マジックアイテム「すま~ほ」異世界だって稼ぎます!

八木小町

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第三章 エスケープ・エスケープ

27  えっさほいさの里

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 まだまだ、話したい事がー!!と、またしても画面に食らいついてくるナンシーを振り切り、タイGOからログオフした。

 えらいことになった…

「えー…どうしよう、そんなにすごいの?えっさほいさに野菜作りを止めてもらう?」

 野菜作りを止めてもらい、えっさほいさを帰すことを想像したが…泣かれる未来しか浮かばない。泣かれるのはなぁ~…う~ん。

「野菜を送るのを止めてもらう…もう使用料とかいらないよ。はありなのか…?う~ん。直接聞いてみるしかないか?」

 考えても答えが出てこず…とりあえず、えっさほいさに会いに行く事にした。

「マリン~、出かけるよ~。一緒にくる??」

『いくー!!アイリー待ってー』

 砂浜で遊んでいたマリンに声をかけると、急いで戻ってくるのが見えた。
 砂だらけの体を手で払ってやると、『えへへ~いつもと反対だね。』とはにかんだ。可愛いかよ。

『どこ行くの?』

「えっさほいさのところ」

『えっさほいさ!一緒にあそぶ!』

 私も、なにも考えず…一緒に遊んでいたいよ。ウキウキとしっぽを揺らすマリンを見ながら、先の事を考えると憂鬱だった。


 一一一一一一

 さてやって来た、えっさほいさの畑~って…

「……は?はーー!!??なんだこれー!?」

 なにもない場所だった、滝からちょっと脇にそれたちょっと開けた平坦な土地だったはず…数日ぶりにやって来た畑は、もはや畑ではなく村…いや規模的に里?えっさほいさの里になっていた。

 しかも。畑と水田の両方がある…

 まぁ、なんということでしょう。滝から流れた小川から引かれた水は溜め池へ。溜め池からそれぞれ引かれた水路を通り水田へ流れていく立派な潅漑かんがい設備。

 水路には橋がかかり、道は歩きやすいよう舗装されている。

 約30センチほどだった、スギの木モドキは約100センチまで育ち、所々の枝に洗濯物やブランコがかけられ、休憩時間も楽しそう。

 休憩所のような東屋。野菜の加工場。皆で食べるための大きな鍋。

 匠の技によって、生まれ変わりました!というナレーションが聞こえてくるようだった。

 
 

 え?たった数日ですよね…まじですか?…。


 一一一一一

 立ったまま呆然としていると、いつの間にかマリンがジジを連れてきた。

『ペッペヨー!』右手を軽く上げて挨拶してくれている…

「久しぶり…ジジ、里?村?立派になったね、驚いたよ…」

『ペヨペヨ~』体をくねらせて、どうやら照れている。それほどでも~って感じか?


 どうしよう…これ。
 やっぱり止めて、国にお帰りください。なんて言っていいのだろうか…


『ペッペヨ、ペッぺ!』

 今後の事を考えて退去のお願いをするべきか考えていると、ジジに呼ばれたようで下を見ると

 手招いて、私に着いてこいと言っているようだった。

「どこいくの?」

 呼ばれるまま後をついていくと、あの育ったスギの木モドキの前まで連れてこられ、回り込み木の後ろに案内された。

 そこは…

「なんか、家あるんですけどー!!」

 嘘でしょー

 スギの木モドキの裏側はなんと居住区になっており、小さい木の家がたくさん並んでいた。


「ジジ!こっこれは一体?あなた達スギの木モドキから、普段里に帰ってるんじゃないの?」


 質問に少し首をかしげると、正面の扉から出てきた、別のえっさほいさを指差した。


 サイズの違う3人のえっさほいさが手製のリヤカーを引いている…そのまま見守っていると、3人はひとつの家の前にたどり着き、リヤカーに乗せていた荷物を下ろし始めた…

 これは…もしかして、引っ越しでは?


