俺だけ木の床なんてあり得ないと強く押してきた。
予想しなかった行動に驚いて、どうしようもなくその提案を飲んでしまった。
流石に俺と一緒のベッドというわけにもいかず俺一人のベッドという事になってしまったのだ。
俺は何度か断ろうとしましたが、アンネまで強く押してきてこうなってしまった。罪悪感を感じるな。しかし、ここまで大切にされるなんてなかったな。逆にびっくりしてしまった。
そして、エルムがベッドから視線を向け優しい笑みを向けてきた。まるで女神か何かのような、美しさを感じさせる笑み。思わず驚いて見入ってしまった。
「どうです? 私たちと過ごす時間は。やっぱり物足りないですか?」
「そ、そんなことないよ。いつも大切にしてくれて、本当にいい時間だと思ってる。さいこうだよ」
「その言葉が聞けて何よりです。そう言っていただけるとこっちも嬉しいですし、これからも一緒にいたいなって思えます」
その言葉で、後ろにいたアンネが身を起こしてこっちを見てくる。
「ごめん、寝たい?」
「ううん。まあ、眠いけどもうちょっと話したいかな?」
アンネが軽くあくびをする。やっぱり、ずっと移動していただけあって眠いのかな? できるだけ早く寝たほうがいいな。
「いいよ」
「えーとさ、シュウ君が私たちと一緒に行動する前、そこまでひどい扱いだったの?」
「まあね」
「ちょっとさ、シュウ君の声までの事、知りたいな。もちろん無理にとは言わないよ。けどさ、せっかく一緒に行動することになったんだし、いいかな?」
その言葉で、表情が一瞬曇る。グラムの冷たい言葉――「役立たず」「疫病神」――が脳裏をよぎったからだ。だが、エルムとアンネの温かい視線に背中を押され、ゆっくり話し始めた。
「幼馴染のグラムと一緒に冒険者になったんだ。小さい頃、二人で『一緒に最強のパーティーのなる』って約束してた。グラムは勇者として才能を開花させて、正義の剣ってパーティを組んだ。俺は戦闘力ゼロだったけど、鑑定士として支えてた。
いろいろな場所で遺物や魔物の弱点を見抜いて、何度もピンチを救った……つもりだった」
今までの言葉を話していると、思わず声が低くなる。
「だが、グラムは俺を『足手まとい』って切り捨てた。俺の力なんてなくてもダンジョン攻略だと思っていたんだろう。ガインやセイルも賛同して、エレナだけは反対してくれたけど……結局、俺は追放された。あの時のグラムの目、忘れられないよ。まるでゴミを見るような、何の価値もないみたいだった」
部屋に重い沈黙つつみ、二人は言葉を失った。窓から夜空の星が作る光を差し出している。まるで俺の心を映すように瞬いていた。 エルムがそっと俺の手を握る。
「マスター、つらい思いをしていたんですね。マスターは何も間違っていないですよ。だって私見ましたよ。マスターの力でただの意思が力になるのを。ただの鑑定術じゃない。超古代魔術の力……私、初めて見た時、鳥肌が立ちましたよ。」
アンネが起き上がり、力強く頷いた。
「そうだよ! シュウ君の強さは本物だよ。私達が上手く行ってるのだってシュウ君のおかげだよ。それに、行動中ずっと私たちの事気遣ってくれてるし」
「分かります。今までも私たちのこと、よく見ていてくれますし」
「まあ、こっちから気付かないと『気が利かない無能』とかよく言われるからね」
確かに、今まで思い返してみれば二人のことをよく見ていたなとか。二人が疲労の色を見せれば休憩を挟んだり、戦うときは二人の行動を見て少しでも戦いやすいようにしたり。
自分でも気づかないうちに、周囲をよく見ることが常態化していたんだと思う。
エルムが起き上がり、優しく言った。
「一緒に行動して、マスターがとてもいい人だというのがわかりました。これからも、
「ありがとう、エルム。なんか、こうやって三人でいるの、初めてだな」
アンネが寝転がったまま笑う。にっこりとした明るさと優しさを感じる笑みだ。こっちもこれから頑張ろうって気持ちになれる。
「そうだね。いつもなら戦闘の話ばっかだけど、こうやってゆっくり話すのも悪くないかな」
「ありがとう。とても気持ちが落ち着いたよ」
「こっちも、マスターのことを良く知るきっかけになりました。また明日から、よろしくお願いいたします」
「こっちこそよろしく」
そして俺達は、一夜を過ごした。色々と話すことが出来ていい時間だった。明日からも、大変なこともあるけど二人の力になりたい。
満天の星が光を放ち、俺達を照らす中。俺達は明かりを消して、それぞれベッドに横たわる。
「本当に、ベッドでいいの? 床でもいいよ」
「いいですよ。それとも私たちと一緒に寝たいですか?」
「う~~ん、シュウ君はいい人だなって思ってるけど、そういうことはまだ早いかも」
「ちょ、ちょっとまって」
アンネのイタズラみたいな言葉に、思わずフリーズする。
