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9話 パーティー開催 その1
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ファニー宮殿内の第一会場を使って開かれる、ビクティム侯爵主催のパーティーは相当な規模になるようだった。
私とフューリの二人はその当日、少し早い時間に会場を訪れている。
「オルカスト王国の各方面から、公爵や公爵令息、令嬢をお呼びしていると伺っているけれど?」
フューリは静かに私に頷いた。それだけでも、相当に大きなパーティーだということが分かる。普通規模のパーティーではせいぜい、自分の家系と親しくしている貴族を呼ぶ程度だろうから。
「父上も参加する」
「マイケル・オルカスト国王陛下まで……」
「まあ、そこで隣国の王女との婚約を発表した方がインパクトがあるからな。まあ、父上にまで黙っているのは問題なのだが……」
確かに普通では考えられない所業だ。でも、ビクティム侯爵のことだから、そこからの話術でオルカスト王国の繁栄を約束するんだろうと思われる。そして、周囲の大貴族達には強烈なインパクトと自らのパイプラインの強固さをアピールできる場とするわけか。
この辺りは、昨日までのフューリ自身の推理なのだけれど、おそらくは間違っていないと思う。
「デルトーイ王国側の来訪者は最小限なのでしょうね」
「だろうな……本日開催のはずなのに、情報が一切出回ってないのはメリア王女の手腕なのか」
メリア・デルトーイ王女……王位継承権3位の人物。その素性は一般的には謎に包まれているらしい。フューリの調査では彼女が肝になるとのことだけど……。
「ねえ、フューリ……このパーティーを通して、一体、何をしようと言うの? 私は確かにビクティム・クラウス侯爵に婚約破棄をされてしまったわ」
「ああ、それも理不尽な理由でな」
「それはそうかもしれないけれど……」
理不尽……そう、確かに私は非常に心が乱されてしまったし、悲しみにも暮れた。でも、アラベスク達と何よりフューリ王太子殿下がそれを癒してもくれた。
そして、ここからが重要で、確か執事のアラベスクも言っていたと思うけど、ビクティム侯爵は私とフューリの関係性を知らない。つまり、彼は私のことを単なる伯爵令嬢だと思っている。しかも、クラウス家は侯爵の中でも名家として有名なので、さらに身分差はあるだろう。
このパーティーを通してのビクティム侯爵の態度で全てが決まる事態になっているのかもしれない。
「ビクティム侯爵の態度次第……ということ? どのように転ぶかは……」
「それも大いにあるな。俺としては既に許しがたいことではあるが、まあ彼の態度如何によっては、目をつむる場面も出て来るだろう。しかし……」
「しかし……?」
「メリア王女がどのように出て来るのはか、こちらでも予想が付かない。ビクティム侯爵は、かなり厳しい状態にあると言えるだろう」
「ああ、そうなんだ……」
大規模パーティーは間もなく開催される。本日を無事に乗り切ることが出来るかは、ビクティム侯爵次第ということか。でも、とても無事でいられるとは思えなかった。私は少し早いけれど、合掌して彼に祈りを捧げてあげることにする。
私とフューリの二人はその当日、少し早い時間に会場を訪れている。
「オルカスト王国の各方面から、公爵や公爵令息、令嬢をお呼びしていると伺っているけれど?」
フューリは静かに私に頷いた。それだけでも、相当に大きなパーティーだということが分かる。普通規模のパーティーではせいぜい、自分の家系と親しくしている貴族を呼ぶ程度だろうから。
「父上も参加する」
「マイケル・オルカスト国王陛下まで……」
「まあ、そこで隣国の王女との婚約を発表した方がインパクトがあるからな。まあ、父上にまで黙っているのは問題なのだが……」
確かに普通では考えられない所業だ。でも、ビクティム侯爵のことだから、そこからの話術でオルカスト王国の繁栄を約束するんだろうと思われる。そして、周囲の大貴族達には強烈なインパクトと自らのパイプラインの強固さをアピールできる場とするわけか。
この辺りは、昨日までのフューリ自身の推理なのだけれど、おそらくは間違っていないと思う。
「デルトーイ王国側の来訪者は最小限なのでしょうね」
「だろうな……本日開催のはずなのに、情報が一切出回ってないのはメリア王女の手腕なのか」
メリア・デルトーイ王女……王位継承権3位の人物。その素性は一般的には謎に包まれているらしい。フューリの調査では彼女が肝になるとのことだけど……。
「ねえ、フューリ……このパーティーを通して、一体、何をしようと言うの? 私は確かにビクティム・クラウス侯爵に婚約破棄をされてしまったわ」
「ああ、それも理不尽な理由でな」
「それはそうかもしれないけれど……」
理不尽……そう、確かに私は非常に心が乱されてしまったし、悲しみにも暮れた。でも、アラベスク達と何よりフューリ王太子殿下がそれを癒してもくれた。
そして、ここからが重要で、確か執事のアラベスクも言っていたと思うけど、ビクティム侯爵は私とフューリの関係性を知らない。つまり、彼は私のことを単なる伯爵令嬢だと思っている。しかも、クラウス家は侯爵の中でも名家として有名なので、さらに身分差はあるだろう。
このパーティーを通してのビクティム侯爵の態度で全てが決まる事態になっているのかもしれない。
「ビクティム侯爵の態度次第……ということ? どのように転ぶかは……」
「それも大いにあるな。俺としては既に許しがたいことではあるが、まあ彼の態度如何によっては、目をつむる場面も出て来るだろう。しかし……」
「しかし……?」
「メリア王女がどのように出て来るのはか、こちらでも予想が付かない。ビクティム侯爵は、かなり厳しい状態にあると言えるだろう」
「ああ、そうなんだ……」
大規模パーティーは間もなく開催される。本日を無事に乗り切ることが出来るかは、ビクティム侯爵次第ということか。でも、とても無事でいられるとは思えなかった。私は少し早いけれど、合掌して彼に祈りを捧げてあげることにする。
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