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第四章 快適な生活のために
進む文明開化、そして俺たちの「童貞」はどこへ!?
しおりを挟む~進む文明開化、そして俺たちの「童貞」はどこへ!?~
まだ、安全性の実証試験は十分でないと考えた俺たちは、自分たちの移動で使いながらも、地元に近い焼津の浜で漁をする網元に二艘の船の注文を受注した。
新たな技術の導入には、常にリスクが伴う。
焦って大量生産に踏み切るより、まずは実地での運用データを集めることが最優先だった。
網元は、俺たちの説明に最初は懐疑的だったものの、実際に第一号艇の驚異的な速さを見て、その可能性に魅せられた。
「旦那、この船があれば、沖合の漁場まであっという間だ。他所よりも早く着けば、それだけ多くの魚が獲れる。これからの時代は、こういう新しいものを取り入れていかねば、生き残れない」
網元の熱い言葉に、俺たちは頷いた。
受注から一月で二艘を完成させ、網元に納品した。
日夜を問わず、職人たちは汗を流し、その手に新たな時代の息吹を吹き込んだ。
納品の日、船が海に滑り出す瞬間、網元の家族や漁師たちが集まり、その雄姿に歓声を上げた。
それは、単なる新しい船の納品ではなく、焼津の漁業に新たな歴史が刻まれた瞬間でもあった。
(漁師たちの「すげぇ!」って声が、俺の心に響くぜ!これぞ『童貞魔法』の醍醐味!人々を驚かせ、感動させる!)
気が付けば、俺たちがこの時代に来てから一年が経っていた。
この一年でのあまりにも大きな変化に、俺は今更ながら驚いている。
ほんの一年前まで、自分は異世界から来た知識を持つだけの存在だった。
それが今や、焼津と相良を股にかけ、新たな産業を次々と生み出している。
(まさに、俺の童貞魔法が火を噴いた一年だったな!)
毎日のように、俺は網元の元に通い、不具合などを聞いて回る。実際に使ってみてわかる細かな不具合や要望を丹念に聞き取る。
「エンジンの音が少し大きい」
「舵の操作が重い」
「燃費がもう少し改善されれば……」
俺はそれらの声を一つ一つ丁寧にメモし、改善策を練った。
そして、少しずつではあるが、近場の焼津の商人たちからの注文を受けるようになる。
彼らは、漁師たちの間で評判になった「速い船」の噂を聞きつけ、自らの商売にもその恩恵を享受しようと考えていた。
順調に注文をこなしていくと、その年も無事に越すことができ、気が付けば明治15年になっていた。
時間の流れは速く、俺たちの事業は着実に根を張り、成長を続けていた。
年明けて松が取れるころに、皆そろって、船玉浦神社まで新年のあいさつとこれからの海上での安全を祈願して明治15年の年を始める。
凛とした冬の空気の中、俺、幸、桜、権蔵、そして芝島夫婦たちが並んで手を合わせた。
皆の顔には、この一年間の苦労と、それ以上の喜びと達成感が満ち溢れていた。
「今年も、無事に皆が航海できますように」
幸の祈りの声が、澄んだ青空に吸い込まれていく。
その傍らで、俺は静かに誓った。この技術が、この地の未来を、人々の暮らしを、より豊かにしていくと。
(そして、俺の童貞もいつか卒業できると!……いや、そっちの祈願は誰にも聞こえてないか!)
~事業拡大の波と、俺たちの文明開化号!~
相良の地で始まった桜の事業は、予想をはるかに超える速度で拡大しいた。
精製された油は、その卓越した品質と安定供給によって、瞬く間に市場を席巻していく。
油は、当初の目的であったオイルランプの燃料としてだけでなく、新たに船のエンジン用にも使われるようになり、今まで以上に売れるようになっていた。
これにより、船の販売も価格が大きいので、その利益もものすごいことになっていた。
相良油田から汲み上げられる原油は、精製されて船の燃料となるだけでなく、夜の闇を明るく照らすオイルランプの燃料としても重宝された。
その灯りは、人々の生活に安らぎと利便性をもたらし、夜間の活動を活発化させ、新たな文化の芽生えを促していた。
その莫大な利益を元手に、相良にも船の受注などを受ける商店を開いた。
いよいよこの辺りでは、そこそこの影響力を持つまでになっていく。
相良の商店は、焼津の拠点と連携し、広範囲からの注文に対応できる体制を整えた。
焼津の港に停泊する船は、相良の油を燃料とし、その船自体も俺の持ち込んだCADで設計・建造されたものも増えていった。
俺たちの名は、駿河湾沿岸に響き渡り始めていく。
(『まるで、異世界転生モノの俺TUEEE主人公みたいになってきたぞ!』)
俺は内心でそう呟きました。
(『童貞魔法使いなのに、チート過ぎるだろこれ!』)
自嘲気味にそう思いながらも、その手応えに確かな充実感を感じてた。
オイルランプの方も順調に販売が伸びていることから、オイルランプの工場の拡張を考え、多くの人々を雇う関係で焼津に移して、製造数も販売数も昨年の倍をさばける体制を整えていくことになった。
焼津の工場は、新たな設備が導入され、多くの人々がそこで働くようにな、俺らがもたらした技術は、人々に新たな雇用と活気をもたらし、地域の経済を活性化させていた。
相良油田の方も、井戸を増やして、製油量を増やしていく。
新しい掘削方法が導入され、地下深くから次々と原油が汲み上げらた。
油田の敷地は拡大し、そこで働く人々も増えていった。
現在、油にレンガ、それにオイルランプは倍々ゲームのように販売量も利益も増えていく状況だ。
その増加に合わせて体制の構築に、俺や幸などがお嬢様の桜を補佐して、相良に焼津にと走り回っている。
幸は、桜のビジネスパートナーとして、その経営手腕を存分に発揮していた。
彼女は数字に強く、経営の舵取りにおいて桜の右腕となっていました。
桜は、元相良領主の血を引く唯一残された人間である、俺たちと一緒の商売を始めた代表のような存在ですが、今は経理の仕事などをしており、現場の細かい調整や人々の管理に奔走するのは俺や幸の仕事となっていた。
自身を含め二人の女性の活躍は、桜の興した事業の大きな推進力となっていた。
(「美人秘書とできるお嬢様、まさに俺のハーレムビジネスが拡大中だぜ!」)
俺は心の中でニヤリとしました。
(「しかし、童貞はまだ維持しているという奇跡!」)
俺の奇妙な「童貞魔法」は、事業拡大に貢献しつつも、なぜかその効力を失うことはない。
俺たちの移動の足には、第一号艇のエンジン駆動船が大活躍中だ。
相良と焼津を行き来する移動は、もはや馬車や人力に頼る必要はない。
エンジンの轟音を響かせ、船は波を切り裂いて進む。
操船はもっぱら後藤田さんが行い、今は、安全に操船できる人を増やそうと、かつてのお仲間を大量に引き入れていた。
後藤田さんは、桜の信頼に応えるべく、熟練の腕で船を操り、そして新たな操船士たちを育成していた。
彼らの加入により、船の運行はさらに安定し、運搬能力も向上した。
(『後藤田、あんたやっぱり最強のサポートキャラだよ!』)
俺は感嘆しました。
(『隠密部隊を操船部隊に転換させるとは、さすが元忍びの頭領!』)
後藤田さんの適応能力と指導力は、桜の想像をはるかに超えていた。
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