従姉妹様(おねえさま)それはあんまりじゃありませんか?

はなまる

文字の大きさ
22 / 39

22ケネト殿下に話を聞く

しおりを挟む

  そこに騎士隊員がケネトの取り調べをするからとレオルカを呼びに来た。

 「キャサリン様悪いが後程事情を詳しく聞かせてもらう。ブルーノ、君は一緒には連れて行けない。ここからはキャサリン様だけに同行してもらう。いいですね?キャサリン様」

 「わかったわよ。行けばいいんでしょう。まったくケネトったら余計な事をするんだから…事情を話したら帰らせてもらうわよ。私王宮を出るつもりだから」

 キャサリンはそう言うとレオルカについて行った。

 キャサリンは別室で待たせて先にケネトの取り調べを行う事になった。



 ケネトは取り調べを行う部屋に連れて行かれる。

 「おい、事情は説明したはずだぞ。俺はこんな扱いを受けるなんておかしいだろう?」

 そう文句を言った。

 そこにレオルカが入って来た。

 「まあまあ、ケネト殿下。いくら王子でも一人の女性にけがを負わせたんです。事情を聞くのは当たり前でしょう?さあ、すべて話してください。時間はたっぷりありますから」


 ケネトはふてくされたように右ほおに頬杖をついて話を始めた。

 「もともと俺はクワイエス侯爵家のアンリエッタと婚約していた。だが、2年の時に学園にキャサリンが入って来た。キャサリンは何かと俺のそばに寄りついてそのうち気さくで可愛いと思うようになった。アンリエッタとは婚約はしていたがあまり親しく付き合っていたわけではなかった。俺はキャサリンと昼食を取るようになりその距離は縮まって行った。そしてアンリエッタと婚約を解消してキャサリンと婚約した。俺はもちろんキャサリンと結婚するつもりだった。そのためにキャサリンの父親が困っていると言えば支援もしたし騎士隊に入って…王位継承権を破棄したのだってバルブロ男爵家に金を用立てるためだった。そうやってキャサリンのためなら何でもして来た。騎士隊員としてやって行けそうで結婚しようとキャサリンに言った。するとキャサリンがルーズベリー教会で君たちが結婚式を挙げるらしいと聞いて来たんだ。キャサリンはあの教会で式を挙げたいと言っていたからそれは悔しがって、エルディに嫌がらせをしたと聞いたときは驚いた。おまけに脅迫状を送ったとも…」

 そこまで話すとケネトは大きくため息を吐いた。


 「やっぱりキャサリンの仕業だったんだな。それで?」

 「俺はキャサリンをしかった。そんな事をして何を考えているんだってキャサリンを止めた」

 「ああ、そう言えばあれからは何も起こらなかったな。キャサリンはどうした?」

 「キャサリンは怒って実家に帰った。俺も行こうかと思ったがキャサリンはついて来るなと言ってひとりで帰った。俺は迎えに行くべきかと思っていたら数日前に帰って来た、。でも、様子がおかしくて…俺と別れると言い出して…」

 「キャサリンに何があったんだ?もしかして近衛のブルーノが関連してるんじゃないのか?あのふたりは出来てるって噂だぞ」

 「ああ、俺もそれを疑った。そんな噂が耳に入らないとでも思うのか?おれだって知っていた。でも、キャサリンはブルーノは護衛だけど眼中にないってはっきり言ってくれた。キャサリンは人がいいから誤解されやすい。ブルーノは関係ない」

 そこまで話をするとケネトはかなり落ち着いた様子を見せた。

 姿勢を正しレオルカをじっと見据える。

 「レオルカ隊長。キャサリンとは別れることになった。これはふたりの事情であって他には何も関係のない事。確かにアンリエッタに復縁を迫ったのは、先走った事をしたと反省している。エルディに怪我を負わせたことは申し訳なかった。それでエルディの容体はどうなんだろうか?」


 ケネトが素直に謝罪したことでレオルカの胸に会った怒りが少し和らいだ。

 「ああ、腕を数針縫ったが命に問題はない」

 「そうか。良かった。だが怪我を負わせた責任はとるつもりだ。だが、この件に関してはキャサリンは関係ない。彼女は何もしてはいない。彼女から事情を聞く必要はないだろう」

 レオルカはケネトの態度に何だか違和感を覚える。

 キャサリンと別れた事であれほど取り乱したくせに、キャサリンを責める事もしないなんて何だかおかしいな。

 まるでキャサリンを守ろうとしている。何だか怪しい。


 「嘘はないようだな。後の事は上が判断するだろう。ケネトしばらくは幽閉で見張りが付く事になるが」

 「わかっている。この一件はこれで終わりにしてくれるなレオルカ」

 「ああ、この件は上に報告する。その後の事は上の判断だ。ケネトを連れて行け!」

 レオルカはキャサリンに事情を聞くつもりだがケネトにそれを知らせるつもりはなかった。

 ケネトはそれを聞いてほっとしたように騎士隊員に連行されて行った。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

祓い師レイラの日常 〜それはちょっとヤなもんで〜

本見りん
恋愛
「ヤ。それはちょっと困りますね……。お断りします」  呪いが人々の身近にあるこの世界。  小さな街で呪いを解く『祓い師』の仕事をしているレイラは、今日もコレが日常なのである。嫌な依頼はザックリと断る。……もしくは2倍3倍の料金で。  まだ15歳の彼女はこの街一番と呼ばれる『祓い師』。腕は確かなのでこれでも依頼が途切れる事はなかった。  そんなレイラの元に彼女が住む王国の王家からだと言う貴族が依頼に訪れた。貴族相手にもレイラは通常運転でお断りを入れたのだが……。

逃した番は他国に嫁ぐ

基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」 婚約者との茶会。 和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。 獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。 だから、グリシアも頷いた。 「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」 グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。 こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!

恋せよ恋
恋愛
結婚五年目。 誰もが羨む夫婦──フローレンスとジョシュアの平穏は、 三歳の娘がつぶやいた“たった一言”で崩れ落ちた。 「キャ...ス...といっしょ?」 キャス……? その名を知るはずのない我が子が、どうして? 胸騒ぎはやがて確信へと変わる。 夫が隠し続けていた“女の影”が、 じわりと家族の中に染み出していた。 だがそれは、いま目の前の裏切りではない。 学園卒業の夜──婚約前の学園時代の“あの過ち”。 その一夜の結果は、静かに、確実に、 フローレンスの家族を壊しはじめていた。 愛しているのに疑ってしまう。 信じたいのに、信じられない。 夫は嘘をつき続け、女は影のように フローレンスの生活に忍び寄る。 ──私は、この結婚を守れるの? ──それとも、すべてを捨ててしまうべきなの? 秘密、裏切り、嫉妬、そして母としての戦い。 真実が暴かれたとき、愛は修復か、崩壊か──。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます!

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった

凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】  竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。  竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。  だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。 ──ある日、スオウに番が現れるまでは。 全8話。 ※他サイトで同時公開しています。 ※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…

ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。 王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。 それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。 貧しかった少女は番に愛されそして……え?

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

処理中です...