【R18】敵対する侯爵子息と禁断の恋に落ちた侯爵令嬢は、神聖な教会で背徳の愛撫にあえかな吐息を漏らす

奏音 美都

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敵対する侯爵子息と禁断の恋に落ちた侯爵令嬢は、神聖な教会で背徳の愛撫にあえかな吐息を漏らす

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 すると、今度はルノが祭壇へ横たわる。

「シャル、きて?」
「ッッ」

 脱がされるのは恥ずかしいって思ってたけど……脱がす方がよっぽど恥ずかしいかも。

 見下ろすとそこには、端正な顔立ちをしたルノの姿がある。

 でも……
 見て、みたい。ルノの、全てを。

 ゴクリと喉を鳴らすと、決意してルノの足元へ両膝をついた。ブーツとソックスを丁寧に脱がせていく。その間、ルノの視線を感じて胸が高鳴り、手が震えてしまう。

 次に胸元へと近付き、美しい装飾の施されたジュストコール(コート)へと手を伸ばす。ボタンを外そうとするものの、手が震えているためうまく外せない。

 ど、どうしよう……

 すると、ルノの一回り大きい手が私の手を優しく包みこむ。

「シャル、力抜いて?」

 気がつかないうちに、余計な力が入ってたみたい。

 ルノの手に包み込んでもらううちに少しずつ落ち着きを取り戻し、指の震えが収まってきた。

「ありがとう、ルノ」

 嬉しくなってにっこりと微笑むと、ルノの頬が僅かに赤く染まる。

「君の笑顔は、目の毒だな」

 小さく呟くその声は、私には届かなかった。

 何とか全てのボタンを外し終えてジュストコールを脱がせると、ジレ(ベスト)、そしてシャツと続く。シャツのボタンを外し、左右に開いた途端、ルノの胸板が覗く。

 ルノの胸板、逞しい……

 細身なのに腹筋が6つに割れていて、美しい筋肉のラインが浮き出ている。

 普段恥ずかしくてじっくりと見ない、彼の細いけれど鍛え抜かれた逞しい躰を目の前にして、私の熱が急速に温度を上げていく。

 私、この胸にいつも抱かれてるんだ。

 白い陶器のような肌とは対照的な、硬く引き締まった躰に欲情を覚え、導かれるように指を這わす。胸板から腹筋の割れた縦の線をなぞると、ルノの躰がぴくっと揺れた。

 ハッと気付き、途端に顔が羞恥で真っ赤に染まる。

「ご、ごめん……なさい」

 私、何てことを。

 恥ずかしくて目を合わすことが出来ずに顔を背けていると、ルノの手が私の腕をギュッと掴んだ。

「シャル、君になら何をされても構わない。俺の全てを暴いて?」

 もう、引き返せない。

「う、ん。わかっ、た……」

 掠れた声で答える。

 ルノの方へと向き直り、シャツに手を掛ける。白く滑らかな肌を上質な布がするりと滑っていく。

 彼の躰がステンドグラスを通して月の光の元に晒される。

「綺麗」

 思わず呟く私に、

「シャルに、綺麗って言われるのは心外だな。綺麗という言葉は、君を表現するためにあるものだ」

 そう言って眉を顰めるルノに、思わず笑みが浮かぶ。

 真面目な顔して、そんなこと言うなんて。

 シャツの腰回りにはベルトが二重に巻かれ、そこには短剣が差してあった。シルバーの細かく繊細な細工がほどこしてあるそれを見て、その美しさに思わず感嘆の息が溢れる。

「綺麗……」
「あぁ……それは、ギュエスター侯爵家の紋章だ」

 その途端、頭から水を被せられたように、すっと現実へと引き戻された。

 盾や鞘には必ずと言っていいほど紋章が入っている。

 ルノの紋章は、ギュエスター家当主である父親の紋章に少し手を加えた形になっていた。これは、同じ紋章のものは2つあってはならないという決まりがあるからであるが、似た紋章を有することにより、彼が父の継承者であることを示しており、父親の死後は父の紋章を継承することを表している。

 ソフィアーノ地方の二大勢力貴族である、王侯派であるギュエスター侯爵家と法皇派であるモンタナ侯爵家。

 ルノワール=ギュエスター4世はギュエスター侯爵家の次期当主。一方の私、シャルロット=モンタナは、モンタナ侯爵家の令嬢として今年デビュタントとして社交界デビューし、クラスター伯爵家次期当主との婚姻話が持ち上がっているところだ。

 敵対する貴族の身内として、二人が恋人であることは誰にも言えない、許されざる関係にあった。

「こんな、ところにも……ルノが、ギュエスター侯爵家である印が刻まれてるんだね……」

 切ない気持ちが、胸を締め付ける。
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