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第五章 自立
東京の夜に咲く恋の花?そして銀座デートでずっこけ!
しおりを挟む~東京の夜に咲く恋の花?そして銀座デートでずっこけ!~
祝宴が和やかなムードに包まれる中、桜がいたずらっぽい笑みを浮かべて口を開いた。
「それにしても、嶺さん。東京にいらしてから、少しは羽目を外されました?例えば……そうですね、女性の方と夜の街へ繰り出す、とか?」
桜の直球な質問に、俺は思わずむせる。隣で幸がクスクスと笑いをこぼしている。
「な、何を言ってるんですか、桜さん!俺は常に相良商店の未来のために……!」
「あらあら、ご謙遜を。せっかく東京にいらしたのですから、色々な経験をなさるのも良いのではなくて?もちろん、幸さん、あなたが心配なら、わたくしが監視役として同行して差し上げてもよろしくってよ?」
桜の言葉に、幸が慌てて割って入った。
「そ、そんな!桜さんまで何を言い出すんですか!嶺さんは、私がちゃんと見てますから!」
幸は頬を赤らめながらも、しっかりと俺の腕を掴んだ。
その仕草に、俺の心臓は高鳴る。
桜はそんな俺たちの様子を満足そうに眺め、意味深な笑みを浮かべた。
「ふふ、これは意外な展開ね。では、わたくしは安心して、お二人に東京での冒険をお任せしましょうか。ただし、相良商店の事業が疎かにならない程度に、ですけどね?」
茶化す桜の言葉に、俺と幸は顔を見合わせ、照れながらも笑い合った。
この新たな関係性が、一体どんな物語を紡ぎ出すのか、俺の童貞魔法使いとしての第六感が囁いている気がした。
翌日、桜と幸は「東京見物」と称して、俺を連れ出してくれた。
向かった先は、まだ「銀ブラ」という言葉はないが、この時代すでに東京で一番の賑わいを見せる銀座だ。
新しい洋服を身につけた二人は、まるでファッションショーのモデルのように街行く人々の視線を集めていた。
「嶺さん、あちらのお店、素敵だわ!」
「幸さん、この洋品店は品揃えが豊富ね!」
目を輝かせながら、店から店へと楽しそうに歩く桜と幸。
俺はそんな二人を微笑ましく見ていたのだが、不意に足元の石につまずいて、派手に転んでしまった。
「うわっ!」
情けない声と共に、俺は道に顔から突っ込んだ。
二人をエスコートするはずが、まさかのずっこけだ。
「嶺さん!大丈夫ですか!?」
幸が駆け寄ってきて、心配そうに俺の顔を覗き込む。
桜も驚いた顔でこちらを見ている。
「だ、大丈夫だ。ちょっと足がもつれただけだ……」
とっさに言い訳をする俺だが、幸は俺の膝にできた擦り傷を見て顔を曇らせた。
「もう、嶺さんったら、油断しすぎですよ!せっかく新しい服なのに……」
幸が俺のスーツの汚れをはたきながら、ぷりぷり怒っている。
その様子を見て、桜はふっと笑みをこぼした。
「ふふ、嶺さんらしいわね。でも、そんなところも、嶺さんの良いところよ」
そう言って、桜は俺に手を差し伸べてくれた。
その手を取って立ち上がると、幸もまた、俺の腕をそっと掴んだ。
銀座の真ん中で、二人の美少女に挟まれ、俺は顔が熱くなるのを感じた。
(まさか、東京に来てまでこんなずっこけを披露するとはな!これも童貞魔法のなせる業か!?いや、ただのドジだろ、俺!)
心の中で激しくツッコミを入れる。この状況、どう考えてもラブコメのワンシーンじゃねぇか。
これから、俺たちを待ち受けるのは、未知の挑戦と無限の可能性だ。
帝都東京を舞台に、相良商店はどのように成長し、日本の未来をどのように変えていくのか。
そして、未来から来た俺と幸は、この時代でどのような恋の物語を紡ぎ出すのだろうか。
桜との友情、幸との絆。
そして、もしかしたら芽生えるかもしれない、それ以上の感情。
この輝かしい未来に、希望の光が差し込んでいた。
東京という新たな舞台で、俺の「童貞魔法」は一体どんな奇跡を起こすのか!?
そして、俺の童貞は守られるのか!?
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