「ほら。ベッド俺は一人で使ってるけど。アンネとエルムは二人で一つじゃん」
この部屋、元々二人用だったらしくベッドが二つしかない。男女で一緒にベッドに寝るわけにもいかないし、それなら俺は床に寝てベッドは二人に。
ベッドが足りない時、一番低ランクだった俺が床に寝かされるのは今までもよくあったこと。
しかし二人は強く(特にアンネは頬をぷっくらと膨らませて)反発た。せっかく一緒に冒険することになったのに俺だけ木の床なんてあり得ないと強く押してきた。
予想しなかった行動に驚いて、どうしようもなくその提案を飲んでしまった。
流石に俺と一緒のベッドというわけにもいかず俺一人のベッドという事になってしまったのだ。
俺は何度か断ろうとしましたが、アンネまで強く押してきてこうなってしまった。罪悪感を感じるな。しかし、ここまで大切にされるなんてなかったな。逆にびっくりしてしまった。
そして、エルムがベッドから視線を向け優しい笑みを向けてきた。まるで女神か何かのような、美しさを感じさせる笑み。思わず驚いて見入ってしまった。
「どうです? 私たちと過ごす時間は。やっぱり物足りないですか?」
「そ、そんなことないよ。いつも大切にしてくれて、本当にいい時間だと思ってる。さいこうだよ」
「その言葉が聞けて何よりです。そう言っていただけるとこっちも嬉しいですし、これからも一緒にいたいなって思えます」
その言葉で、後ろにいたアンネが身を起こしてこっちを見てくる。
「ごめん、寝たい?」
「ううん。まあ、眠いけどもうちょっと話したいかな?」
アンネが軽くあくびをする。やっぱり、ずっと移動していただけあって眠いのかな? できるだけ早く寝たほうがいいな。
「いいよ」
「えーとさ、シュウ君が私たちと一緒に行動する前、そこまでひどい扱いだったの?」
「まあね」
「ちょっとさ、シュウ君の声までの事、知りたいな。もちろん無理にとは言わないよ。けどさ、せっかく一緒に行動することになったんだし、いいかな?」
その言葉で、表情が一瞬曇る。グラムの冷たい言葉――「役立たず」「疫病神」――が脳裏をよぎったからだ。だが、エルムとアンネの温かい視線に背中を押され、ゆっくり話し始めた。
「幼馴染のグラムと一緒に冒険者になったんだ。小さい頃、二人で『一緒に最強のパーティーのなる』って約束してた。グラムは勇者として才能を開花させて、正義の剣ってパーティを組んだ。俺は戦闘力ゼロだったけど、鑑定士として支えてた。
いろいろな場所で遺物や魔物の弱点を見抜いて、何度もピンチを救った……つもりだった」
今までの言葉を話していると、思わず声が低くなる。
「だが、グラムは俺を『足手まとい』って切り捨てた。俺の力なんてなくてもダンジョン攻略だと思っていたんだろう。ガインやセイルも賛同して、エレナだけは反対してくれたけど……結局、俺は追放された。あの時のグラムの目、忘れられないよ。まるでゴミを見るような、何の価値もないみたいだった」
部屋に重い沈黙つつみ、二人は言葉を失った。窓から夜空の星が作る光を差し出している。まるで俺の心を映すように瞬いていた。 エルムがそっと俺の手を握る。
「マスター、つらい思いをしていたんですね。マスターは何も間違っていないですよ。だって私見ましたよ。マスターの力でただの意思が力になるのを。ただの鑑定術じゃない。超古代魔術の力……私、初めて見た時、鳥肌が立ちましたよ。」
アンネが起き上がり、力強く頷いた。
「そうだよ! シュウ君の強さは本物だよ。私達が上手く行ってるのだってシュウ君のおかげだよ。それに、行動中ずっと私たちの事気遣ってくれてるし」
「分かります。今までも私たちのこと、よく見ていてくれますし」
「まあ、こっちから気付かないと『気が利かない無能』とかよく言われるからね」
確かに、今まで思い返してみれば二人のことをよく見ていたなとか。二人が疲労の色を見せれば休憩を挟んだり、戦うときは二人の行動を見て少しでも戦いやすいようにしたり。
自分でも気づかないうちに、周囲をよく見ることが常態化していたんだと思う。
エルムが起き上がり、優しく言った。
「一緒に行動して、マスターがとてもいい人だというのがわかりました。これからも、
「ありがとう、エルム。なんか、こうやって三人でいるの、初めてだな」
アンネが寝転がったまま笑う。にっこりとした明るさと優しさを感じる笑みだ。こっちもこれから頑張ろうって気持ちになれる。
「そうだね。いつもなら戦闘の話ばっかだけど、こうやってゆっくり話すのも悪くないかな」
「ありがとう。とても気持ちが落ち着いたよ」
「こっちも、マスターのことを良く知るきっかけになりました。また明日から、よろしくお願いいたします」
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