「えーーー!!移住!?まさか、ここに里ごと移住してきたの!?」


『ペヨ!』自分の後頭部に手を当てて撫でている…そうなんですよ~えへへ。ってか


 ・・・・・

 もう、引き返せない所まで来ている…帰ってください。なんて言える訳ないところまで来ちゃってる~………。

 えへへ~と頭をかくジジとの間に、乾いた風が吹いた。



 こうなったら!腹をくくるんだアイリ!女だろ!えっさほいさのひとりやふたり、里だろうが、村だろうがどんと発展させたらいいさ!

 神気耐性の野菜だろうが、なんだろうが育てなさいよ!あとはナンシーがなんとかしてくれる!(全部ナンシーに丸投げしよ)


 帰ってもらうか、貸し出し使用料無し、など色々考えてここまで来たけれど
 想定外の移住までしてきちゃってるし…ここで帰れ!なんて非道なマネできないし。
 使用料だって、高く売れるなら売っといた方がやっぱりお金は必要だし。使用料あった方がえっさほいさも居やすいでしょ。そうだ!そうに違いない!そうしよう!

 もはや。やけくそになったアイリだった。

 ───────

「ジジ、いつも野菜ありがとう!今日は野菜のお礼となにか手伝える事ないかな~と思って来てみたよ!」

 アイリは異世界に来て、切り替えが早くなった。

『ぺ?ペヨぺぺ!』ちょっとびっくりしたようで、目を丸くし、そのあと頭を下げた。
 え?いいの?ありがとう!かな~

「いいよ~任せてよ!」

 腕まくりをして、まずは収穫の手伝いからやってやろうじゃない!


 そのまま、マリンと一緒に野菜の収穫を手伝い肥料を混ぜたりして泥だらけになりながらも忙しく、楽しく過ごした。

 日も暮れてきた頃、辺りにいい匂いが漂ってきた。

「なになに?なんかいい匂いするんだけど~」
 とたんに、ぐー、とお腹が鳴った。

 お腹に手を当てて抑えるも、止まらなかった…

 ぐー。ぐるるる~。恥ずかしい…夕日でわからないけど。たぶん顔が赤くなっている。

『マリンもおなかぐるぐる~』
 マリンも真似をしてお腹に手を当てている。


『ペッぺ~』大きなお玉を持った、えっさほいさが呼んでいる。どうやらご飯を作ってくれたようだった。

「ご飯~??やったー!!ありがとうー!」

 木の器に入った、いい匂いのする野菜たくさんのスープを受け取り食べる。

「うま~い!!なにこれめちゃくちゃ美味しい!」

『ペッペヨ~』頭をかいて、照れながらおかわりを進めてくる。

「ありがとうー!!料理上手だね!」
『うまうま!』マリンもガツガツ食べている。私が作ったご飯。そんな食べ方したことないよね…


 思わず、マリンをじとーっと見てしまったが。マリンはこちらの視線に気づかなかった…


 スプーンですくった具材を何気なく見ると、あ!この前もらって、生のままかじって苦かったやつだ!と気づいた。
 火を通して食べるやつだったか…

 やっぱり、料理勉強しないとダメかも…

 ひそかに、料理を勉強する事を誓っていると、ひとりのえっさほいさが、皆の中心に出てきた。

 なんだろう??

『ペッペッぺ~♪ぺぺ~』

 これは…歌?えっさほいさって歌うの?片手を胸に手を当てて、もう片方の手は大きく開いている。

 うまいじゃん!

「あはは!すごーい!」

 手拍子すると、周りのえっさほいさ達も同じく歌いだし、踊り出すのもいた。

『マリンも~』

 マリンも混ざって踊り出し、異世界生活何十日を超えて初めての宴会にこの日は夜まで楽しんだ。




 今日、何しに来たんだっけ~

 まぁ、なんとかなるよね~。きっと


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