<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

文字の大きさ
456 / 1,014
復讐の誓い ー久美回想ー

21

しおりを挟む
 大学に入学したら、大学生活を楽しもうと私は心に決めていた。

 レイプされたぐらいで、自分の一生を棒に振るなんて馬鹿げてる。私は、負けない。あんなことぐらい、なんてことない。

 そう言い聞かせて、明るく、いつでも笑顔でいるよう心がけた。友達を作ろう、彼氏だって作って、嫌なことはもう忘れるんだって思った。

 大学生活に馴染もうと、必死だった。女友達は次第に出来てきて、それなりに大学生活も楽しくなってきた。

 けど男性に対しては、以前のように接することが出来なくなっていた。

 こんなんじゃ、ダメだ。これじゃ、遠沢のために私の人生がめちゃくちゃにされたって肯定することになっちゃう。

 彼氏を作って、あんなこと何でもなかったって証明したいのに。男性の前だと、構えすぎて変に緊張してしまう自分がいた。

 媚びた笑いを見せ、明るい自分を演じようとしてしまう。
 好かれようと、本当の自分以上の自分を見せようとしてしまう。
 
 そうすることで、愛される自分、優しくされる自分になろうと無意識のうちにしていたのかもしれない。

 そんな私に、

『ねぇ、久美さ。もっと肩の力抜いて自然に笑ってみな?』

 そう言ってくれたのが、礼音だった。

『え?』

 私は驚いて目を瞠り、礼音をじっと見つめた。だって、礼音に話しかけられたのは、その時が初めてだったから。

 同じ商学部ではあったけど、綺麗な容姿で常に最先端のファッションを身に纏った礼音はいつも女の子に囲まれていて、華やかな雰囲気を醸し出していた。地味でなんの取り柄もない私と接点なんて、あるはずなかった。
 
 いきなり話しかけられたこともだけど、名前を知っていて、呼び捨てにされたことにもビックリだった。けど、それがなぜか、全然嫌じゃなかった。むしろ、親しみを込めて呼んでくれてる気がして......すごく、嬉しかった。

『私のこと......知ってたんだ』

 独り言のように呟く。それは、単に私という存在を知っていたというだけでなく、私の内面をも知ってくれていたという意味でもあった。

 礼音が、爽やかな笑顔を私に向けた。太陽の光を浴びて燦めく礼音は、キラキラと全てが輝いて見えた。

『藤井 久美、でしょ? 俺と同じ「藤」がつく女の子だーっ!て思った。
 無理して笑うのってさ、笑顔でいても心は辛いっしょ。笑いたい時笑って、それが心からの笑顔だったらさ、久美はもっともっと可愛くなれると思うよ』

 そう言うと、礼音は「じゃあね!」と手を振り、風のように去って行った。礼音が視界から消えてしまっても、私の目は礼音を追いかけ続け、胸のドキドキは収まることがなかった。

 礼音の笑顔を見ただけで、今までの嫌なことが全て忘れられる気がした。

 あの笑顔が、特別な笑顔じゃないってことは分かってる。きっと、たくさんの女の子に向けられているであろうことも。あの言葉だって、私にとっては忘れられない言葉だけど、礼音にとっては他愛ない会話のひとつでしかないかもしれない。

 それでも......私は礼音から目を離すことが出来ず、彼のことを毎日考えずにはいられなかった。

 彼の前で、自然に笑える女の子になりたい。そして、いつかあの笑顔を私だけに向けてもらえるようになれたら......

 そんな願いを、いつしか胸の奥に抱くようになっていた。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

処理中です...