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第三章 産業創造
怒涛の一ヶ月と予期せぬ発見、そして俺の童貞危機!?
しおりを挟む怒涛の一ヶ月と予期せぬ発見、そして俺の童貞危機!?
怒涛のような一ヶ月が過ぎ去る頃には、桜が始めた商売はすでに軌道に乗っていた。
彼女の聡明さと、俺や幸からの助言で得た現代知識を活かした商才は、この時代の常識を遥かに凌駕し、瞬く間にその名を轟かせた。
特に、彼女が始めた商売は、相良の領民たちに驚きと恩恵をもたらし、その生活を豊かに変えつつあった。
(桜、マジで商売の天才かよ!俺の童貞魔法も霞むぜ!いや、俺の魔法が彼女の才能を引き出しているんだ、きっと!)
一方で、俺のもう一つの事業であるレンガ作りも、その規模を加速度的に拡大させていた。
当初、俺が河原に作った小さな窯は、製油工場の建設スピードには全く追いつかず、すぐに限界を迎える。
そこで俺は、河原近くに広大な敷地を確保し、付近の村人たちを総動員して、巨大なレンガ焼き窯を建設させた。
村人たちは日当を得て雇われ、途切れることなくレンガを焼き続ける。
彼らの働きによって、製油工場の建設は目覚ましい進捗を見せ、相良の産業基盤は着実に強化されていった。
(よし、これで俺も「レンガ王」に一歩近づいたな!あとは、このレンガでデカい城でも建てるか!もちろん、ハーレム仕様で!)
桜の事業は、まさに相良の元領民たちを全員巻き込むかのような勢いで拡大していった。
彼女は、領民たちの生活を直接的に支えるため、相良に直営の商店を開設した。
駿府から日用品や雑貨類を直接仕入れ、中間マージンを極力排除することで、良質な品々を安価で提供することを可能にしたのだ。
領民たちは、これまで手に入りにくかった品々が身近になったことに喜び、桜の商店は連日賑わいを見せた。
今や俺も、幸と一緒に仕入れのために東奔西走する日々を送っていた。
焼津や駿府といった商業都市では、俺たちの名もすっかり知れ渡り、多くの商人たちから声がかかるようになっていた。
特に、俺たちが持ち込んだ現代の知識や品々は、この時代の商人たちにとって新鮮な驚きであり、新たな商機を生み出す源となっていた。
(俺たち、まさか異世界で有名人になるとはな!これも童貞魔法の副産物か!?)
~膨張するレンガ需要と油の限界~
レンガ作りの規模が拡大するにつれて、ある問題が浮上した。
当初、俺が計画していた油田からの石油での製造では、その効率が著しく悪いことが判明したのだ。
油田から採取できる石油は、現在の製油所の建設ペースを支えるレンガの大量生産には、どう考えても足りなかった。
かといって、俺が前世で使っていたような大規模な石油採掘装置など、この世界には存在しない。
手作業での採掘では、いくら掘っても追いつかないのが現実だった。
「近藤、レンガ窯の燃料、どうにかならないか?このペースじゃ、製油所の完成がいつになるか…」
俺の焦りに、近藤も眉をひそめる。
「旦那様、仰る通りです。いくら油田から採れるとはいえ、あの少量では追いつきません。燃焼効率も決して良いとは言えませんし…」
燃費の悪い窯で貴重な石油を燃やすのは、まさに本末転倒。
このままでは、せっかく掘り当てた石油が、売り物の燃料モドキで終わってしまう。
それは絶対に避けなければならない。
「薪でも、藁でも、燃えるものなら何でもいいらしいのだが…」
俺の呟きに、近藤が顔を上げた。
「それでしたら、里山がございます。共同で利用している里山から、ある程度の薪を分けてもらうことは可能かと。ただし、限りはございますが…」
早速、近藤の手配で、共用の里山から薪を分けてもらい、レンガ窯の燃料に充てることになった。
薪は石油と比べて安定供給が可能で、コストも格段に安いため、レンガの増産は一時的に加速した。
しかし、レンガの需要は製油所の建設だけでなく、桜の商売が拡大するにつれて、様々な建築物にも及ぶことが予想された。
このままでは、里山の薪もすぐに底をつくだろう。
「薪だけじゃ、やっぱり限界があるな…」
俺は今後の燃料について、本格的に検討する必要があると感じた。
~EV車サーバー、新たな燃料探索へ~
その日の夜、俺は屋敷の一室で、幸にも見つからないようEV車にこもり、秘密裏にサーバーを立ち上げた。
異世界転移の際に、奇跡的に機能するこのEV車内のサーバーは、俺にとっての最後の切り札だ。
インターネットには接続できないが、前世でダウンロードしておいた膨大な情報が詰まっている。
この世界で役立つ情報を漁るべく、俺は一心不乱に検索ワードを打ち込んだ。
「燃料…代替…石炭…木炭…」
数々の資料が目の前に広がる。
その中で、俺の目を引いたのは「亜炭」というキーワードだった。
日本の歴史において、明治時代以降、多くの場所で亜炭が採掘され、燃料として利用されてきたという記述だ。
特に、近代の産業発展を支えた重要な燃料源の一つだったと書かれている。
「亜炭…亜炭か!」
さらに検索を続けると、驚くべき情報を見つけた。
関町(今の亀山市)などから亜炭が産出されているというのだ!
地理的に見ても、相良からはそれほど遠くない。
(これだ!これこそが、レンガ製造の新たな、そして安定した燃料源となるはずだ)
翌日、俺は早速、焼津の商人を通して亜炭の仕入れを依頼した。
この時代の商人たちは、新しいものへの探求心が旺盛で、儲け話には目がない。
俺が提示した亜炭の購入話にも、すぐに食いついてきた。
詳細な場所や採掘量、運搬方法などを詰める必要はあったが、彼らの協力があれば、亜炭の安定供給は実現可能だろう。
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