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22ケネト殿下に話を聞く
しおりを挟むそこに騎士隊員がケネトの取り調べをするからとレオルカを呼びに来た。
「キャサリン様悪いが後程事情を詳しく聞かせてもらう。ブルーノ、君は一緒には連れて行けない。ここからはキャサリン様だけに同行してもらう。いいですね?キャサリン様」
「わかったわよ。行けばいいんでしょう。まったくケネトったら余計な事をするんだから…事情を話したら帰らせてもらうわよ。私王宮を出るつもりだから」
キャサリンはそう言うとレオルカについて行った。
キャサリンは別室で待たせて先にケネトの取り調べを行う事になった。
ケネトは取り調べを行う部屋に連れて行かれる。
「おい、事情は説明したはずだぞ。俺はこんな扱いを受けるなんておかしいだろう?」
そう文句を言った。
そこにレオルカが入って来た。
「まあまあ、ケネト殿下。いくら王子でも一人の女性にけがを負わせたんです。事情を聞くのは当たり前でしょう?さあ、すべて話してください。時間はたっぷりありますから」
ケネトはふてくされたように右ほおに頬杖をついて話を始めた。
「もともと俺はクワイエス侯爵家のアンリエッタと婚約していた。だが、2年の時に学園にキャサリンが入って来た。キャサリンは何かと俺のそばに寄りついてそのうち気さくで可愛いと思うようになった。アンリエッタとは婚約はしていたがあまり親しく付き合っていたわけではなかった。俺はキャサリンと昼食を取るようになりその距離は縮まって行った。そしてアンリエッタと婚約を解消してキャサリンと婚約した。俺はもちろんキャサリンと結婚するつもりだった。そのためにキャサリンの父親が困っていると言えば支援もしたし騎士隊に入って…王位継承権を破棄したのだってバルブロ男爵家に金を用立てるためだった。そうやってキャサリンのためなら何でもして来た。騎士隊員としてやって行けそうで結婚しようとキャサリンに言った。するとキャサリンがルーズベリー教会で君たちが結婚式を挙げるらしいと聞いて来たんだ。キャサリンはあの教会で式を挙げたいと言っていたからそれは悔しがって、エルディに嫌がらせをしたと聞いたときは驚いた。おまけに脅迫状を送ったとも…」
そこまで話すとケネトは大きくため息を吐いた。
「やっぱりキャサリンの仕業だったんだな。それで?」
「俺はキャサリンをしかった。そんな事をして何を考えているんだってキャサリンを止めた」
「ああ、そう言えばあれからは何も起こらなかったな。キャサリンはどうした?」
「キャサリンは怒って実家に帰った。俺も行こうかと思ったがキャサリンはついて来るなと言ってひとりで帰った。俺は迎えに行くべきかと思っていたら数日前に帰って来た、。でも、様子がおかしくて…俺と別れると言い出して…」
「キャサリンに何があったんだ?もしかして近衛のブルーノが関連してるんじゃないのか?あのふたりは出来てるって噂だぞ」
「ああ、俺もそれを疑った。そんな噂が耳に入らないとでも思うのか?おれだって知っていた。でも、キャサリンはブルーノは護衛だけど眼中にないってはっきり言ってくれた。キャサリンは人がいいから誤解されやすい。ブルーノは関係ない」
そこまで話をするとケネトはかなり落ち着いた様子を見せた。
姿勢を正しレオルカをじっと見据える。
「レオルカ隊長。キャサリンとは別れることになった。これはふたりの事情であって他には何も関係のない事。確かにアンリエッタに復縁を迫ったのは、先走った事をしたと反省している。エルディに怪我を負わせたことは申し訳なかった。それでエルディの容体はどうなんだろうか?」
ケネトが素直に謝罪したことでレオルカの胸に会った怒りが少し和らいだ。
「ああ、腕を数針縫ったが命に問題はない」
「そうか。良かった。だが怪我を負わせた責任はとるつもりだ。だが、この件に関してはキャサリンは関係ない。彼女は何もしてはいない。彼女から事情を聞く必要はないだろう」
レオルカはケネトの態度に何だか違和感を覚える。
キャサリンと別れた事であれほど取り乱したくせに、キャサリンを責める事もしないなんて何だかおかしいな。
まるでキャサリンを守ろうとしている。何だか怪しい。
「嘘はないようだな。後の事は上が判断するだろう。ケネトしばらくは幽閉で見張りが付く事になるが」
「わかっている。この一件はこれで終わりにしてくれるなレオルカ」
「ああ、この件は上に報告する。その後の事は上の判断だ。ケネトを連れて行け!」
レオルカはキャサリンに事情を聞くつもりだがケネトにそれを知らせるつもりはなかった。
ケネトはそれを聞いてほっとしたように騎士隊員に連行されて行った。
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